Interview

「野球で悩めることは幸せなこと」球界屈指の守備型捕手・伊藤光が語った今シーズンの目標【後編】

2022.02.15

 球界屈指の守備型捕手として注目される伊藤光捕手。明徳義塾からオリックスに入団し、2014年には2位に貢献。18年シーズン途中、DeNAに移籍後も存在感を示してきた。19年には自己最多の8本塁打を放つなど、厳しいNPBの世界で、14年もプレーしてきた。15年目を迎える伊藤へ、パフォーマンスを支えるスパイクなどについて迫っていく。スパイクの選び方、機能について深い考え方を持っていた。

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自分にフィットしたコウノエベルトスパイク

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コウノエベルトスパイクを手に、取材に応じる横浜DeNA・伊藤光選手

 2007年高校生ドラフトで、オリックスから3巡目指名を受け、プロの世界に飛び込んだ伊藤。1年目から1軍出場を果たし、高卒4年目には66試合に出場。2013年から3年連続で100試合以上出場するなど、一流捕手として階段を登っていったが、故障も多かったと振り返る。同時に用具にもこだわりを持つようになった。

 「プロ入りをして、まず金属バットから木製バットに替わったので、用具に対するこだわり、思い入れが生まれました。自分は怪我して野球ができない期間が長くありましたので、自分の体に合うものは考えました」

 特に多かったのが足のけがだった。さらに椎間板ヘルニアもあり、野球ができない期間が続いた。その中で出会ったのが、コウノエベルトスパイクだった。
 「もともと椎間板ヘルニアとなり、左足の神経麻痺もありました。足に不安があって、野球人生でずっと付き合っていくしかないと思っていた時に、トレーナーの鴻江先生に出会ってこのスパイクを薦めていただきました。
 履いた時にしっくりくる感覚があり、今までと違って、不安なく野球ができている感覚がありまして、使わせていただいています」

 コウノエベルトスパイクは、くるぶし部分についたマジックテープがいわゆるベルト部分となっており、このベルトで調整しながら、緩めたり、きつくしたりできる。普通ならば、靴紐をしっかりと締めるイメージが強いが、グラウンドの状態で、緩めたり、締めたりする。
 「最近、NPBが使用するグラウンドは地面が硬いので ベルトを締めたり、靴紐を緩めたりして、スパイク1個で使い分けをしています。普通はしっかりと靴紐を締めるイメージが強いのですが、硬いグラウンドできつく締めると、立ったり座ったりする作業が連続する捕手では、ふくらはぎが張ってしまうんです。だからベルトを締めて、靴紐を緩めて、足に係る負担を軽減させています。逆に地方球場は地面が掘れやすいので、靴紐、ベルトを両方締めたりしています」

 グラウンドの状態によって、靴紐やベルトを締めたり、緩めて調整することができる。伊藤にとっては選択肢が間違いなく広がった。
 「このスパイクを履くまで、いろいろなスパイクを履いてきましたが、先輩やある選手にとっては評価が高いものでも、自分にとって合わなかったものがあります。そこはこだわってきましたし、コウノエベルトは合っていましたし、足元に不安がある自分にとって、グラウンド、自分の足の状態で、フィットするための選択肢が広がったのは大きいと思っています」

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伊藤光選手も使用するコウノエベルトスパイクの詳細はこちらから

[page_break:野球のことで悩むことは幸せ。今年はケガなく過ごしたい]

野球のことで悩むことは幸せ。今年はケガなく過ごしたい

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横浜DeNA・伊藤光選手

 このスパイクはオリックス時代の晩年から使用し、DeNAに移籍してからも、貴重なアイテムとなっている。

 しかし、近年の伊藤は20年が30試合、21年が53試合出場にとどまっており、悔しい年が続いている。
 「昨年10月に肩の手術を受け、この2、3年思い描いていたシーズンを過ごしていません。

 今年はケガなくやりきって、やりきった結果に対して悩みたい、考えたいと思っています。それが目標です。ケガで離脱して、すごく悔しいですし、ケガしないようにずっと考えていた。自分の成績に対して考えたい。そういうオフを過ごしたいと考えています」

 プロ野球選手が生き残るには成績を残すことが一番。その成績を残すために試行錯誤をして練習に取り組む。充実した気持ちで試合に臨むことができる。しかしケガをしてしまうと、ケガを治すことが最優先となり、成績を残すために考えも練習する時間も回らない。どうすれば成績を残せるのか。それに悩み、試行錯誤できる幸せを伊藤は痛感している。

 「ケガをしてしまうと、自分にとっても、チームにとってもマイナス要素になるので、離脱がないことは小さいかもしれないですけど、それが最大の目標です」

 伊藤が語るように小さいことかもしれない。まずチームのライバルと同じ土俵に立つにはケガしないことが大前提であり、そこから出場機会を得るためにはどうすればいいか、チームを勝たせるにはどうすればいいか、選択肢が広がる。

 果たして伊藤は、開幕1軍を勝ち取ることができるか注目だ。

(記事:河嶋 宗一

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伊藤光選手も使用するコウノエベルトスパイクの詳細はこちらから

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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