試合レポート

西武台vs川口市立

2019.10.06

打線爆発の西武台、ついに23年ぶりの関東へ!

西武台vs川口市立 | 高校野球ドットコム
1年生右腕・原口稜平(川口市立)

 準決勝第二試合は、秋は21年ぶりベスト4の西武台対同じく33年ぶりベスト4の川口市立という、久しぶりなチーム同士の顔合わせとなった。

 先発は西武台がエース左腕の増田優真(2年)、一方の川口市立は前の春日部共栄戦で完投勝利の1年生右腕・原口稜平(1年)が登板し試合が始まる。

 試合序盤は総じて川口市立ペースであった。

 先にチャンスを掴んだのは西武台、2回表、一死から5番・山田隼(2年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く伊澤走(2年)との所で西武台ベンチはエンドランを仕掛ける。これが決まり伊澤がレフト前ヒットを放ち、一死一、二塁とするが後続が倒れ無得点に終わる。

 するとその裏、川口市立はこの回先頭の栗原秀太郎(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く栗田凌輔(2年)がきっちりと送り一死二塁とする。6番・西澤虎太朗(2年)もライト前ヒットを放ち一死一、三塁とすると、続く古河晃樹(2年)の所で川口市立ベンチは一走・西澤とのエンドランを仕掛ける。打球はセカンドゴロになるが、セカンドがこの打球をジャックルし川口市立が幸先良く1点を先制する。

 対する西武台は、3回表にも一死から1番・武井大智(1年)が四球を選び出塁すると、続く小松大空(2年)もセンター前ヒットを放ち一死一、二塁とチャンスを広げる。だが、3番・深田翔太(1年)が併殺に倒れまたしても得点を奪えない。

 このまま行くと何か嫌な雰囲気が漂いそうな西武台であったが、そのムードを一変させたのは主砲のバットであった。

 4回表、この回先頭の松木光(2年)が右中間へ飛び込むソロ本塁打を放ち1対1の同点とすると、そこから徐々に西武台打線が目覚め始める。続く山田がライト線へ二塁打を放ち出塁すると、続く伊澤がきっちりと送り一死三塁とする。ここで7番・横江諒(2年)がスクイズを決め2対1と逆転に成功する。

 西武台は6回表にも、この回先頭の松木がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く山田がきっちりと送り一死二塁とする。だが、6番・伊澤のレフト越えの二塁打で二走・松木が本塁へ還れず一死二、三塁となると、続く横江のスクイズをウエストされ三走・松木が挟殺される。後続も倒れ追加点のチャンスを逸する。

 またしても、流れが変わりそうな6回表の西武台の攻撃であったが、それをさせないのが西武台のエース増田だ。この日、間隔が空いたからか、はたまた緊張からか、前の昌平戦と違い、ややボールがばらついた。決して絶好調と呼べる投球ではなかったが、それでも与四死球は1と、3回以降は8回まで川口市立打線をノーヒットに抑える好投を見せる。


西武台vs川口市立 | 高校野球ドットコム
増田優真(西武台)

 すると7回表、西武台はこの回先頭の増田が、四球を選び出塁すると、一死後、1番・武井が右中間へタイムリー三塁打を放ち貴重な追加点を奪い3対1とし、川口市立・原口をマウンドから引きずり降ろす。

これで楽になったか西武台は代わった2番手・川原大和(2年)に対しても攻撃の手を緩めない。続く小松が四球を選び一死一、三塁とすると、3番・深田の所で西武台ベンチが一走・小松とのエンドランを仕掛ける。これが見事に決まり深田はライト前タイムリーを放ち4対1、さらに相手の牽制悪送球で1点を追加すると、二死後、6番・山田もレフト前タイムリーを放ち6対1とする。結局この回4点を奪うビックイニングを作った西武台が試合の流れを完全に掴む。

西武台は8回表にも、相手の拙い守備2つで無死一、三塁とすると、9番・庄司がセンター前タイムリーを放ち7対1とし試合の大勢は決した。

投げてはエース増田が3安打完投勝利を飾った西武台川口市立を7対1で下し、23年ぶりの関東大会出場を決めた。

まずは、川口市立だが、このほぼ一週間空くスケジュールで、前の試合春日部共栄を破った勢いが消えてしまった印象を受ける。この日は打線が3安打と最後まで好投手・増田を捉えることができなかった。頼みの原口、川原の右2枚も西武台打線に攻略されてしまった。そもそも、原口、川原が同タイプであり、相手に研究されてしまうと勢いに乗せた打線をこの2人の継投で止めるのは難しくなる。今後は、間に挟むべく左腕や変則投手などの育成が春以降の課題であろう。ただ、新人戦でコールド負けを喫した立教新座相手に県大会初戦でリベンジすると勢いに乗り、Bシード・春日部共栄を破るなど、ここまでの戦いぶりは見事であった。元々旧チームの主力を複数の残す経験値の高いチームであったが、大事な試合で1年生原口が好投し投手陣の軸になるなど実りの多い今大会であったはずだ。Bシードで迎える来春は、追われる身となるが、一冬を越え走攻守でさらにレベルアップした姿を見たい所だ。

 一方の西武台は、この日準決勝を迎え緊張感からか、それとも試合間隔が空いたことでやや試合勘が鈍ったか、バントミスや走塁ミスが散見され、よそ行きな野球をしてしまった。それでもエース増田の安定感もあり、最後は何か力ずくで関東大会をもぎ取った印象を受ける。ただ、この日はやや当たりの止まっていた武井と主砲・松木に一発が出たことは今後へ向け好材料であろう。元々はバッテリーを中心とし、機動力と集中打が売りのチームであるだけに、関東大会で全国区のチームを前にしても揺るがず思いっきり本来の野球を突き通してもらいたい。決勝の花咲徳栄戦はその試金石となるであろう。

(記事:南 英博

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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