Column

スポーツライター・手束仁氏による高校野球物知り教室【歴史編】

2020.08.13

 高校野球に関わるトリビアをクイズ形式で紹介。動画ではスポーツライターの手束仁さんが正解とその成り行きを詳しく解説いたします!!

◎高校野球では昭和の一時代には「四国4商」という存在があったが、それはどこか。また、それらの優勝回数は?

愛媛の松山商、香川の高松商、徳島の徳島商、高知の高知商だったが、松山商は春2回、夏5回の優勝。高松商は春夏2回ずつの優勝。2016年春に復活を示す準優勝を果たしている。高知商は優勝1回、準優勝3回。徳島商は1947年春に優勝1回、58年夏が準優勝。この時の板東英二投手は83奪三振の不滅の大記録を達成。

◎かつて、一度敗れたのに優勝校となった学校がある。

第3回大会の愛知一中(現旭丘)。この大会だけ、敗者復活制が導入されていたため、初戦で長野師範に敗退してから復活して和歌山中、明星商杵築中と下して決勝進出。決勝でも関西学院に6回まで0対1で負けていたが雨天ノーゲーム。再試合で延長14回の末に1対0で勝って優勝。

◎長い間春夏連覇は達成されなかったのだが、最初に春夏連覇を達成したのは?

1962(昭和37)年の作新学院。春は第34回、夏は第44回大会で初めて達成された春夏連覇。しかも春のエース八木沢壮六が夏は開会式で赤痢と診断されて欠場。それでも加藤武投手が踏ん張って優勝。

◎大会通算の最多奪三振投手は誰か。

なんと、徳島商板東英二投手で第40回大会で達成している。ちなみに板東投手のエピソードは、延長18回引き分け再試合制導入の張本人でもあり、その適応第一号でもある。

◎今は、タイブレーク導入となったが、引き分け再試合は何試合行われているか。

延長18回時代は第40回大会の3回戦「徳島商魚津」と第46回大会の開幕試合「掛川西八代東」、第51回大会の決勝「松山商三沢」の3試合。いずれも0対0。センバツでは第34回大会の「作新学院八幡商」でこれも0対0。15回になってからは春は5度、夏は06年の「早稲田実駒大苫小牧」の決勝と翌年の「佐賀北宇治山田商」の2試合。


◎かつて甲子園で完全試合は何試合達成されているのだろうか。

夏はなし、春は78年の第50回大会「前橋1対0比叡山」で松本稔投手が達成。それと94年の「金沢3対0江の川(現石見智翆館)」で中野真博投手が達成。いずれも1回戦だった。

◎夏の大会で、完全試合にあと一人というところまで行って達成しきれなかったのは?

1982年の第64回大会に佐賀商の新谷博投手が木造相手に26人を抑えて、27人目の代打に対して2ボール1ストライクからの4球目、通算94球目が対手打者の肘に当たって死球となってか夢は途絶えた。次打者を凡打させたが、もっともため息交じりのノーヒットノーランということになった。

◎甲子園球場は大正13年に完成したが、それまでの高校野球の前身中等学校野球大会はどこで開催されていたのか?

夏は1915(大正4)年の第1回大会と第2回大会が豊中グラウンド、第3回大会からは鳴尾球場で1923年まで行われていた。その後24年に甲子園球場が完成。春は、第1回大会のみが、名古屋市八事の山本球場で開催されている。第2回大会からは選抜も甲子園が使用されるようになった。

◎その後、一度だけ、甲子園ではないところで夏の選手権大会が開催されている。その場所と理由は?

戦後の復興大会となった1946(昭和21)年夏で、甲子園はアメリカ占領軍により接収中だったので、やむなく西宮球場で開催している。その後、甲子園に戻されたのだが、第40回と45回の記念大会は開会式だけで甲子園球場の土を踏み、試合は西宮球場出というところもあって、甲子園で試合できずに敗れ去る学校もあり、可哀想だということで第50回記念大会からは全試合を甲子園で行うこととした。

◎甲子園通算最多勝利数と優勝回数を誇る中京大中京。その勝利数と優勝回数は。また、岐阜の中京と校名変更の変遷は。

2020年現在で通算133勝で優勝回数は春4回、夏7回で合計11回。直近は2009年夏で堂林翔太磯村嘉孝のバッテリー。中京商から67年に中京、さらに95年に現校名となる。それに伴って岐阜の系列校安達学園中京が中京商となり、95年に中京に戻し、2017年からは中京学院大中京としていたが20年ふたたび中京に戻した。

(記事=手束 仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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