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不完全燃焼で終わった夏 聖地を目指す滋賀学園の今年のキーマンたち【前編】

2020.09.23

 春夏合わせて3度の甲子園出場経験のある滋賀学園。近年は滋賀県で有数の強豪校としての地位を確固たるものにしている。夏の独自大会も準決勝まで勝ち進んだが、優勝した近江に2対8で完敗を喫した。

 今年の夏について、山口達也監督は「不完全燃焼でしたね」と振り返った。思うように活動できない中で、最後の夏が用意されたことに関しては「非常にありがたい」と感じてはいたが、最後の近江戦で思うような戦いができなかった。

不完全燃焼で終わった夏

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滋賀学園 守備練習

 投手陣が序盤から捕まり、3回までに7失点。4回に2点を返して、コールド負けは回避したが、終始、一方的な戦いを強いられた。今年の3年生は下級生から公式戦の経験を積んでいた選手が多く、勝負できる学年と見られていただけに悔いの残る負けとなった。

 「通常の夏の大会と違うので、涙がないというか、やり終えた感はなかったですね」と試合後の3年生の様子について語った山口監督。様々な気持ちを抱えて高校野球を終えた3年生たちだが、その後は平常心を取り戻し、それぞれの進路に向けた準備を行っている。

 新チームに目を向けてみると、周囲からの期待値は高い。2年生は昨年の1年生大会で近江を倒して優勝。1年生も独自大会で出場した選手が数名おり、力のある選手が揃ったチームという見方をされている。

 山口監督はそうした声を認識しつつも、「蓋を開けたらそうでもない」と冷静に現状を見つめている。現在は1年生の突き上げがあり、レギュラーは固定化されていない状態。土日に練習試合をする度にメンバーが入れ替わっている状況だという。

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今年のチームのキーマンたち

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阿字悠真

 その中で中心選手として期待されているのが投手の阿字悠真(2年)だ。昨年の1年生大会決勝の近江戦では8回途中まで無安打に抑える好投を見せ、優勝の立役者になった。

 最速146㎞/hのノビのあるストレートを武器とする本格派右腕で、「マウンドの上での度胸があり、頼もしく思っています」と山口監督の信頼も厚い。来年のプロ入りを目指しており、秋以降はドラフト候補として注目されて行くことになるだろう。

 今後に向けては、「まだ体が細いと思う」と体作りを課題に挙げている。一冬越えて181㎝、80㎏の身体が大きくなり、150㎞/hが出るようになれば、上位でドラフト指名される可能性も十分に出てくるはずだ。

 また、滋賀学園の特徴といえば強打だろう。2016年のセンバツでは後藤克基(法大)や馬越大地(日大)らを擁する強力打線を武器に8強まで勝ち進んだ。練習も打撃をメインに行っており、強打のチーム作りを目指している。

 打撃重視のチームを目指すきっかけになったのは、初めて甲子園に出場した2009年の夏。初戦で智辯和歌山と対戦したが、岡田俊哉(中日)を相手に2安打13三振で完封負けを喫した。

 「手も足も出なかった。全国に行けば、こういうピッチャーを打たないといけないというのが、バッティング中心のチーム作りのきっかけにはなりましたよね」と山口監督は話す。今年のチームも「そういうところを目指して振り込んでいる感じですね」と打ち勝てるチーム作りに取り組んでいる。

 まだレギュラーが固まっていないチームにおいて、打線の軸になりそうなのが落合克己(2年)と鈴木蓮(1年)だ。落合は俊足巧打の左打者。前チームでいえば、1番打者として活躍した金城駿之介(3年)にタイプが近いだろうか。鈴木は長打力があり、チャンスに強い右の強打者。守備では遊撃手を任されており、武川廉(3年)のように攻守の中心選手としての活躍が期待できそうだ。

 順当ならこの二人がクリーンアップを任される予定。彼らの前後の打者をどう固めていくかが、今後の課題となるが、どのようなメンバー構成になってくるだろうか。

 今回はここまで。後編では近畿大会、そして選抜へ向けての意気込みに迫っていきます。次回もお楽しみに!

(記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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