News

数値から見る高卒新人投手たちの現在地。頭一つリードの宮城大弥、制球力が出色の及川、中田、井上

2020.10.20

数値から見る高卒新人投手たちの現在地。頭一つリードの宮城大弥、制球力が出色の及川、中田、井上 | 高校野球ドットコム
既に一軍でも2試合に登板している宮城大弥(オリックス)

 プロ野球ドラフト会議まであと1週間。ちょうど1年前に指名を受けた選手たちも、プロ入りして1年が経ったことになる。本連載では高卒新人たちのファーム成績を追いかけ、その成長を分析する。第18回では、投手たちを見ていこう。

球威よりも打者を打ち取る能力が求められる西、浅田

 10月18日終了時点で、ファームの規定投球回に到達している高卒新人投手はいない。しかし、これは特別嘆くようなことではない。なぜなら、最後にファームで高卒新人が規定投球回を投げたのは2017年の京山将弥近江・横浜DeNA)が最後だからだ。

 いかにファームといえど、近年の育成方針では高卒新人が規定投球回を投げることの方が稀なのだ。特に今シーズンは、コロナ禍の影響で特に調整も難しかったことだろう。そこで今回は、15回以上を投げている投手に絞って考察していく。下記グラフは彼らのWHIPを可視化したものだ。

数値から見る高卒新人投手たちの現在地。頭一つリードの宮城大弥、制球力が出色の及川、中田、井上 | 高校野球ドットコム

 このグラフを見ると、被安打/投球回が優れているグループ(左上)、与四球/投球回が優れているグループ(右)、そしてバランスの良いグループ(今回は宮城のみ)に分けて考えることができる。

 まず、被安打、与四球とも良い数字をマークしているのが、オリックスの宮城大弥興南)だ。一般的にWHIP1.2を切ればチームのエース級と言われるが、宮城はそれに近い1.3を記録。投球回でも高卒新人最多の53回を投げながら、投球内容でも良いことがわかる。既に一軍でも2試合11回を投げるなど、着実にステップアップしている。

 続いて左上のグループを見ていこう。オリックスの前佑囲斗津田学園)、阪神の西純矢創志学園)、横浜DeNAの浅田将汰有明)は、与四球/投球回はやや高いが、被安打/投球回で1.0未満となっている。前は別として、西、浅田は宮城に次ぐ投球回を投げているだけに、ファームで多くチャンスをもらうには、制球力よりも打者を打ち取る能力(球威)が重要視されるのかもしれない。

 また、前に関しては投球回こそ少ないものの、被安打/投球回で宮城をも凌ぐ数字をマークするなど、今後の飛躍が期待できる要素を示している。

 一方、右側のグループに位置する阪神の及川雅貴横浜)、オリックスの中田惟斗大阪桐蔭)、巨人の井上温大前橋商)はいずれも与四球/投球回が0.35以下と、制球力が優れている。しかし被安打/投球回がいずれも1.2以上と、打者を打ち取るという部分で課題がありそうだ。

 今回の15回以上には該当しないが、7月末から上半身のコンディション不良で実戦を離れていた東京ヤクルトの奥川恭伸星稜)が、14日のイースタン・リーグ対日本ハム戦に先発した。結果は自己最長の3回を投げ1安打無失点、2奪三振、1四球で、最速は151キロをマーク。やはり投球内容では一歩抜けたものを披露してくれた。無理は禁物だが、長い回を投げられるようになったとき、どんな投球を見せてくれるのか楽しみでならない。

 予定通り試合が消化されれば、ファームの公式戦も11月1日までの残り2週間ほどとなった。その後はファーム日本選手権も待ち受けるが、シーズン終盤での一軍デビューも気になるところ。いよいよ集大成の1ヵ月となる。

※成績は全て10月18日終了時点

(記事=林龍也

データ協力: やきうのおじさん(@yakiunoojisan
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.23

春季関東大会でデビューしたスーパー1年生一覧!名将絶賛の専大松戸の強打者、侍ジャパンU-15代表右腕など14人がベンチ入り!

2024.05.23

【野球部訪問】鳥栖工は「練習の虫」のキャプテンの元で2年連続聖地を目指す

2024.05.23

【鹿児島NHK選抜大会展望】本命・神村学園、対抗馬・鹿児島実、2強の牙城を崩すのは?

2024.05.23

強豪・敦賀気比の卒業生は、日本大、東京農業大などの強豪大、2名の内野手がプロへ進む

2024.05.23

智辯和歌山の197cm右腕、和歌山東のプロ注目の強打者、公立校に140キロ超え右腕が続出!【和歌山注目選手リスト】

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】