試合レポート

二松学舎大附vs帝京

2021.08.02

二松学舎大附 秋山の投打にわたる活躍で帝京との接戦を制し決勝進出

 帝京は、秋は2回戦でコールド負け、春は1回戦負けと、帝京らしくない負けが続いていた。けれども夏は、準決勝まで勝ち進んできた。相手は二松学舎大附で、伝統校同士の一戦になった。

 帝京の先発は1年生の高橋蒼人二松学舎大附はエースの秋山正雲ではなく、同じく左腕の布施東海が先発した。布施の先発起用について市原勝人監督は、「相手は帝京。粘り強いです。秋山に慣れないよう、秋山はできるだけ短いイニングにしたかった」と語る。布施には失点3くらいは覚悟して送り出した。

 そして1回裏、いきなり帝京打線につかまる。帝京の1番・小島慎也の中前安打、2番・本村千夏良が送り、3番・高橋大陸の内野安打で一死一、三塁。4番・尾瀬雄大の右前安打で小島が生還して帝京が1点を先制したが、一塁走者の高橋大も一気に三塁に進もうとしたが、右翼手・]丸山丈司からの好送球で高橋大は刺された。「あそこは1点で止まって良かったです」と、市原監督が言うように、試合の流れを変える大きなプレーであった。

 4回裏帝京の攻撃で二死後、布施は2人続けて四死球を出したところで、エースの秋山にスイッチした。秋山は8番・川本虎太朗を二飛に打ち取り追加点を許さない。

 5回表二松学舎大附は8番・鎌田直樹が二遊間への難しい当たり。これを帝京の遊撃手・武藤闘夢が一塁にやや強引に送球。これが暴投になり、鎌田は二塁に進んだ。打席には前の回から登板したばかりの秋山。打撃も得意の秋山が右前安打を放ち、二松学舎大附が同点に追いついた。さらに走者をためて3番・瀬谷大夢の二塁打などでこの回4点を入れて、二松学舎大附が一気に逆転した。

 それでも5回途中から登板した帝京のエース・安川幹大新垣飛熙の好投で、二松学舎大附に追加点は与えない。

 帝京にとって数少ない反撃のチャンスとなったのは、6回裏だった。一死から5番・武藤が遊撃手への内野安打で出塁すると、続く2人に守備がいいはずの二松学舎大附の遊撃手・永見恵多が続けて守備のミスで満塁となった。ここで帝京の8番、1年生の川本が三振、9番・安川が三ゴロに終わり得点できない。

 それでも帝京は9回裏に意地をみせる。一死後、代打の大塚智也が右中間を破る三塁打を放ち、1番・小島の左犠飛で生還し、2点差に迫る。なおも走者を2人出したが、4番の尾瀬が中飛で万事休す。帝京のノーシードから戦った夏が終わった。それでも秋、春の不振から、「どこまで引っ張れるか、挑戦でした。選手はよくやってくれました」と帝京・前田三夫監督は語る。これで10年甲子園に行っていないことになったが、これから甲子園に行くチャンスは十分にあると、可能性を感じさせる戦いぶりであった。

 秋、春の都大会で、東東京勢で4強に残ったのは関東一二松学舎大附だけ。文字通りの2強が甲子園をかけて戦うことになる。先発は誰になるか分からないが、二松学舎大附秋山正雲関東一市川祐という、左右の好投手の投げ合いを期待したい。

(取材=大島 裕史

二松学舎大附vs帝京 | 高校野球ドットコム刻々と変わる首都・東京の動きを早く・詳しくお伝えします。
そして、甲子園切符をつかむチームは…夏の高校野球東京大会の試合も熱くお届けします!
TOKYO MX「news TOKYO FLAG」(月~金 午後8時~  土・日午後6時~)

【トーナメント表】第103回東東京大会の結果
【レポート一覧】第103回東東京大会
【レポート一覧】第103回大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得