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活性酸素から体を守ろう

2020.02.15

活性酸素から体を守ろう | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 センバツの出場校も決まり、日ごとに夕方の時間帯が明るくなってきました。もう少しで野球シーズンも解禁となりますね。オフシーズンに取り組んだことが野球のレベルアップにつながることを期待しながら、毎日がんばっていることと思います。さて今回は屋外で活動するアスリートにとって知っておきたい知識の一つ「活性酸素」について考えてみたいと思います。

活性酵素の問題点とは?

活性酸素から体を守ろう | 高校野球ドットコム
紫外線を浴びることや激しい運動は体内に活性酸素を発生させる

【そもそも活性酸素とは何?】
 皆さんは呼吸を繰り返し、酸素と二酸化炭素のガス交換を行いながら生命を維持しています。酸素と活性酸素の違いとは何でしょうか。私たちが吸った酸素の一部(文献にもよりますが0.1〜2%程度)は殺菌、解毒といった目的のために体内で毒性の強い酸素=活性酸素となります。これがあることによってウイルスなど外的な侵入物から体を守ることができるのですが、活性酸素は必要以上に体内にあると自分自身の細胞まで傷つけてしまうことが知られています。

 現代社会では自分の呼吸によって体内に発生する活性酸素だけではなく、激しい運動や自然環境によるもの(紫外線、放射線など)、環境汚染によってもたらされるもの(排気ガス、大気汚染など)、利便性による化学物質の増加(食品添加物、農薬など)、そして生活習慣によるもの(ストレスや睡眠不足など)とさまざまな要因によって発生すると言われています。

【増えすぎることが問題】
 活性酸素が過剰に増えてしまうと、細胞を酸化させダメージを与えるようになってしまいます。鉄製品が時間とともに錆びてしまったり、りんごの皮を向いた状態で放置しておくとやがて変色してしまうといったものを想像するとわかりやすいと思いますが、細胞の酸化は体内の組織を衰えさせます。皮膚であればシミやしわが増えてしまったり、体力面では息切れをしやすくなったりと、体そのものの老化へとつながっていきます。

 特にアスリートにとってはケガをした組織がなかなか修復しない、疲労からの回復が遅いといったコンディションにも大きな影響を及ぼします。野球選手は屋外で過ごす時間が長いため、激しい運動に加えて紫外線による影響などによって活性酸素にさらされる機会が多くなると考えられます。

[page_break:増えすぎを防ぐ方法]

増えすぎを防ぐ方法

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お茶の葉をはじめ、植物の皮や種、芯といったものにもポリフェノールが多く含まれる

【活性酸素への対策】
 活性酸素による体の酸化を防ぐ「サビ止め」機能として、よく知られているものが抗酸化物質です。抗酸化物質は大きく3つに分類することができます。

1)体内で合成される酵素(こうそ)
2)ビタミン
3)ポリフェノール

 酵素をつくり出すもととなるものはタンパク質なので、食事の中でタンパク質をしっかりとることは体づくりだけではなく、抗酸化物質を増やすという意味でも大切です。ビタミンは特にビタミンA、C、Eなどを中心に。抗酸化作用をもつビタミンCは、疲労回復や抗炎症作用などアスリートにとっては必要不可欠なものといえるでしょう。緑黄色野菜には多くのビタミンCが含まれますので、なるべく加熱せずに食べるようにすると効率よく摂取することができます。

 その他にもビタミンA(レバー、うなぎ、緑黄色野菜等)、ビタミンE(植物油、ナッツ類、たらこなどの魚卵類等)なども体が錆びるのを防ぐ「サビ止め」効果が期待できます。ポリフェノールは多くの植物に存在する苦味や色素成分のこと。強い抗酸化作用をもつため、ポリフェノールを含むもの(たとえばカテキンが含まれている緑茶、アントシアニンが含まれているブルーベリーなど)も意識してとるようにすると良いでしょう。

 また激しい運動によっても体内の活性酸素が増えると言われています。これに加えて紫外線による日焼けや、体力的な疲労、ストレスなどによって活性酸素が過剰に増えることも懸念されます。生活習慣の中でも特に休養が不足していない、睡眠は十分足りているか、気分転換などで心身のリフレッシュをはかってストレスを軽減させているか、といったことも気にかけておく必要があります。ケガをした時は特に栄養面だけではなく、生活習慣においても心身に負担の少ない状態で過ごせているかが競技復帰の鍵となることもあります。

 活性酸素は「なくてはならないもの」である一方で、増えすぎるとコンディション不良を引き起こす一因となることがあります。練習と栄養、休養のバランスをとりながら、できることから取り組んでみてくださいね。

【活性酸素から体を守ろう】
●呼吸によって取り込まれた酸素の一部が活性酸素になる
●活性酸素は激しい運動や環境、化学物質、生活習慣などによっても増えることがある
●活性酸素は組織、細胞の酸化を助長する。ケガや疲労からの回復が遅れる一因ともなる
●抗酸化物質は3つにわけられる。酵素、ビタミン、ポリフェノール
●抗酸化物質を含む食材を積極的にとるようにしよう
●生活習慣を見直し、なるべく活性酸素を増やさない日々を送ろう

(文=西村 典子

次回コラム公開は2月29日を予定しております。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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