選抜準V明豊など九州勢が続々登場/4日目みどころ
熱戦が繰り広げられる第103回大会。そして大会4日目は甲子園常連校と九州勢が多く登場する。
第1試合 長崎商(長崎)vs熊本工(熊本)
城戸 悠希(長崎商)、宮田 宗慶(熊本工)
強豪揃いの長崎を勝ち抜いた長崎商と2大会連続で熊本を制して、再び熊本をリードする存在となっている名門・熊本工の九州勢対決。
熊本工は1番古閑 健太郎、3番宮田 宗慶を筆頭に、左の好打者が揃う。熊本大会では5試合中、3試合が二桁得点と高い攻撃力を誇る。熊本大会ではビッグイニングを作って、試合の主導権を作ることが多く、熊本大会のように集中打で攻略をしていきたい。
投手では右の技巧派・吉永 粋真は熊本大会で、5試合で、35.2回を投げて、8失点と安定した投球を見せた右の技巧派だ。
対する長崎商は長崎大会でサヨナラ勝ち2試合、決勝ではセンバツ出場の大崎相手に、9回に追いついて、延長で勝ち越した粘り強い試合運びが持ち味。守りの中心はエースの城戸 悠希、右サイドの田村 琉登は4試合に登板しており、2人の継投策が十分に考えられる。打線は、1番横田 星大、打撃のいい城戸、大坪 迅など好打者を中心に粘り強く点をとっていく。
熊本工からすれば、先取点だけではなく、ビッグイニングを作って、主導権を握りたい。一方、長崎商は先行されても1、2点差で終盤に持ち込んでいきたい。どちらが持ち味を発揮できるか、要注目の一戦だ。
[page_break:第2試合 専大松戸(千葉)vs明豊(大分)]第2試合 専大松戸(千葉)vs明豊(大分)
深沢 鳳介(専大松戸)、京本 眞(明豊)
1回戦屈指の好カードと呼ばれており、激戦が期待できそうだ。専大松戸はエース・深沢 鳳介、岡本 陸の二枚看板で形成。深沢は右サイドから140キロ中盤の速球、スライダー、カーブ、シンカーを駆使する本格派で、31回を投げて、38奪三振、5失点と抜群の安定感を発揮。また岡本 陸も、27回を投げ、24奪三振、4失点。岡本は140キロ前半の速球、縦変化を使える右投手だ。
春から打線を強化し、関東大会で優勝。打線は打順関係なく長打が打てる選手が多い。長打力ならば、強打の2年生捕手・加藤 大悟、突破口を切り開きたいならば、選球眼も良く走塁技術も高い石井 詠己、ここぞという場面では右の強打者・山口 颯大がいる。そしてサヨナラ満塁本塁打を放ち、今年の専大松戸の顔となっている左の強打者・吉岡 道泰と強打者が揃う。
明豊は長身から角度のある直球を投げ込む大型右腕・京本 眞、右サイドから140キロ前後の速球、切れのあるスライダーを投げ込み、先発とリリーフのどちらでもいける財原 光優、切れ味抜群の速球を投げ込む左腕・太田 虎次朗の3人が中心。状況次第では140キロ中盤の速球を投げ込む1年生右腕の森山 塁の出番もあり得る。
打者は右打者、左打者と巧打者が多く、ここぞという場面で勝負強さを発揮する。
どちらも守備力を含めた総合力が高く、いずれにしてもロースコアの熱戦が期待される。歴史に残るようなゲームになることを期待したい。
[page_break第3試合 沖縄尚学(沖縄)vs阿南光(徳島)]第3試合 沖縄尚学(沖縄)vs阿南光(徳島)
仲宗根 皐(沖縄尚学)、森山 暁生(阿南光)
公立校の阿南光の注目は、140キロ前半の速球を投げ込む大型左腕・森山 暁生。スライダーの切れもよく、沖縄尚学相手にどこまで通用するか注目したい。また、打線は打撃好調の3番・矢野 隆太、強打の4番・高木 裕介を中心にロースコアを制する守備型のチームだ。ベンチ入り3年生は6人という「若い」チームだけに、甲子園に慣れて、思い切り良く試合運びができるか。
対する沖縄尚学は完成度の高い左腕・當山 渚、沖縄大会でノーヒットノーランを達成した右腕の美里 大雅、昨秋はエース格だった本格派右腕・後間 翔瑚と投手力が高い。打線は主将で3番ショートの仲宗根 皐は打率.611をマーク。1試合の平均犠打数は3位の3.8個と手堅い攻めで着実に点をものにしていく。
お互い守備型のチームで持ち味を発揮できれば、3点から4点勝負の一戦となりそうだ。
[page_break:第4試合 盛岡大附(岩手)vs鹿島学園(鹿島)]第4試合 盛岡大附(岩手)vs鹿島学園(鹿島)
藪野 哲也(鹿島学園)、金子 京介、松本 龍哉(ともに盛岡大附)
ついに今年の出場校の中ではナンバーワンの強力打線を誇る盛岡大附が登場する。5試合連続本塁打の金子 京介、高校通算64本塁打の松本 龍哉など、本塁打を打てる打者がそろう。体格も素晴らしく、岩手大会の打撃を振り返っても、打球速度、スイングスピードが実に違う。本物の強打のチームが現れたが、それでも甲子園で発揮するのは非常に難しい。
対する鹿島学園のエース・藪野 哲也は140キロ近い速球と多彩な変化球を武器にする右の好投手で、藪野をリードする高久 塁は名将・鈴木監督も認める頭脳を持った好捕手で、盛岡大附打線を凌ぐリードを見せていきたい。
盛岡大附の投手陣は渡辺 翔真の投球が軸となりそう。鹿島学園は甘く入れば、集中打で得点を重ねることができる。
盛岡大附が鹿島学園バッテリーの配球を超える強打を発揮するか、鹿島学園が守り合いを制するか。どちらが試合の主導権を握るかで、打撃戦、守り合いと大きく試合展開が異なりそう。
1イニング1イニング、濃い試合展開を期待したい。
(文=河嶋 宗一)