試合レポート

都立足立西vs都立田園調布

2021.07.09

地力に勝る都立足立西、5回コールドの圧勝!都立田園調布、意地をみせた4回の5点

都立足立西vs都立田園調布 | 高校野球ドットコム
都立足立西・鴨狩唯斗 ※写真は昨秋のブロック予選より

 都内は無観客となり、大会は2週間後に迫りながら盛り上がりに欠ける東京五輪であるが、この日の午前中、駒沢オリンピック公園で聖火リレーの式典が行われた。この公園の一角にある[stadium]都営駒沢球場[/stadium]では、いよいよ甲子園を目指しての戦いが始まった。その最初の試合は、都立校同士の対戦になった。

 ともに秋は1次予選の初戦で敗れたため、久々の公式戦になった。しかも緊急事態宣言が長く続いたため、練習試合もほとんどできず、ぶっつけ本番に近い戦いになった。都立足立西は分散登校のため、全体が揃うのは週末くらい。都立田園調布は、秋はバドミントン部に助っ人を頼み大会に出場。現在3年生の部員が8人。2年生部員はおらず、1年生2人という構成で、単独出場にこぎつけた。

 試合の立ち上がり、両チームとも硬さはあったが、足立西の先発、身長186センチの有馬拓は1回表を三者凡退で抑える快調な立ち上がり。

 その裏の攻撃で、足立西の1番・上田雄大の二塁手後方のフライがポテンと落ちて二塁打になると、四球や内野ゴロで一死二、三塁とし、4番・須藤万葉の左前安打で2人が還り、さらに6番・鴨狩唯斗のセーフティスクイズも決まりこの回3点を先制した。

 足立西は2回裏にも二死満塁のチャンスを作ったが、ここは都立田園調布の先発・早川勇理が踏ん張る。

 足立西の有馬は、長身から力のある球を投げ、都立田園調布を抑えていたが、4回表の都立田園調布の攻撃で、有馬自身「自分でも分かりません」と語る突然の乱調により、1安打2四球で無死満塁となり、6番・福原蒼生にも四球で押し出し。

 その後の2人は三振に仕留めたものの9番・水名泰惺にも四球でさらに押し出し。そのうえ投手ながら1番打者でもある早川がセンターオーバーの二塁打を放ち満塁の走者を一掃。この回一挙5点を挙げて試合をひっくり返した。

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 「あの5点はやってはいけない。流れが悪いことのオンパレードです」と、足立西の芝英晃監督は語る。対する都立田園調布のベンチは投手で1番打者の長打に、「みんな『大谷君が乗り移ったみたいだ』などと言って盛り上がりました」と、吉田宣浩監督は語る。

 下位打線に四球を出して1番打者の投手に打たれるという、足立西にとっては悪い流れ。ただ、5回から登板した須藤がしっかりゼロに抑えると、その裏、健闘していた都立田園調布の早川は一気に崩れる。

 足立西は、1番・上田の二塁打や6番・鴨狩の三塁打などで7点を挙げ、さらに走者を2人置いて、2番・岩﨑大和の右飛を1年生の水名が落球。2人が還り、15対5。5回コールドが成立した。

 サヨナラエラーとなった水名にはつらい幕切れであったが、硬式野球を始めて間もなく、実戦経験をほとんど詰めない中で挑んだ夏の大会。厳しいけれども、貴重な経験になったはずだ。そして何より、水名に横山然という2人の1年生が入ったからこそ出場できた最後の夏の大会だけに、3年生にとっては、ありがたい存在であった。秋は連合チームになるが、都立田園調布は歴史のある学校だけに、2人の1年生を中心に、伝統をつないでほしい。

 勝った足立西は15日に都立東と対戦する。「この期間を大事にしたいです」と足立西の芝監督。これまでチーム全体の練習があまりできなかっただけに、次の試合までの間隔も、貴重な時間である。

(取材=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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