22年の大阪桐蔭も強力!野手は捕手以外、総入れ替えもU-15代表4番などが中心か
松尾汐音(大阪桐蔭)、川原嗣貴(大阪桐蔭)
今年の夏甲子園は2006年以来の2回戦敗退となった大阪桐蔭。痛恨だったが、大阪桐蔭にとっては更に強くなることを予感させる負けだった。もちろん新チームの大阪桐蔭も強力である。
バッテリーは強力
新チームの大阪桐蔭の強みとなるのは、188センチの大型右腕・川原 嗣貴、正捕手の松尾 汐恩が残るということだ。川原は左足に全体重を乗せて強く腕を振るフォームから繰り出す140キロ前半の速球は威力抜群。変化球の精度も高く、春の近畿大会、夏の大阪大会、甲子園と経験を積んできた。悔しい経験もかなり味わってきた男が精神的に一皮剥ければ大エースとして期待できそう。
また右腕・別所 孝亮も、140キロ中盤の速球があり、夏の大会の投球はセンバツ時よりも収まりがいい投球ができるようになっていた。
甲子園ではベンチを外れたが、桐生ボーイズ時代から評判だった大型左腕・川井 泰志も、フォーム、メンタルともに万全の状態で臨めば、簡単に打ち崩せない投球が期待できるだろう。長身右腕、速球派右腕、左投手の3枚がいるのは心強い。
大阪桐蔭はベンチに入っていない下級生投手も強力と評判だ。秋の大阪大会でその陣容は明らかになるだろう。引き続き注視していきたい。
その投手陣をリードすることになる松尾も、近畿大会、大阪大会、甲子園と厳しい試合をくぐり抜けてきた。打たれることもあったし、逆転負けも味わった。全国的に見て、これほどの経験値を積んだ2年生捕手はいない。近江戦の敗戦も松尾の成長に大きくつながると信じている。
力量としては来年の高校生を代表する捕手といっていい。細身ではあるが、甲子園のバックスクリーンに打ち込むパワーと技術力。スローイングタイム1.8秒台の強肩。1つ1つのスキルは目を惹くものがある。
ただ勝てる捕手になるには、夏の大会で苦しんだ場面を糧にして、勝つリードを実践できるか。もちろん、大阪桐蔭投手陣もピンチの時こそ冷静な心境でベストボールを投げられることが求められる。
大阪桐蔭バッテリーの真価が問われるのは、勝ち進んで、強豪校と対戦した時、あるいは近畿大会まで勝ち進んだ時ではないだろうか。
野手は星子天真に期待か
打線では松尾と同じ中学時代のチームメイトだった谷口 勇人が強肩巧打の左打ちの外野手で、春の近畿大会でベンチ入りをしていた。また、U-15代表の4番打者だった海老根 優大、U-12代表で主将を務め、中学時代も評判だった二塁手・星子 天真が、ベンチに入っていれば中心選手として話題になる可能性がある。
星子はU-12代表で取材した時、小学生離れした強肩に加え、小学生なのに、そうとは思えない大人びていた印象がある。中学時代に取材した時には、非常に気配りができる選手だと感じた。この夏はベンチ入りしていなかったが、かなり人望は厚いので、新チームの中心人物になっていてもおかしくない。
野手に関しては大阪桐蔭の先輩たちが大事にしてきたカバーリング、バックアップなど細かな部分をしっかりと追求して投手を盛り立ててほしい。
今年は、ほぼ3年生で臨んだため、総入れ替えの形になる。経験値の少なさは気になるが、例年、トップレベルの力量を持った選手が出てくるだけに、どんなニューヒーローが出てくるのが非常に楽しみだ。
2回戦で敗れてしまった今年の大阪桐蔭ナインだが、池田 陵真を中心にキャラが立った選手が多くて見ていて楽しいチームだった。ぜひ来年もそんなチームを作り上げることを期待したい。
(記事:河嶋 宗一)