楽天待望の生え抜き高卒野手の活躍なるか
智辯和歌山時代の黒川 史陽
プロ野球の練習試合が本格化し、若手選手たちの猛アピールが続いている。田中 将大の日本球界復帰で盛り上がる楽天は黒川 史陽が好調だ。
2019年ドラフト2位で指名され智弁和歌山高から楽天へ入団した黒川は、今春季キャンプで一軍スタート。途中で降格することなく完走し、練習試合にもスタメンで出場している。2月25日のDeNA戦では5打数5安打2打点と大当たり。同27日のヤクルト戦でも、センターオーバーの適時二塁打を含む2安打を放ち存在感を見せた。
そんな黒川には、楽天の生え抜き高卒野手では、ほとんどいないレギュラー確保への期待がかかってくる。黒川のメインポジションである二塁には浅村 栄斗がおり、すぐのレギュラー確保は現実的ではない。しかし新型コロナウイルスの影響で外国人選手の来日が未定ということもある。他選手との兼ね合いももちろんあるが、指名打者や他のポジションでの起用を考えたくなるほどの結果を残している。
振り返ってみると、これまでに楽天では生え抜き高卒の野手で飛躍した選手はほとんどいない。規定打席に到達したことがあるのは、銀次(盛岡中央高→2005年高校生3巡)ひとりだけ。西田 哲朗(関大一高→2009年2位)が、2014年に131試合に出場したものの415打席にとどまり、惜しくも規定打席(446打席)には届かなかった。
現在所属する選手では、内田 靖人(常総学院高→2013年2位)とオコエ 瑠偉(関東一高→2015年1位)が2位以上の上位指名を受けているが、ここまでは一軍で結果を残すことができていない。オコエは手術明けということもあり、今シーズンも開幕は絶望。試合復帰まで4ヶ月かかるため、今シーズンの規定打席到達もむずかしい。
2005年からパ・リーグに参入した楽天は、ドラフト会議に参加したのが2004年からとなっており歴史が浅い。とはいえ、すでに15年以上が経過していることを考えると、この結果は少し物足りないと言わざるを得ない。
投手では田中 将大(駒大苫小牧高→2006年高校生1巡)や松井 裕樹(桐光学園高→2012年1位)が球界でもトップクラスの成績を残し、辛島 航(飯塚高→2008年6位)も規定投球回に到達経験がある。
黒川は銀次に続き、球団史上2人目の高卒生え抜き選手による規定打席到達者になることはできるだろうか。その足がかりとなるシーズンとなることに期待がかかる。
(記事:勝田 聡)
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