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【秋季滋賀県大会】県全体のレベルアップの必要性を感じながらも、見どころの多かった秋

2019.12.07

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秋の主役となった立命館宇治と伊香

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伊香のエース・隼瀬一樹

 近江の5季連続優勝で幕を閉じた秋の滋賀大会だったが、全体的にはやや意外な結果となった。

 その根拠として、滋賀学園光泉近江兄弟社といった私立の有力校が初戦で姿を消している。滋賀学園近江兄弟社は接戦を落とし、光泉は立ち上がりを攻められて、そのままズルズルといってしまった。3チームとも力がないわけではないが、新チームが発足して間もない状態で戦う秋の初戦の難しさを感じさせられた。

 こうした中で躍進を見せたのが立命館守山伊香だ。立命館守山は初戦で光泉を6対2で下すと、3回戦では野洲との打撃戦を12対11で制す。そのまま決勝まで勝ち進み、創部4年目にして初の近畿大会出場を決めた。

 大会前半は打撃力が目立ったが、信次陽和(1年)から4番・捕手の景山透唯(2年)への継投が大会を通して上手く機能し、快進撃の原動力となった。しかし、決勝の近江戦と近畿大会の大阪桐蔭戦では力の差を見せつけられた。この経験を活かして、春以降に繋げてほしい。

 伊香はエースの隼瀬一樹(2年)が大会を通じて圧巻の投球を見せた。初戦の滋賀学園戦で1対0の完封勝利を収めると、準決勝の近江戦でも島瀧悠真(1年)とのハイレベルな投げ合いを披露。

 打線の援護がなく、延長11回で0対1のサヨナラ負けを喫したが、彼の評価をさらに上げる試合にもなった。ノビのあるストレートは一見の価値あり。来年の滋賀県を代表する投手になることは間違いない。

 その一方で準決勝と3位決定戦で無得点に終わり、打撃力に課題を残した。核となる打者が一冬越えて出てくれば、夏には頂点が見えてくるだろう。

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県全体でレベルアップを図る必要性

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優勝の近江

 躍進した学校、思わぬ苦戦を強いられた学校があった中で安定した力を発揮したのが綾羽だ。春、夏に続いて3季連続の4強入りと県内でも有数の強豪校としての地位を固めつつある。

 制球力の高いエースの早津康生(2年)が試合を作り、旧チームからのレギュラーである伊藤彰馬(2年)や近藤大暉(2年)が打線の中心として活躍した。近畿大会は初戦で敗れたが、一時は履正社を相手にリードを奪うなど、見せ場を作った。

 課題は早津に次ぐ投手の育成か。早津を先発させなかった準決勝では序盤に得点を奪われ、ひっくり返すことができなかった。来年から球数制限が導入される中でどのような投手起用を見せていくのかに注目だ。

 そして、前評判を覆す試合が多かった中でも近江は強かった。初戦の水口戦を7対1で勝利すると、3回戦以降は4試合連続完封という離れ業。5試合40回で1失点と素晴らしい守りを見せた。

 旧チームの絶対的エースだった林優樹(3年)が抜けて投手力の低下が心配されたが、それは杞憂だった。島瀧と本間遥大(2年)を中心に安定した投球を見せ、春から捕手に転向した長谷川勝紀(2年)がよくリードした。1年夏から不動の遊撃手として君臨する土田龍空(2年)は主将、リードオフマンとしてチームを牽引。名実ともにチームの看板選手となっている。

 これで昨夏から5季連続優勝。県内相手の公式戦は25連勝と一強時代を築いている。各大会の中で苦戦する試合も当然出てくるが、勝負所での強さで修羅場を潜り抜けてきた。近江の黄金時代はこれからも続くだろうか。

 全体的に見どころの多かった滋賀大会だが、近畿大会では3チームとも2桁失点初戦敗退と苦しい戦いを強いられた。他府県の強豪と比べると、スケールの大きさで劣っていたのは否めない。この結果を受け止め、県全体でレベルアップを図る必要があるだろう。

 こうした中でこの年末に県選抜チームのオーストラリア派遣が決まっている。土田、景山ら県内の有力選手18人が現地の高校生チームなどと対戦。監督はかつて北大津の監督として甲子園に6度導いた宮崎裕也氏が務める。普段はライバル校の選手とチームメイトになり、選ばれた選手にとっては貴重な経験となるはず。この経験をチームに持ち帰って、各校のレベルアップに繋げてほしい。

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記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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