國學院久我山vs早稲田実業
国学院久我山・高橋 気迫の投球で8回失点1の好投!早稲田実 1回戦で敗退
先発・高橋風太(国学院久我山)
秋はベスト8の早稲田実に対して、国学院久我山は1回戦の城北戦で、7回表で12点をリードしながら、逆転されるという衝撃的な敗戦をしている。とはいえ2年前の夏の西東京大会では準々決勝で早稲田実を破り、優勝している。現在のチームも十分力があるだけに、1回戦屈指の好カードである。
早稲田実は、秋は二塁手だった國光廣太の打撃を生かすため一塁手にし、主将の清宮福太郎は左翼手になった。早稲田実の先発は当然エースの田和廉だ。
対する国学院久我山も、小柄だが気迫のある投球をする高橋風太が先発した。
高橋は1回、2回と早稲田実の強力打線を三者凡退に抑え、流れを作る。すると国学院久我山は、秋は1番打者であった8番の下河邊隼人が左前安打で出塁し、9番・藤原健祐の犠打で二塁に進み、2番・黒﨑将太の左前安打で生還して1点を先制した。続く3番・田村優樹のライトへの二塁打でさらに1点を追加した。
追いつきたい早稲田実も、走者は出すものの、点が入らない。5回裏も二死ながら一、三塁のチャンスであったが、3番の壽田悠毅が高橋のスライダーにタイミングが合わず三振に倒れる。
国学院久我山が2点リードの5回ごろから、雨が降り出した。逆転負けをした城北戦も雨が降り出す中での試合だった。「雨が降り出した瞬間は、頭をよぎりました」と尾崎直輝監督は語る。
それでも、すぐに雨は止んだ。すると国学院久我山は7回表、7番・内山凜がセンターオーバーの三塁打を放ち、続く下河邊の中犠飛で1点を追加した。内山も秋は3番の中心打者。これは下位からでも点を取るという尾崎監督の考えによるもので、「打順は定着しません」と語る。
8回表にも二死二塁から好投している5番・高橋が左中間を破る二塁打を放ち、4対0とした。
1球1球丁寧に投げている高橋は、後半次第に球数が多くなり、7回が終わった時点で投球数が120になっていた。疲労が感じられる8回裏、早稲田実は3番・壽田の中前安打に続き、この試合、内野安打1本の4番・清宮が右中間を破る二塁打を放ち1点を返した。
秋はエース・高橋が降板した後に崩れた国学院久我山であるが、9回裏は右翼手の内山が登板。早稲田実は一死後1番・石郷岡大成が二塁打を放って反撃に出たが、3番・壽田の左飛で清宮に打順が回ってこないで、試合終了。国学院久我山が早稲田実を破る金星を挙げた。
早稲田実の和泉実監督は、「ボール球を振ってしまいました。もともと打てない」と厳しい表情で語り、「かなり刺激を与えないと」と言い、今後、メンバー構成を変えていくことを示唆した。また清宮主将は、「ここまで弱いと思っていませんでした。ショックです。自分たちに驕りがあったと思います」と語る。帝京に続き、早稲田実も破れ、この大会は波乱含みになってきた。
緊急事態宣言のため、1次予選は行われなかったこの大会。秋の1次予選で敗戦したチームなど、試合をしたくても、できないチームもあった。「みんなの思いを背負って戦わないといけないと思います」と国学院久我山の尾崎監督は語る。2回戦の相手は東海大高輪台。このチームも秋は逆転負けしている。ともに思いの強い両校の対決だけに、好ゲームを期待したい。
(記事:大島 裕史)