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2年連続東海大会進出の加藤学園など東海地区の2021年に注目すべきチームは?

2021.01.09

 コロナ禍とはいえ、秋季大会は東海4県すべてで予定通り開催することが出来た。また、東海地区大会も、無観客という形ではあったものの、予定通りに国体リハーサル大会として三重県で終えることが出来た。そんな秋季大会から、来季の躍進が期待されるチームを拾ってみた。(文/手束仁

東海大会4強入りを果たした岐阜第一

 岐阜県では、福知山成美で春夏合わせて6度甲子園へ導いた実績のある田所孝二監督が就任して5年の岐阜第一が一推しだ。近年4強の常連となっているのだが、この秋は全国的にも注目されていて来春のドラフト候補とも言われている阪口樂君を擁して、東海大会ベスト4に進出。さらなる期待が高まっている。

 かつて岐阜短大付時代には、夏の甲子園ベスト4の実績もある岐阜第一。過去、春4回、夏2回という甲子園出場実績がある。ただ、2001年春を最後に甲子園から遠ざかっている。折しも、そこから20年を経て、田所監督を招聘して5年目。この秋も県大会3位で東海地区大会進出を果たすと、松阪商と静岡県1位の藤枝明誠を下してのベスト4。準決勝では同県対決となった県岐阜商に敗れたものの、チームとしての力は示した。

 その原動力となっているのが投打でプロからの注目も高い阪口樂君だ。186センチ87キロという恵まれた体格で力のあるストレートを投げ込んできてスタミナも十分だ。そして、投手以上に魅力的だと言われている打撃は、今年1年対外試合が少なかったにもかかわらず高校通算15本塁打というパンチ力を有している。東海大会ではマークも厳しく無安打だったものの、そのことで自身の弱点も見出したことで冬の努力課題も見えてきたと言っていいであろう。また、1番岡本海透君もパンチ力があり、松阪商戦ではスタンドへ放り込むパワーも見せている。

 学校としては女子野球部も創部しており、元女子プロ野球に所属していた小久保志乃監督を招いて実績を上げてきている。

[page_break:静岡は三島南と加藤学園に注目!]

 横に長い静岡県は東部、中部、西部と3地区に分かれているが、有力校はどうしても人口の多い静岡市のある中部地区に集中しがちだ。そんな中で2021年の静岡県では三島南加藤学園という東部地区の2校を推していきたい。

地域密着で21世紀枠の県推薦校となった三島南

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三島南ナイン

 秋季県大会の準々決勝で県内1の名門・静岡に、なかなか勝てなかったのだが、ついに勝利してベスト4に進出。準決勝と3位決定戦では惜しくも敗れて悲願の東海大会進出は果たせなかったものの、21世紀枠の県推薦校となった。

 静岡戦では、徹底した研究の末に、とにかく外野陣は草薙球場でフェンスギリギリのところで守っていた。その結果として、その守りも功を奏して大型打線の静岡に対して18飛球と狙い通りだった。右横手投げの植松麟之介君は130キロにも及ばないストレートだが、低めに丁寧に投げていく投球で、静岡打線を交わしていった。

 また、背番号1ながら主にリリーフの前田銀治君は3番センターで出場することが多い。マウンドに登れば140キロ近いストレートが武器だ。「来年には、常時140キロをマークできるようにしたい」と、冬の目標はスピードアップだ。そのために筋力をつけていくことも課題としている。

 ちょうどこの年のチームが創部100年目を迎えることとなる。「その年に、これまで以上の実績を残したい」という稲木恵介監督は就任以来、手作りでダッグアウトやブルペンなども含めてグラウンドを整備してきている。また、そのグラウンドに小学生を招いて「野球体験会」なども開催して、野球のすそ野を広げていくことと地域活動に貢献している。「ウチの子たちはみんな、地元の子ばっかりですよ」と稲木監督も言うように、まさに、地域密着型の公立校である。まさに、地域で愛される高校野球チームでもある。

2年連続東海大会進出を果たした加藤学園

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加藤学園・樋口巧

 今春悲願のセンバツ出場春夏通じての甲子園出場を果たしながらも、センバツは新型コロナの影響で中止となり夢にまで見た初舞台が奪われた。そのショックも尾を引いたのか、夏の選手権大会の代替えとして開催された夏季大会では初戦で敗退。それでも、センバツ出場校に与えられた甲子園での交流試合に出場出来ることになって、もう一度気持ちを作り直し、1年生の太田圭哉君を起用するなどチーム編成も大胆に切り替えて、鹿児島城西に勝利した。

 これを一つの実績と自信として挑んだ新チームは東部地区予選では1位となり県大会進出。県大会でも静岡商磐田東と下してベスト4。準決勝では、昨秋の決勝を競った藤枝明誠とまみえて敗れたものの、3位決定戦をクリアして2年連続東海大会進出を果たしたのはさすがだった。

 前チームに比べると、投手陣は大黒柱が不在の分やや心もとないところもあるが、東海大会でも県決勝でも4人、5人と繋いでいきながら対応。米山学監督は、この中から一冬超えて抜け出てくる存在を期待している。その一番手候補としては左の樋口巧君か、1年生ながら長身の石山拓真君と言ったところだろうか。また、その投手陣を引っ張る雨宮快成君は前チームからの経験もあり、チームリーダーとしての期待も高い。

 これらが上手く噛み合っていけば、来年の加藤学園は、さらにもうひと暴れしていきそうな雰囲気を十分に感じさせている。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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