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【香川大会総括】「サプライズ」「羽ばたく2年生」「復活」「救世主」 そして本命が頂点へ

2019.08.15

 センバツ1勝をあげた第1シード・高松商の23年ぶり20回目の夏甲子園出場で幕を閉じた「第101回全国高等学校野球選手権香川大会」。ただ、本命が頂点に立つ決勝戦までには様々な出来事があった。
 遊撃手兼任投手143キロにノーシードから本命を苦しめたチームの「サプライズ」。評判通り、評判以上の活躍で羽ばたいた「2年生」。最後の夏に「復活」を遂げた大エース。そして救世主の出現……。そんなドラマチックな大会を今回は振り返ってみたい。

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第101回 全国高等学校野球選手権 香川大会

サプライズの143キロ、2年生たちの躍動

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遊撃手兼任で最速143キロのサプライズをマークした坂出商・城戸 理輝星(3年)

 7月13日(土)前年覇者の丸亀城西vs高松第一で開幕した第101回全国高等学校野球選手権香川大会、3日間の雨天順延など天候に苦しめ、大会序盤において大きなインパクトを残したのはサプライズ的選手と有望2年生たちであった。

「サプライズ」の代表格は坂出商の背番号「6」城戸 理輝星(3年・168センチ67キロ・宇多津町立宇多津中出身)である。実力校・高松西との初戦で遊撃手から3番手登板、自己最速を一気に6キロ更新する144キロを出し3回3分の2を投げ5三振を奪った城戸は、続く高松南戦でさらに加速。「下半身の力を抜いてリリースで力を入れるコツを6月末につかんだ」成果を5イニングを投げ6奪三振1失点のロングリリーフで示した。「大学では遊撃手でやりたい」意向を示している彼だが、憧れにしている今宮 健太(福岡ソフトバンクホークス)のような強いボールを投げられる名手をぜひ目指してほしい。

 2年生で期待通りの力を発揮したのは大会前から注目されていた観音寺一のリードオフマン・田中 大貴(遊撃手・175センチ70キロ・右投右打・三豊市立三野津中出身)。初戦の高松中央戦で「体重を後ろに残してポイントを近くして振る」スイングの威力を発揮し3打数2安打2打点。「リストが立っているから上から当てても右翼ポール際に運べる。バッティングの実力は間違いない」とNPBスカウト陣をうならせると、続く3回戦・香川高専高松戦では高校通算28本目となる一発も放った。まだ守備・走塁面で粗削りな部分は多々あるが、ぜひ最終学年ではそこも克服し「全力」で高みを目指してほしい。

 その一方、期待値をはるかに超えて「2020ドラフト候補」に浮上したのは大手前高松の右腕・内田 悠太(右投右打・175センチ66キロ・高松市立国分寺中出身)である。準々決勝・尽誠学園戦で自己最速を7キロ更新・147キロをマークしたストレートのスピードもさることながら、今季四国NO1・高校通算33本塁打をマークした尽誠学園4番・永尾 斗摩(3年・捕手・186センチ96キロ・右投右打・大阪八尾ボーイズ<大阪>)をも手玉に取った130キロ前後のスライダーやチェンジアップのキレ、100キロを切るカーブを大胆に使う強心臓、そして「春以降、右脚でしっかり立つことを意識してシャドーピッチングでフォームを固めた」ことによる制球力の安定度と思考力の高さは、最上級生でのさらなる飛躍を期待せずにはいられない。

[page_break:高松工芸の躍進を退けた「救世主」、「復活エース」同士の決勝を決めたのも……]

高松工芸の躍進を退けた「救世主」、「復活エース」同士の決勝を決めたのも……

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最速143キロ右腕の存在感を見せつけた準優勝の英明・黒河 竜司(3年)

 7月26日の準決勝に進んだのは第1シード・高松商、第3シード・尽誠学園とノーシード校2校である。うち、英明は「回転数の計測をするようになってから、スピード・コントロールの他に回転数も意識するようになった」最速143キロ右腕・黒河 竜司(3年・高松市立屋島中出身)が練習では既に2,100回転超え、常時130キロ後半・最速142キロのストレートを効果的に投げ、春までのケガに起因する不振から完全に脱却。第2シード・四国学院大香川西に快勝した準々決勝に続き、尽誠学園にも7回コールド勝ちして決勝戦へ駒を進める。

 もう1つのノーシード校・高松工芸も第4シード・藤井を下し、準々決勝では前年覇者・丸亀城西を破った高松北にも競り勝った力は本物だった。3回表までに「努力でここまで来た。僕も尊敬している」(林 真弘監督)1番・宮下 玲郎(3年・中堅手・169センチ64キロ・右投右打・高松市立木太中出身)を中心に各選手が持ち味を発揮し3回表までに6対1。高松商から主導権を掌握する。

 しかし、窮地に陥った高松商には「救世主と復活エース」がいた。今大会から正捕手となった安部 祐慧(3年・175センチ91キロ・高松市立屋島中出身)は、3回裏に値千金の同点2点二塁打。また、春の四国大会以降は長らくケガの回復に努めてきた侍ジャパンU-18一次候補の最速142キロ左腕・香川 卓摩(3年・165センチ62キロ・左投左打・東かがわリトルシニア出身)も4回表から3番手マウンドに立つと4回7奪三振無四球無失点。準々決勝・観音寺一戦での完投に続く登板で完全復活を印象付け、7回コールド勝ちにつなげた。

 7月28日、四国選抜オーストラリア遠征でも同じ釜の飯を食った高松商・香川と英明・黒河による至高の投手戦となった決勝にピリオドを打ったのはまたしても安部だった。屋島中時代にはバッテリーを組んだ黒河からのサヨナラヒットに、湧き上がる歓声。最後は両チームが固い握手を交わし合い、大会は述べ16日間の幕を閉じた。

 「守り勝ちました」と高松商・長尾 健司監督はこのように優勝の感想を述べたが、彼らの栄冠は改めて振り返ると対戦相手から学び、順応したことによって得られたもの。聖地でもその姿勢を貫き、ぜひ香川県高校野球のスタイルを表現してもらいたい。

 大会運営についても触れたい。先にも触れたが今年は四国各地で雨天順延が相次ぎ、高知大会では当初設定していた決勝戦前の休養日設定を断念する中、あえて決勝戦前の休養日を確保した香川県高等学校野球連盟の英断には心から敬意を表したい。決勝戦が全国に出しても恥ずかしくないハイレベルな投手戦となった一因も、間違いなくここにある。

 最後に、すべての香川県高校野球関係者に深く感謝し、今後は「香川県モデル」の大会運営が四国・全国のスタンダードになることと、3年生たちのこれからの人生で高校野球を随所に活かして活躍してくれること。そして1・2年生たちは今後先輩たちの姿を見習い、超える努力を続けてくれることを期待しつつ、総括の締めとしたい。

文=寺下 友徳

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