試合レポート

郁文館vs本郷

2020.07.19

2021年の東京を引っ張る左腕か?2年生サウスポー・甲斐一馬の好リリーフで郁文館が逆転で2回戦へ

郁文館vs本郷 | 高校野球ドットコム
郁文館ベンチ

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 試合途中から夏らしい厳しい日差しが差し込み始めた[stadium]江戸川区球場[/stadium]。郁文館本郷の試合は序盤、点数の取り合いから幕を開ける。

 郁文館はエース・古矢彩冬がマウンド。セットポジションから始動し、右足をインステップに踏み出す。左腕はギリギリまで下ろしておき、身体で隠しながら回転と一緒に一気に振り抜く。スリークォーター気味の高さからストレートをコーナーに投げ分け、時折スライダー系の変化球を織り交ぜる。

 その古矢が本郷1番・山手佑輝と2番・森政裕友の連打で無死一、二塁といきなりピンチを招くと、3番・高橋祐葵にはインコースのボールを上手く捌かれ、レフトフェンスまで運ばれるホームラン。立ち上がりに3失点と郁文館本郷を追いかける形となった。

 しかし直後の攻撃で、2番・青山陽の死球と3番・佐藤佳樹のヒットなどで一死満塁にすると、5番・郭家樺のセンターへのタイムリーで3対2。そして2回には二死満塁から相手のバッテリーエラーですぐさま同点。試合を振り出しに戻った。

 追いついてもらった郁文館古矢は2回以降からコースを丁寧に突くピッチング。投球フォームを見ても初回は少し力んでいるようにも見えた古矢だったが、2回以降は力が抜けていた。外角中心の配球だが、変化球を使い分けながらサウスポー特有のクロスファイヤーも駆使。古矢本来のピッチングが出来ているように見えた。

 4回には互いに点数を取り合うなど7対5と郁文館リードのところで、両校ともに5回から継投策へ。郁文館は背番号18・甲斐一馬。本郷は背番号2・齋藤健のがマウンドへあがり、ともに5回と6回は無失点。前半の打ち合いが落ち着いたかのように思われた。

 しかし7回に郁文館本郷齋藤から3つの四球を選びチャンスを作ったところで、4番・福與翔吾のダメ押しの一打などで3点を奪って10対5。これで試合を決定づけた郁文館が8回に2点を追加して本郷を下して初戦を突破した。

 注目は見事リリーフから試合を立て直した郁文館甲斐。先発の古矢と同じくサウスポーだがタイプは違う。ノーワインドアップからしっかりと足を上げて、右腕を少し高く上げて壁を作る。そこから右腕も使いながら身体を縦に捻って、ボールに角度を付ける。さらにがっしりした下半身のパワーをしっかりと込めたボールには威力がある。エース・古矢が技巧派であれば、甲斐は力投派というところだろう。まだ2年生の今後の活躍にも注目したい。

 そして打線も見てみると、振れている打者が多く打線も抜け目がない。試合後に田中幸雄監督に話を聞くと、「自粛期間が明けてもほとんどの選手がしっかり動けていました」と選手それぞれがしっかり準備してきた成果だと話した。

 また先発した古矢も「(自粛期間で)個人の能力は上がったと思います」と練習できない期間も有効に使ってきたことを語る。次戦に向けて、「今日は序盤にインコースを攻め過ぎましたが、次登板することがあればしっかり抑えていきたいです」と意気込んだ古谷

 一方敗れた本郷。主将の齋藤は「チームとしてはあまり練習ができなかったですが、それでもしっかり戦えたと思います。感謝してもしきれないです」とコメントを残した。また古矢から一発を放った高橋も、「インコースのストレートをホームランにできましたが、その後が凡退だったので、甘さが出ました」と反省を語りながらも、次のステージでも野球を続けていくことを最後に話した。

 勝った郁文館は昨夏ベスト16で敗れたが、今年はそれを超えるベスト8以上を目指す。次の試合ではどういった試合展開を見せるのか。

(記事=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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