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ファーム成績は質・量ともオリ・宮城大弥がトップ!高卒新人のWHIPを考察!

2020.09.08

ファーム成績は質・量ともオリ・宮城大弥がトップ!高卒新人のWHIPを考察! | 高校野球ドットコム
オリックス・宮城大弥(興南出身)

 9月6日、東北楽天の黒川史陽智辯和歌山)がプロ入り初安打となるタイムリーを放った。これで今シーズンの高卒選手として一軍安打を記録したのは4人目となる。この連載では黒川ら高卒新人のファーム成績を追いかけ、その成長を数字から考察していく。第12回では投手たちを見ていこう。

〇一軍デビュー一番乗りは宮城大弥が濃厚

 これまでは投手たちの奪三振、与四球に注目し、K-BB%や、K/9、BB/9などの指標を見てきたが、今回は1イニングあたりどれだけの安打、四球による走者を出しているかを示すWHIPを見ていこう。投球回が10回以上の投手のWHIPを可視化したものが、下記グラフである。

ファーム成績は質・量ともオリ・宮城大弥がトップ!高卒新人のWHIPを考察! | 高校野球ドットコム

 縦軸には被安打/投球回、横軸には与四球/投球回を取り、わかりやすくするためにそれぞれの数値にマイナスをかけてある。つまり、グラフの右上にいくほど良い数値だということを意味する。

 WHIPは一般的に、1.00未満なら球界を代表するエース級、1.20未満ならエース級、1.40より大きければ問題があるとされている。今回は育成段階にあり、投球回も少ないことから完全にここに当てはめることはできないが、簡単な比較はできるものと考える。

 一番良い数値を記録しているのが、オリックスの宮城大弥興南)でWHIP1.22だ。被安打数がやや多いものの、四球数が少なく、余計な走者を出していないことが分かる。宮城は投球回も33回とトップであり、質・量において同期の中ではベストの投球を見せている。夏場以降、登板ペースは2週間に1回程度だが、投球回が徐々に伸びており、ここからの成長に期待がかかる。

 宮城に次ぐのが、横浜DeNAの浅田将汰有明)、阪神の西純矢創志学園)だ。WHIP1.33の浅田は宮城同様、ここのところ先発登板時の投球回数が伸びており、31.1回も2番目の数字だ。投球回あたりの与四球はやや多いが、安打は宮城よりも少なくなっている。西はWHIP1.43とやや高い数値になっているが、防御率2.45と、走者を出してから粘って失点を防いでいることがわかる。走者がいないときの投球の精度を上げることができれば、さらに数値が改善されるだろう。

 阪神の及川雅貴横浜)、オリックスの中田惟斗大阪桐蔭)はともにWHIP1.50以上と課題を抱えている。しかし与四球/投球回で見ていくと及川は0.14、中田は0.38と、ともに宮城を上回っている。被安打/投球回を改善することができれば、一気に飛躍のきっかけを掴む可能性もある。

 ちなみに、8月以降登板のない東京ヤクルトの奥川恭伸星稜)は、6.2回ながらWHIP0.90と圧巻の数字を残している。次回登板でどんな投球を見せてくれるのか、楽しみが尽きない。

 冒頭でも触れたが、野手では東北楽天の黒川が一軍で輝きを放っている。4日に昇格し、7番二塁で即スタメン出場。初打席でいきなり犠飛を放つなど、2試合で1安打2打点を記録した。優勝を目指すチームにあって、高卒1年目の野手がこの時期に昇格して活躍したことは快挙と言える。これから戦いはますます熾烈になっていくが、どこまで一軍に食らいついていけるのか、見物だ。投手では宮城が一軍に一番近いところにいるが、今シーズン中のデビューはあるのか。こちらも楽しみに待ちたいところだ。

※数字は全て9/6終了時点

データ協力: やきうのおじさん(@yakuunoojisan)
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。

(記事=林龍也

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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