中森とともに36年ぶりの公立校複数ドラフト1位をあるのか?超高校級スラッガー・来田涼斗(明石商)の決意【後編】
2018年の選抜、その男は一気にその名が広がった。準々決勝・智辯和歌山戦で先頭打者、そしてサヨナラ弾を放った明石商・来田涼斗。同級生・中森俊介とともに2020年のドラフト戦線を牽引するスラッガーは、さらなる成長のためにどういった課題と向き合ってきたのか。
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超高校級のスラッガー・来田涼斗(明石商)課題克服のカギとなったのは「シャトル打ち」!?【前編】
9か月間の成果が出た外野フライ
来田涼斗(明石商)
実戦感覚が戻ってこないまま、未完成の状態で夏の大会に入った来田。ただ試合を重ねていくごとに「少しずつですが、実戦感覚が戻ってきました」とバッティングは復調の兆しがあった。
初戦の高砂戦では2打数1安打。全打席出塁すると、2戦目・加古川東戦では高校通算34本塁打となるホームランなど2安打5打点の大暴れ。3戦目となる小野戦では4打数1安打だったが、確実に調子が戻ってきた。
大会は日程の関係で、5回戦で打ち切りとなり、明石商は神戸第一戦が最終戦となった。この一戦では控え選手がスタメンに名を連ね、来田はベンチスタート。6回に代打から出場したが、試合は延長の末に敗れた。
しかし来田は主将として成果を残せたことを感じていた。
「普段であれば大会のメンバーが固定になるところ、今回は入れ替えが可能でしたので、普段出られない選手が活躍することでチームは盛り上がりました。チームの状態も上がっていたと思います」
ともに頑張った3年生全員が出場できたが、一方で最終戦の神戸第一戦で悔しさをにじませた。
「5、6回までは控え選手が出場していて良いゲームでしたが、勝ち切れなかったのは僕らのせいです」
特に延長10回に迎えた打席を悔やんだ。ランナーが2人おり、一打勝ち越しのチャンスで、結果は外野フライ。「実力不足ですし、詰めていかないといけない部分です」と反省する。ただ、捉えたボールはインコースだった。
「インコース高めのボールを綺麗にさばいたのですが、結果的にアウトになりました」と語るが、2戦目の加古川東戦でもインコースのボールをスタンドに運んでいる。つまり昨秋の時に課題だったコースのボールを捉えているのだ。
[page_break:最後の甲子園で感じた難しさ。そしてプロへの覚悟]最後の甲子園で感じた難しさ。そしてプロへの覚悟
来田涼斗(明石商)
昨秋から取り組んできた成果が確実に実を結び始めていた来田。そうして迎えた集大成の一戦・桐生第一との戦いは1番・センターでスタメン出場する。
相手の先発・宮下宝は緩いボールを低めに集める丁寧な投球を展開。2番手・蓼原慎二は力強いボールを投げ込む。この2人の厳しい攻めに自分のバッティングをさせてもらえず。4打数1安打で終わった。
この一戦を来田はこのように振り返る。
「緩いボールに対応しきれなかったので、まだ実力が足りていなかったと思いますし、肩の開きに関してはもっと練習して自分のものにできればと思いました。またあの一戦を通じて確実性のある打撃を身につけようと思いました」
無観客で開催されたことも、来田の中では歯車が合わなかった。
「これまで観客のおかげでモチベーションは勝手に上がっていましたが、今大会はいませんでしたので、自分で上げようと力み過ぎてしまいました。難しかったです」
現在は次のステージに向けて木製バットを使って練習に打ち込んでいる。また、「初心に帰ることで新しい発見もあると思います」ということで、ゴロ捕球やキャッチボールといった基本的なところから守備を見直している。少しでも高いレベルを目指して毎日を過ごしている。
中森とともにドラフト1位指名を受ければ、公立校からは36年ぶりとなる。今まで以上に厳しい世界へ飛び込むが「不安しかないですし、絶対に壁にぶつかると思います。ですが、あきらめずに何が何でも勝ち取ってやれればと思います」と覚悟は決まった。
3拍子揃った選手を目指し、研鑽を重ねる来田。26日に吉報は届くのか。