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「天才」であり「エンターテイナー」 新庄剛志の同期が語る、新庄の知られざる素顔!【後編】

2019.11.20

 新庄 剛志と言えば、MLBでも4番に座った経験があり、日米を通じて活躍した選手である。敬遠球をサヨナラ安打、オールスターゲームでの本盗など記憶にも残るプレーヤーだった。その破天荒な性格は、人からは「天才」「宇宙人」と呼ばれるなど、どこか謎めいた選手としても記憶されている。そんな新庄と西日本短大付属で高校時代を共に過ごし、今年8月まで同校の監督をしていた西村慎太郎氏に当時の新庄について話を伺った。新庄の知られざるエピソードから、その人間性を読み解いていきたい。

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「今まで見たことない、あんなボール投げるやつ」新庄剛志の同期が語る、新庄の知られざる素顔!【前編】

プレーで納得させる

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西村 慎太郎氏

 新庄 剛志西村 慎太郎監督が西日本短大附属で[stadium]甲子園[/stadium]を目指していた時の監督は浜崎 満重だ。浜崎監督は、社会人野球の新日鉄堺を監督として率いたあとに西日本短大附属の監督に就任。社会人野球のレベルの高い野球を高校野球に持ってきた指導者である。もちろん、選手たちにも高い水準の野球を求めた。

 そんな浜崎監督の前でも新庄は「プロに行く」と公言していた。もちろん、「新庄は現実を見ていない」と当初は思われていただろう。だが、新庄は浜崎監督の前で結果を出し続けたという。

「高いレベルを求められる中で、それを黙らせるような勢いで新庄もやってましたからね。結果を出して。(浜崎)監督も途中からは、新庄はプロに行くだろうと思ってやっていたんじゃないですか」

と西村氏は当時を思い出して話してくれた。

 この新庄の姿勢と、その後の活躍を知っている西村氏はこの経験が指導者としても大きな財産になっている。

「完璧なやつなんていません。ある部分が突出してるからプロに行けるんですよね。指導者は、そんな彼らの成長に役立つようにいるはずなんです。例えば、足りない部分を大人が伝えたりとか。抑え込んだり、潰してしまってはいけないんですね」

 新庄の夢へのアプローチは、今の西村氏の指導論に影響を与えているのは想像に難くない。

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新庄は計算高いエンターテイナー

「天才」であり「エンターテイナー」 新庄剛志の同期が語る、新庄の知られざる素顔!【後編】 | 高校野球ドットコム
新庄 剛志 ※写真:共同通信

 新庄と言えば思い出されるのが、「ジーパンが似合わなくなる」ので下半身トレーニングを拒んだというエピーソードである。

 同級生でもあり、新庄の目標に対するストイックさや、練習中のずば抜けた集中力などを知っているからこそ、西村氏はこのコメントに対して新庄の裏の思いを十分理解できるという。

「あれは注目させるために彼なりに言ってる言葉ですから。裏では相当やってますからね」

 そう、これこそが新庄なのである。

 ファンを惹きつけるためのリップサービスであり、周りの空気から、どのような回答がウケるのか理解しての故意的な発言なのである。

 では、はじめの言葉に戻ってみたい。新庄は「天才」なのか、「宇宙人」なのか?

 西村氏の言葉から感じられる新庄は、「天才」であり「エンターテイナー」が答えだろう。新庄は確かに「天才」であるが、それに見合う努力をしている。そして、周りの人を引きつけるエンターテインメント性を計算して作り出せるのである。

 私が思っている新庄剛志のイメージが180度変わったインタビューになった。

「天才」であり「エンターテイナー」 新庄剛志の同期が語る、新庄の知られざる素顔!【後編】 | 高校野球ドットコム編集後記
「新庄から見たら、僕は力がなくて、よくチームメイトで一緒に甲子園目指してやってくれて、怒らずに接してくれたなぁなんて思うこともたくさんあります。同級生なんで、時にはぶつかることもありました。だけど今考えるとよくあいつキレずにやったなぁ、俺達みたいな下手くそ相手にと思うことが多くて」 西村氏の言葉である。 新庄に迫る話を伺いながらも、会話の中に西村氏の相手をリスペクトする人間性を感じられるインタビューでした。

(文・田中 実

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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