浅間大基らを輩出する強豪シニアが少年軟式野球チームへ大会開催 野球人口拡大へ新宿シニア杯は大盛り上がり
試合中の様子
12月に入り、高校野球もオフシーズンへ突入したことで、野球界全体が寂しい季節に入った。しかし、江戸川河川敷沿いを活動拠点としている新宿シニアが12月4日より「第18回新宿シニア杯少年野球大会(以下、新宿シニア杯)」と呼ばれるイベントを始めた。
新宿シニアといえば、OBにはプロ野球界で奮闘している浅間 大基(横浜-北海道日本ハムファイターズ)外野手。直近で卒業したOBでは、関東一の市川 祐投手など名選手を輩出した強豪チームとして知られている。
そんな新宿シニアが主催となって、少年軟式野球チームを対象に大会を開いているわけだが、2002年から続いており、歴史あるイベントといっていい。
シニアが主催となって、少年野球チームを対象に大会を開くこと自体が珍しいが、15チームも参加する大規模なイベントになっている辺りは、新宿シニアがいかに少年野球チームと親密な関係を築けているのか窺い知れるところだ。
終日、熱気に包まれた新宿シニア杯の特徴ともいえるのが、小学6年生も大会に参加できることだ。
通常であれば、秋の大会が終われば、6年生は終わるところだが、新宿シニア杯はあえて6年生が参加できるチームに絞って、声をかけているという。
2年前よりチームの会長に就任し、大会事務局にいる山崎宇充氏は、この取り組みの成果について「大会を重ねるごとに『何よりも試合に出場することが楽しみだ』というチームが出ています」と大会の変化を肌で感じている。
試合中の様子
なかには、「この大会だけは出る!」といって中学受験でチームを離れていた選手も、新宿シニア杯のために戻ってくるケースもあるそうだ。それだけ、新宿区の少年野球チームにとっては大事な位置づけとされているのだ。
その証拠に参加チームへ話を聞くと、12月に6年生と試合ができることに、喜びを感じているところが多かった。
「12月の卒部式までは6年生も一緒にやるようにしていますので、そういった意味でもギリギリまで大会ができることはありがたいです」(Aチーム)
「息子は6年生ですが、この時期まで大会があって、子どものプレーが見られるのは嬉しいです」(Bチーム・保護者)
その他にも参加している少年野球チームの多くは、中学進学までの時期に6年生も参加できる大会があることに感謝の思いを述べていた。
そんな新宿シニア杯は、来年以降ももちろん開催予定だ。2年前より江戸川河川敷沿いを開催地としてきたが、第1回から使ってきた[stadium]神宮球場[/stadium]へ舞台を戻そうと検討していると、山崎会長はコメントしている。
「昨年よりスピーガンで球速を測るなど、レクリエーションの部分も大事にしています。そういったことにも力を注ぎながら、『新宿シニア杯に出たい』と思ってもらえるような楽しい大会を目指したいと思います」
競技人口が懸念されている野球界。土台となる少年野球の裾野を広げていくことは、野球人口の歯止めという意味でも大事なことであり、至上命題だ。
「野球はやっぱり楽しい」と再認識してもらい、気持ちよく中学へ送り出していく。そうした取り組みの開拓者として、新宿シニアがこれからも新宿シニア杯を通じて、野球の魅力を伝えていくのは、間違いないだろう。