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レギュラー全員がスイングスピード140キロ超え…県立岐阜商の強打を築き上げる無駄が一切ない打撃練習

2021.03.23

 2年連続で東海大会準優勝に輝いた県立岐阜商。春夏合わせて57回の甲子園出場という実績をもつ高校野球界の名門校として、今もなお存在感を放つ。そんなチームを指揮する同校OBにして名将・鍛治舍巧監督。大会屈指の強力打線と呼ばれる県立岐阜商は初戦で小園健太擁する市立和歌山と対戦する。ではどんな練習法で強化しているのか。

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1週間で600球。140キロ投手揃いの県立岐阜商の投手陣が実践する投げ込みの真意とは

効率化された県立岐阜商の打撃練習

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 バッティング練習の様子を見ると、ゲージは5か所と公立校とは思えぬほどの充実ぶり。1ヶ所あたり10球で交代していく形でバッティングを回すが、1ヶ所ずつ工夫が凝らしてある。

■手投げ(2か所)
ピッチャーとの距離は10メートル程度。そこからある程度の力加減でボールを投げてもらい、体感スピードで150キロ程度になるように実施することで速球対策をしている。

■マシン打ち(変化球)
こちらの距離も10メートル程度の位置にセッティング。右と左それぞれスライダーに設定するが、あえて正面から横に外した位置からボールを投げ込むことで、大きな変化を実現させて対応力を磨いている。

■マシン打ち(真っすぐ)
ここだけ15メートルの距離に設定するが、手投げの2か所同様に体感速度では150キロを感じられるようにマシンを調整して、速球への対応力を磨いている。

 これが県立岐阜商のフリーバッティングになるが、これが終了したら最後は『1本打ち』と呼ばれるメニューに入る。各ゲージ1球勝負で、合計で30打席立つ。手投げに関しては変化球も混ぜる実戦形式で行われ、打球を見て待っている選手がアウトかヒットか判定。

 それらの結果を、練習を見守る鍛治舍監督に報告する流れで、打撃練習を終える。待っている選手からはプレッシャーをかける声が飛び、ゲーム性のなかにも試合さながらの緊張感が漂う。

 実際に高校通算17本塁打の高木翔斗もこうした練習を通じて、「対応能力は磨きがかかったと思います」と効果を実感。強打の県立岐阜商は効率化の中に試合感覚を磨くことで、成立していたのだ。

[page_break:素振りから始まる140キロ越えの道]

素振りから始まる140キロ越えの道

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  他にも通常のバッティング練習では、ゲージに入るまでの間に、
・エルゴメーター
・バイク
・スイングスピード計測
・4球連続のロングティー
といった待ち時間も一切無駄にしない練習メニューがびっしりと詰まっている。

 試合の主導権を握るうえでも打撃をポイントにして、鍛治舍監督はチームの強化を図るが、バッティングだけでも560回打てるようにするなど、とにかく振り込みをするようにしている。

 「振り込むというのが基本の1つです。ただシーズン中であればノックバットでスピードを付けてあげて、冬場であればパワーを付けるように重たいバットを振る。同じスイングでも中身を変えるようにしています」

 取材当日も練習の最後は素振りを実施。マスコットバットを片手に選手たちが振り込み続けたが、その際にも右投手、左投手それぞれ順番にシャドー。野手はタイミングをしっかりと合わせて素振りをするなど、細かな部分まで強くこだわりをもって練習に打ち込む。

 こうした取り組みを理解して選手たちも取り組み続けたおかげもあって、ベンチ入りする野手全員がスイングスピード140キロを超えるようになり、スイングの土台はきちんと出来上がった。

 それでも東海大会は準優勝。「試合になると長打が出せませんでしたので、春先はそれを試合で発揮できるようにしています」と勝負所での長打力を課題に現在は練習に打ち込む県立岐阜商。春以降、強打で高校野球を沸かせて全国のライバルたちの包囲網を打ち破ることを期待したい。

(取材=田中裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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