中村奨成のOPSを算出してみると… 甲子園で活躍したスラッガーと比較しても別格!
石川昂弥、中村奨成、井上広大
近年、MLBやプロ野球でセイバーメトリクスの活用が話題となっている。セイバーメトリクスとは、成績のデータを統計的に分析し、選手個人の貢献度や評価を測る手法である。そこで、甲子園のスターたちの成績をセイバーメトリクスで使う指標で算出し比較してみたい。今回は打者の評価の指標「OPS」を用いてみる。
OPSとは、打者の得点機会を作る能力を判断する値で、On-base(出塁率) Plus Slugging(長打率)の略。
OPS= 出塁率+長打率
で、算出された値のことである。値が高いほど、いかに自分の力で出塁し、チャンスメイクする能力が高いと判断できる。しかし、OPSでは走塁能力が判断できないため、注意する必要がある。(単打で出塁した後、盗塁し結果的に二塁打と同じ様になっても、長打率に変動がないことなど)
ここで、長打率と出塁率の計算方法について触れておく。
出塁率=(安打数+四死球)÷(打数+四死球+犠飛)
*エラーは出塁した数に含まない
*犠打はアウトを前提にした戦術なので、分母に含めない
長打率=塁打数÷打数
例:10打数3安打(単打2本、本塁打1本)の場合
長打率=塁打数(1×2+4×1)÷10打数
長打率=0.600
ここで、中村 奨成(広島広陵-広島東洋)、石川 昂弥(東邦-中日)、井上 広大(履正社-阪神)の3名のスラッガーをピックアップ。3名の甲子園通算成績からOPSの値を算出してみたい。
【中村奨成の打撃成績】2017年夏の甲子園
28打数19安打(単打7、二塁打6、本塁打6)43塁打 四死球4 犠飛0
出塁率=(19安打+4四死球)÷(28打数+4四死球+0犠飛)
出塁率=0.719
長打率=43(塁打数)÷28(打数)
長打率=1.536
OPS=出塁率0.750+長打率1.536
OPS=2.254
【石川昂弥の打撃成績】2019年夏の甲子園
20打数6安打(単打2、二塁打1、本塁打3)16塁打、四死球0、犠飛2
出塁率=(6安打+0四死球)÷(20打数+0四死球+1犠飛)
出塁率=0.300
長打率=16(塁打数)÷20(打数)
長打率=0.800
OPS=出塁率0.300+長打率0.800
OPS=1.100
【井上広大の打撃成績】2019年夏の甲子園
26打数10安打(単打4、二塁打3、本塁打3)22塁打、四死球4 犠飛0
出塁率=(10安打+4四死球)÷(26打数+4四死球+0犠飛)
出塁率=0.467
長打率=22(塁打数)÷26(打数)
長打率=0.846
OPS=出塁率0.467+長打率0.846
OPS=1.313
ここから、中村の2017年夏の甲子園において、著しく好成績だったことが理解できる。プロの世界では、1.000を越えると素晴らしいという評価に値する。また、OPSは簡易的な値のため、この数値が高ければ打者の価値が高いと短略的に結びつけることは推奨されていない。しかしながら、改めてこの3名の得点機会を生み出す能力は非常に高かったということが理解できた。
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