Column

二俣翔一などタレントを輩出しつづける磐田東(静岡)の課題

2020.11.20

 静岡加藤学園常葉菊川など多くの実力校が点在する静岡県。例年、能力が高い選手を揃えるのが磐田東だ。今年は超強肩捕手・二俣 翔一を輩出し、個人を育てるチームとして注目が集まっている。そんな磐田東はどんな課題で練習を行い、注目選手にはどんな選手がいるのか。

基礎練習と実戦練習を織り交ぜレベルアップ

二俣翔一などタレントを輩出しつづける磐田東(静岡)の課題 | 高校野球ドットコム
捕球練習を行う選手たち

 所在する磐田東は学校から少し離れた場所にある第二運動場で練習をしている。グラウンドの横には鳥かごなどもあり、しっかりと練習できるスペースがある。また寮もあり、山本監督は寮監も務め、選手の体を大きくするため、自ら厨房に立ち、ご飯を作る。色々なメニューを作り、選手からも好評。選手たちの体つきを見ても大きい選手が多いのが分かる。

 

 秋季県大会は加藤学園に0対8でコールド負けを喫してしまった。そこでは技術、メンタルなどいろいろな面が課題となった。

 大会後の練習では実戦練習の前に内野手、捕手は徹底とした捕球練習を繰り返していた。また秋季大会終了後から外野手の佐野 立真が捕手へ転向し、プロ入りした二俣からキャッチングについて指導を受け、スキルアップを目指した。

 捕球練習が終わると、ノックに入る。磐田東の場合は通常のシートノックではなく、走者付きが前提。ここでは連携での声掛け、選手たちの走塁姿勢などについて選手同士が厳しく指摘しあう。新チーム当初はあまり声かけができなかったようだが、県大会終了後から選手たちがお互いを意識しあい、声掛けを大事にするようになった。副主将の植田は「ポテンシャルは高いチームですけど、駄目な時にみんな駄目になってしまうチームカラーなので、そこを変えたくて周りを見て、声をかける努力をしています」と語る。

 そしてゲームノックが終わると、フリー打撃に入る。この間でも走者が入り、打った打球に応じて、選手は打球を処理し、走者は本塁に突入したりと感覚を養っていく。

[page_break:潜在能力は高い選手ばかり]

潜在能力は高い選手ばかり

二俣翔一などタレントを輩出しつづける磐田東(静岡)の課題 | 高校野球ドットコム
佐野 立真主将(磐田東)

 春の躍進へ向けて練習を重ねる磐田東ナイン。佐野主将は現状のチーム状況についてこう語る。

「まず秋の大会は、得点も多かった試合もあったんですけど、相手のミスに助けれた部分もあり、つながりの面で物足りなかったです。
 西部大会(地区予選)で負けた試合など、結局、普段、たくさん点をとっても、0点が続くと点が取れない試合がありました。厳しい言葉ですが、自分も含めて、誰かが流れを変えようという選手がいないので、全員で流れを変えていかないとよくなっていかないと思います」

 主力選手としてどれだけ自覚を持ってできるか。佐野主将は選手たちに訴えかけている。佐野に続き、副主将の植田は「声掛けも、ミスがあった時に『おい』といって終わるのではなく、なぜミスが起きたのか?そういったことを具体的に説明できるようになっていければチームの意識も高くなっていくと思います」。

 意識を変えれば、着実に上位進出から見える選手層を持ったチームということだ。投手陣では最速139キロ右腕の水野 琉唯、安定感の高い好右腕・冨田 優吾も135キロ前後を記録する。

 打線では植田、岡野 裕一郎の2人が中心。植田は東邦で活躍した植田 結喜(東海大)の弟。左腕の兄と違って弟は180センチ超えの大型遊撃手だ。「自分の取りやすいタイミングデ構えを工夫していたら、自然とそうなった」と答えるようにオープンスタンスで重心を低くして構える独特の構えから鋭い打球を次々と飛ばす。遊撃守備を見ても動きの良さが光る。植野も180センチ超えの大型一塁手で、フォローが大きいスイングで鋭い打球を飛ばす。

 しっかりと噛み合っていければ、楽しみなチームだろう。そして佐野主将はこう決意した。

「まずはどんな形でも甲子園に出るのが1つの目標であって、自分たちは性格的にも、心のコントロールができていないところが冬鍛えて、とれるところで点をつないで1点をとる。
 投手を中心に少ない失点で抑えて、打って勝てるように、この冬に鍛えていきたいと思います」

 全体練習が終わっても黙々と自主練習に取り組む磐田東ナイン。ぜひ春、夏には上位チームを脅かすチームになることを期待したい。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?