Column

自主性を武器に埼玉の上位勢力にまで上り詰めた浦和実業スタイル

2020.11.26

 埼玉の実力校・浦和実業。2018年秋ベスト4、2019年春関東大会出場と急速的に力をつけてきた。そんな浦和実業は普段、どんな環境、方針で練習をしているのだろうか。

フリー打撃ができない環境のもと自主性を重視に取り組む

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アップに取り組む選手たち(浦和実業)

 浦和実業のグラウンドは、学校のあるさいたま市南区ではなく、緑区の浦和大学の敷地内にある。最寄り駅は埼玉スタジアム2002がある浦和美園駅。

 授業を終えて選手たちは自転車で40分もかけて、グラウンドに向かい、練習に入る。そのため普段は16時半~17時ぐらいから全体練習に入る。

 このグラウンドは普通のグラウンドのように高いフェンスがなく、ボールが飛び出しやすい構造となっており、フリー打撃ができない。基本的にこのグラウンドでは、アップ、キャッチボール、ノックなどの守備練習をメインに使用している。打撃練習ではグラウンドの端にある鳥かごで、練習をしている。

 このグラウンドで凄いのは、ブルペンが6箇所もあること。最近の躍進により、多くの部員が加入し、1学年投手10人も珍しくない選手構成となった浦和実業。

 やはり投手はブルペン投球をしてレベルアップしたいもの。今年はプロ志望の豆田投手の影響で、豆田投手を目指そうと投手陣のモチベーションも高く、多くの投手がハツラツと投球練習に臨んでいた。

 またフリー打撃ができないので、打撃陣はどう意識して練習に取り組んでいるのか?佐藤 晴主将はこう語る。

 「自分たちはフリー打撃はできないので、内容が濃い練習を効率性を大事にしています。ゲージを打つ時でも、試合を想定して、初球から打つイメージでやっています」

  浦和実業は16時半頃から始まり、練習も19時過ぎに終わるため、練習時間は全国的に見たら短いチームだろう。だからこそ創意工夫しながら練習に取り組んでいる。

 では秋ベスト16に終わった今年のチームはどんなチームなのか。多くの強打者、好打者をそろえ、関東大会に出場した2019年のチーム、埼玉西武から豆田 泰志と絶対的なエースを擁して、南部大会準優勝(県ベスト8)を果たした2020年のチームと比較すると、今年のチームは未知数で、いわゆるタレントはいない。

 そこでチームは選手の自主性が大事だという。改めて練習の雰囲気を見ていくと、いわゆる1つでもミスをしたら、厳しい叱咤激励が飛ぶような雰囲気ではない。

 あくまでコツコツと自分の練習に集中して取り組む。それが浦和実業のスタイルなのだ。

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さらに粘り強くなって甲子園にいきたい

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佐藤 晴主将(浦和実)

 プロ入りした豆田はこのような環境だからこそ、自分で考えて練習に取り組み、最速147キロまで伸ばせる土台を築けた。現状の実力について佐藤主将はこう語る。

 「まだ全員も技術がなく、豆田さんのような存在はいないので、全体的に力はないと思います。最初のほうはチャンスで1本でなかったり、失点も多かった。強豪校と練習試合がやっていく中で、失点も少なくなっているので、チャンスで大事な出てきているので成長はしています」

 実際に県大会では市立浦和戦では4点の先行を許し、逆転して7回コールド勝ち。越ヶ谷戦でも2点の先制を許してから逆転して8回コールド勝ち。敗れた細田学園戦でも延長12回まで粘り、チームは着実に粘り強さは出てきているう。

 今年は2年生だけではなく、1年生も多くベンチ入りしており、さらに競争は激しくなるようことが予想される。実際にベンチ入りしていない投手でもキャッチボールからものすごいボールを投げる本格派右腕もいて、わくわくさせられるものがあった。

 佐藤主将に今後の意気込みを語ってもらった。

 「まず夏の独自大会では決勝で負けてしまって(南部大会)準優勝で終わってしまったので、先輩方の分まで頑張って勝ち上がって甲子園初出場を果たしたいです」

 この自主的なスタイルで、さらに能力の底上げを行い、来年の春にはよりパワーアップした姿を見せることを期待したい。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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