Column

神宮第二のラストデーで躍動した逸材たち 夏まで見逃せない日大三の2枚看板 児玉 悠紀・柳舘憲吾

2019.11.05

 11月3日、高校野球の会場で長く使用されてきた[stadium]明治神宮第二球場[/stadium]はラストデーを迎えた。3日に開催された秋季都大会準々決勝の創価vs日大二日大三vs帝京の2試合はラストを飾るに相応しい試合だった。

 いずれも白熱とした2試合だったが、4校とも逸材が多かった。来春へ向けて進化を期待したい逸材を紹介していきたい。3回目は日大三である。

神宮第二のラストデーで躍動した逸材たち 夏まで見逃せない日大三の2枚看板 児玉 悠紀・柳舘憲吾 | 高校野球ドットコム試合レポートはこちらから!
日大三vs帝京

児玉、柳舘それぞれの特徴

神宮第二のラストデーで躍動した逸材たち 夏まで見逃せない日大三の2枚看板 児玉 悠紀・柳舘憲吾 | 高校野球ドットコム
児玉 悠紀(日大三)

 今回取り上げたいのは児玉 悠紀柳舘憲吾の2枚看板。特に児玉はなかなかの逸材だった。

 179センチ66キロと細身。近年の日大三のエースではなかなかいない細身のエース左腕である。それ以上にピッチングフォームの完成度の高さに驚かされた。

 投球動作に入って、じっくりと右足を挙げていき、前足を踏み出した時、内回りのテークバックをしていきながら、トップに入るまでの流れに無駄がない。児玉はここからの動作が秀逸で、テークバックから肘が先に出て、スリークォーター気味に腕を振ってくるので、打者からなかなか腕が出てこないと感じるだろう。

 ストレートは常時130キロ前半~135キロ程度だが、球速表示以上に勢いを感じる。ストレート以上に凄いのは125キロ前後のスライダーだ。打者の手元で鋭角に曲がり、強力な日大三打線から次々と空振りを奪うことができる。帝京の3番・加田 拓哉はこう語る。

「非常に切れが鋭く、児玉君がスライダーを投げてくるのはわかっていてもどうしても捉えきれないんです」

 児玉が得意とするのは、右打者のひざ元に決まるスライダー。まともに捉えられる右打者はほとんどおらず、前の試合で3打数3安打を記録していた小松 涼馬もこのスライダーによって打撃が狂わされ、まともにミートができなかった。

 2失点を喫したが、7回まで10奪三振。その失点は内野ゴロとスクイズからの失点で、タイムリーではない。強打の帝京が小技を使ってまでも点を取れないと思わせただけでも児玉は十分に持ち味は示した。

 ただ、スライダー連投が目立つので、肘の負担を考えると割合を減らしたいところ。また球数も126球と帝京打線の粘りもあったが、スライダー以外で打ち取れる球種を身に着けるとなお打たれにくい投手となるだろう。

 日大三からプロ入りした左腕といえば、櫻井周斗がいるが、櫻井は豪快なフォームから140キロ後半、縦スライダーで圧倒するピッチングが印象的だが、児玉は「柔軟」という言葉がぴったり。

 出どころが見にくく、それでいで強く腕が振れて、うまくコントロールできる投球フォームをしているので、スカウト受けする投手。平均球速が3年夏までに5キロ~7キロぐらい速くなると、かなり高い評価を受けそうだ。

 そして左腕でありながら、クイック1.2秒前後と速く、フィールディングの動きが軽快なのも魅力。

 これからも一歩ずつ成長を見せれば、日の目を浴びる左腕になることは間違いないだろう。

神宮第二のラストデーで躍動した逸材たち 夏まで見逃せない日大三の2枚看板 児玉 悠紀・柳舘憲吾 | 高校野球ドットコム
柳舘 憲吾(日大三)

 柳舘憲吾はこの春から登板機会を増やし始めた右腕。普段は三塁を守る柳舘は、パンチ力ある打撃が魅力だが、投手としても実戦的。左足を大きく引いてからノーワインドアップから始動し、右スリークォーター気味から投げ込む姿は大栄 陽斗仙台育英)を彷彿とさせる。直球は常時130キロ~133キロの直球と120キロ前後のスライダーのコンビネーションで勝負する。デビューした春と比べると、スライダーの切れ味が増し、際どいゾーンでも勝負できる制球力が見についたことでピッチングに幅が広がった。

 この2人の力量は今年の西東京でもトップクラスであり、しっかりと右肩上がりに成長を見せれば、十分に甲子園を狙える投手陣であろう。さらに打線を強化して、2018年夏の甲子園出場を果たせるか注目である。

(記事=河嶋 宗一

東京都大会
大会日程・結果

トーナメント表


選手名鑑一覧

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.13

【北海道】帯広大谷、遠軽、函館大柏稜が全道大会出場へ<春季全道大会支部予選>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?