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戦国千葉で2季連続ベスト4の八千代松陰。地力を高めて24年ぶりの聖地を目指す

2021.12.01

 第103回全国高等学校野球選手権千葉大会でベスト4進出を果たした八千代松陰。新チームとして迎えた秋季大会も、勢いそのままに準決勝へ進出し、これで2季連続のベスト4となった。甲子園2度出場の実績を持つ実力校が、その強さを改めて示した。

 選手たちはどんな思いで夏をスタートし、秋季大会に臨んだのか。そして甲子園出場への思いにも迫った。

どれだけ練習で頑張って伸びていくかがポイント

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監督の話に耳を傾ける選手たち

 千葉県八千代市に学校がある八千代松陰。キャンパスの広さは15万m²を超え、[stadium]東京ドーム[/stadium]3つ分に相当する。競技別の10のグラウンドや第1・第2体育館、プールにテニスコート、全面人工芝のサッカーグラウンドなど豊富な施設が揃っており、関東圏内でも屈指の敷地と設備が自慢だ。

 硬式野球部は、第1グラウンドと呼ばれる専用球場を使用しており、スコアボードには創設に尽力した初代監督であり、同校の校長にも就任した故山下章氏の名を冠して「YAMASHITA BALLPARK」と記されている。

 現在、チームを指導するのは沖縄県出身の兼屋 辰吾監督。沖縄尚学では正捕手として3年春、夏と2度の甲子園出場の実績があり、筑波大でも主にリードオフマンとして活躍。2017年春に八千代松陰の監督に就任すると、2018年に清宮 虎多朗投手(楽天育成1位)、2019年に長岡 秀樹内野手(ヤクルト5位)と4年間で2名のプロ野球選手を輩出し、チームとしても県大会で準優勝1度、ベスト4は3度、そしてベスト8も3度と着実に実績を積み重ねている。

 新チームは、旧チームからの二遊間がそのまま残り「守備面は例年よりも安定している」と兼屋監督も手応えを口にしたが、結果として秋季千葉県大会準決勝では攻撃でも守備でもミスが出て木更津総合に4対8と逆転負けした。
 兼屋監督は、チームとしての全体的なレベルアップを選手たちに求めている。

 「うちは毎年力のある選手がいるわけではありません。その中で、どれだけ練習で頑張って伸びていくか、まとまっていくかがポイントになると思います。
 打撃でも得点は取っていますが、ボテボテの当たりがセーフになったり、相手のミスによるものも多くあります。まずはしっかりバットを振れるように練習をやっています」

[page_break:秋季大会ベスト4の原動力はエースの森陽生]

秋季大会ベスト4の原動力はエースの森陽生

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習志野を相手に3安打完封勝利を果たした森 陽生(八千代松陰)

 千葉県制覇、そして甲子園出場に向けて、チームの鍵を握るのがエースの森 陽生投手(2年)だ。秋季大会ベスト4の原動力にもなった森は、178センチ、82キロのガッチリした体格から最速138キロの直球を投げ込み、また変化球の制球力にも優れた総合力の高い右腕。

 我孫子市の布佐中学時代には千葉県大会でベスト8に進出し、高校入学時から130キロを超える直球を投げ込んでいた。下級生時から地道に実力を伸ばしていき、今夏は2年生ながら投手陣の一角としてマウンドを経験。エースとして迎えたこの秋は、獅子奮迅の投球を見せた。

「夏の舞台ではチームワークが大事だと感じました。ベンチ入りした選手だけでなく、部員全員で戦う気持ち、同じ目標に向かって全員で取り組むことが本当に大事です。学んだことを今の代でも活かして先輩たちを越える結果を出したいと思います。

 また個人としては、一番は無失点で抑えてチームに勢いを与えるピッチングができることです。チームが一つとなるようなピッチングをして、夏こそは甲子園に出場したいと思います」

 また打線では、主将で4番の大竹 凌平内野手(2年)が軸となる。チームの現状には「本当にまだまだです」と本音を口にするが、同時に甲子園に向けた熱い思いも溢れ出る。

「やっぱりまずはしっかり守って流れを作るディフェンス面、そして作った流れを得点に繋げる攻撃面を高めていきたいです。上には上がいることはわかっていますが、打って点を取って勝つ、そういった理想的な野球をして千葉県を制覇したいです。最終的には甲子園出場を目標にしっかり戦っていきたいと思います」

「どれだけ練習で頑張って伸びていくか」
 兼屋監督の言葉を辿るなら、八千代松陰は練習を重ねることで、近年の好成績に繋げている。まずは冬の成果が現われる春季大会に注目だ。

(取材:栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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