Interview

投手の良さを引き出すことが実力の見せどころ。戸丸秦吾(健大高崎)は捕手の鏡ともいえる考えの持ち主だった!

2019.11.19

 神宮大会初出場にして初優勝へあと1勝。かつては「機動破壊」で高校野球界を席巻した健大高崎。今年は群馬県大会3位で関東大会に出場すると、常総学院西武台、さらに東海大相模山梨学院を下して明治神宮大会へ。その健大高崎で主将でキャッチャーを務める注目捕手・戸丸秦吾に話を聞いた。

投手それぞれの個性を引き出すためにコミュニケーションを忘れない

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戸丸秦吾(健大高崎)

 初めての神宮大会で倉敷商明豊と連続のタイブレークを制してベスト4。そして準決勝では白樺学園を下してきた健大高崎。まさに破竹の勢いで勝ち進んできているが、今年のチームは強打が1つの武器だが、投手力も大きな武器だ。

 エース・下慎之介橋本拳汰の2枚看板を筆頭に、長谷川秀朝井優太ら強力投手陣を継投と完投を使い分けながら、上手く運用して相手打線を躱していく。

 そもそも健大高崎は古島弘三医師による助言をもとに、投手陣の球数を管理・制限している。それでも投手陣を上手く起用して勝ち上がる地力を勝つことで証明している。

 だが、投手陣を引っ張る捕手も功労者の1人であることは間違いない。その重役を担っているのが主将の戸丸秦吾だ。

 戸丸は中学時代のNOMO JAPANに選出された実力者で、二塁送球も1.87秒(倉敷商戦)をマークする強肩を持つ。バッティングでは下位打線ではあるが、ミート力をウリにするバッターとしてチームの勝利に貢献してきた。

 その戸丸に、キャッチャーとして複数の投手を最大限生かすためにリードする上で工夫していることはあるのか。その話を聞いてみた。
 「ブルペンでエースの下だけ多く受けても、大会を下1人で投げきるわけではないです。なので、他の投手でも下のように輝かせるのが自分の実力の見せどころです。そのために練習試合の間や終わってから投手と反省会で話し合います。それがあるから、いろんなものを引き出せています」

 このように、戸丸が持つ最大の武器は野球の技術だけではなく、キャッチャーとしての心構えや考え方に詰まっている。

[page_break:ザ・キャッチャーと呼べる考えこそが最大の武器]

ザ・キャッチャーと呼べる考えこそが最大の武器

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ガッツポーズをする戸丸秦吾(健大高崎)

 例えば2回戦で対戦した明豊は強打のチームとして注目された。その相手に対して、「打撃力があるチームと聞いていましたが、関東大会では東海大相模という打撃力があるチームと対戦しました。その時にインコースが有効だと気付いたので、課題はどこでどれだけインコースを使うかでした」

 またタイブレークに入った際には、「(明豊は)打撃のチームなので、ランナーを送らずに打ってくるかもしれないと話し合っていました」と冷静に語りだす。扇の要としての冷静さや落ち着きが言葉1つ1つから伝わってくる。

 さらにエース・下への信頼感を聞くと、「どの投手も信頼感はあります。下ならここ、拳汰ならここに投げてくれるだろうと信頼してサインを出しています。それで打たれたら自分のせいなので、『自信をもって投げろ』と伝えています」と話し出す。

 そんな戸丸の受け答えを見て「喜んでもいいのでは?」と質問が飛ぶと、戸丸はこう答えた。
 「自分のおかげではないので、下がしっかり投げてくれたので0点に繋がったと思います。自分はただサインを出しただけです」

 キャッチャーとして模範解答を語る戸丸。この姿勢こそが健大高崎の優勝のカギを握るのではないだろうか。

 決勝の相手は中京大中京。戸丸が中京大中京相手にどのようなリードで投手陣を牽引するのか。その一挙手一投足に注目だ。

(取材=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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