昨年ドラフトから約1年、高卒ルーキーの出世頭は?
明石商時代のオリックス来田 涼斗外野手
あれからもう1年ほど時間が流れた。コロナ禍のなか、未曾有のシーズンを過ごした高校球児が、プロという大舞台に飛び込んだ2020年ドラフトから、もうすぐ1年が経とうとしている。甲子園という目標がなかった球児たちが、唯一目標にしていたプロの舞台。彼らはあれから1年。憧れのユニフォームを着て、どんな成績を収めたのだろうか。
投手からみていこう。
残念ながら一軍で登板したルーキーはいなかった。ファームでは、登板試合数が多いのが、オリックス1位・山下 舜平大投手(福岡大大濠出身)で、16試合、1勝8敗、58回3分の2、防御率4.76。プロの洗礼を浴びているが、経験を積んでいる途中。もっとも、キャンプのブルペンでは高い評価を受けていたようで、逆に首脳陣の期待の高さがうかがえる。
その他、最速154キロをマークし、中京大中京2年時の秋に明治神宮大会で優勝投手となった中日1位・高橋 宏斗投手は13試合登板、0勝5敗、30回3分の2、防御率7.92。こちらもオリックス山下同様、経験を積む時期ととらえれば、どんどん打たれて強くなれ、という感じだろう。
最速146キロ、苫小牧中央の左腕エースとして昨年夏の独自大会で駒大苫小牧相手に15三振を奪ったことがある日本ハム5位・根本 悠楓は、10試合に登板し、1勝1敗、25回3分の2、防御率2.10とまずまずの成績。これからが楽しみな投手ばかりだ。
打者ではどうだろう。
3人がこれまで一軍デビューを果たしている。一番の出世頭はオリックス3位・来田 涼斗外野手(明石商出身)。21試合に出場し、打率.212で、スタメン出場も経験している。一軍デビュー戦では、初打席初球を本塁打。この試合で猛打賞&盗塁も決める鮮烈デビューを飾った。優勝争いを繰り広げるチームに交じって、若い力を爆発させている。
もっとも、高校時代から「スター性」はあった。1年夏から3季連続して甲子園に出場。ロッテ2位の中森 俊介投手とともに、明石商の快進撃を担った。2年春に準々決勝で先頭打者ホームランとサヨナラホームランを放った。さらに準決勝でも先頭打者アーチを放ち、史上初の「1回裏先頭打者本塁打2本」のスラッガーだった。来田の視線はもう上しかないだろうが、ウエスタン・リーグでは、ここまで82試合に出場して、293打数77安打2本塁打24打点、打率.263と立派な数字を残している。
中日3位・土田 龍空内野手(近江出身)は8試合出場で5打数2安打2打点、打率4割を残している。守備を買われての起用が中心とはいえ、近江では1年からレギュラーを奪った素質はプロでも評価されている。ヤクルト3位・内山 壮真捕手(星稜出身)が6試合に出場している。5打数で安打はないが、時間の問題だろう。
その他の選手は一軍デビューを手ぐすね引いて待っている。オリックス2位の元 謙太(中京)はウエスタン・リーグで102試合307打数43安打4本塁打26打点、打率こそ.140と低いが首脳陣から期待されている証拠だろう。
来田、土田以外では、DeNA4位・小深田 大地内野手(履正社)と西武3位・山村 崇嘉内野手(東海大相模)がファームで80試合以上出場している。
昨年のドラフトで高卒ルーキーとしてプロ入りした投手12人、野手18人の30人は、コロナ禍に苦しんだ1年を乗り越え夢を手にした。若き戦士たちの本当の戦いはこれから始まる。
(※成績はすべて9月19日現在)