激論になりそうな22年選抜大会の近畿5枠〜7枠目!数字面から徹底分析
森下瑠大(京都国際)、米田天翼(市立和歌山)、森健人(東洋大姫路)山田陽翔(近江)
2022年3月18日に開幕する第94回選抜高等学校野球大会の出場校発表が28日に行われる。今回はセンバツ出場決定において、議論になりそうな地区について分析をしていきたい。まずは近畿地区だ。
近畿は大阪桐蔭(大阪)が昨年秋の明治神宮大会で優勝したことで、枠が増え、7枠となった。準決勝まで進出した4チームがほぼ有力。準々決勝敗退4チームから2チーム選ばれるのが例年の流れだが、今年は3チーム選ばれる。
対象は京都国際(京都)、東洋大姫路(兵庫)、市立和歌山(和歌山)、近江(滋賀)。この4校から5枠〜7枠を考えていきたい。今回は地域性というのはあまり考えず、あくまで数字面や近畿大会の試合内容から分析する。
京都国際
森下 瑠大(京都国際)
8試合 7勝1敗 60得点22失点
京都1位の京都国際。昨夏甲子園ベスト4経験者の主力選手がそのままこのチームの主力選手となっている。小牧監督は新チームスタートが9月前になり、さらに緊急事態宣言の影響で練習試合がほぼできずに、公式戦に突入。苦しい試合も多かったが、それでも地力の高さを証明し、府大会優勝。近畿大会では履正社(大阪)戦で、エースの森下 瑠大投手(2年)が完封勝利。準々決勝の和歌山東(和歌山)戦では1点差負けとなったが、9回裏にエースの森下が「一発狙い」。見事、本塁打を打って、1点差ゲームに持ち込んだ。内容面ではベスト8敗退のチームの中では文句なし。
また、苦しみながら、京都1位を勝ち取ったことについても、小牧監督、選手たちも良かったと考えている。
森下のほかに145キロ右腕でもある平野 順大内野手(2年)、主将でチームをまとめる辻井 心捕手(2年)、武田 侑大内野手(2年)などポテンシャルが高い選手も多い。スコア、都道府県大会での順位を見ても、5枠目の筆頭となりそう。
[page_break:市立和歌山と東洋大姫路]市立和歌山
米田 天翼(市立和歌山)
11試合 9勝2敗 58得点21失点
失点も少なく、準々決勝の天理(奈良)戦まで3失点以内に抑えている。エースの米田 天翼投手(2年)は2年秋の時点で常時140キロ前半の直球と、130キロ超えのカットボール、スライダー、カーブなど多彩な変化球を操り、先輩の小園 健太投手(DeNA)の影響を受けた投手だ。ただ、半田監督は課題は圧倒的に打力と語るように、近畿大会では2試合で合計3得点。他の近畿のチームと比べると、根本的に劣るように感じた。
東洋大姫路
森 健人(東洋大姫路)
9試合 7勝2敗 27得点16失点
兵庫最後の砦である東洋大姫路がいわゆる「地元枠」以外でも推せる内容といえば、完封勝ちが4試合ある。
エースの22876投手(2年)は県大会の報徳学園戦でスミ1完封(延長10回)、加古川西戦で13奪三振、近畿大会の智辯学園(奈良)戦でも完封勝利。森は130キロ中盤だが、伸びのある快速球を内外角に投げ分け、翻弄する右投手。とにかく四球を出さない投手で、見ていて守りやすさがある。
県大会以上の公式戦3試合で完封勝利しているのは強い。打線は市立和歌山同様、相対的に弱い。4番・賀川 新太外野手(2年)はパンチ力のある打者で、智辯学園戦では2安打を放ったものの、打撃が自慢のチームではない。
市和歌山と東洋大姫路はともに好投手を中心とした似たチームで、実力差はほとんどない。両エースは敗れはしたが準々決勝の試合で好投した。米田は天理、森は大阪桐蔭相手に登板した。
米田 8回 142球 9奪三振 3四球 5失点 自責点5
森 8回 128球 3奪三振 2四球 5失点 自責点3
ともに5失点を喫したが、持ち味はよく出ている。米田は自慢の球威で強打の天理から9奪三振を記録し、森は3奪三振にとどまったが、2四球で、128球。近畿大会通しての防御率は1.59。あくまで主観だが、米田は球威こそ素晴らしく、22年度のドラフト候補として申し分ない投球だったが、若干、テンポが悪いように感じた。ただ、森は大人びているというか、リズムの良さがあった。
エースを比較した場合でも、ドラフト候補・米田を擁する市立和歌山はポテンシャルが高いように映るが、トータルで見ると、森も負けていない。
東洋大姫路は森の完封勝利数、投手成績が選考にとって大きなアドバンテージになるかもしれない。同じ準々決勝敗退のチームに勝負できる材料である。
[page_break:近江]近江
山田 陽翔(近江)
7試合 5勝2敗 47得点32失点
神宮枠増加で、準々決勝敗退チームからの選出の可能性が高まったことで近江を推す声が出てきた。
とにかく失点が多い。夏の甲子園ベスト4の投打の柱として活躍した山田 陽翔投手(2年)が激闘の影響で、右ひじを痛め登板ができず、控え投手が登板する形となった。そうした中でも勝ち上がれたのは主将の津田基内野手(2年)がまとめ、準備期間が短い中でも実力をつけることができたことが大きい。
山田は打者として大きな存在感を示した。近畿大会では、7打数2安打1打点に終わったが、その前の滋賀大会3位決定戦の立命館守山戦で、満塁本塁打を放ってチームを救っている。とはいえ、ほぼ山田抜きで戦って、近畿大会ベスト8まで勝ち進めたことをどう評価するか。
3位での近畿大会出場で、しかも数字面ではかなり不利な立場。選考委員の考え方次第といえそうだ。
(記事:河嶋 宗一)