Column

【逸材レポート】佐々木朗希「速球と変化球の割合は5:5。変化球も超一流な剛腕」

2019.07.24

【逸材レポート】佐々木朗希「速球と変化球の割合は5:5。変化球も超一流な剛腕」 | 高校野球ドットコム
佐々木朗希(大船渡)

 いよいよ準決勝を迎えた佐々木朗希。4回戦の盛岡四戦では21奪三振を記録した佐々木。中2日を開けてもそのピッチングはさらに凄みが増していた。

 2安打完封、15奪三振のピッチングについて、試合後、大船渡の国保陽平監督は
 
「うまく脱力ができていました」と評価する。佐々木も「質の良いストレートを投げることを心掛けました」と語るように、軽く放ったように見えても、140キロ後半~150キロ前半の速球をビシバシ投げ込む。しかもストレートはミットに一直線上に伸びていく。

 そして本気を出すサインがある。それは投球フォームを見ればいい。左足を大きく上げた後、踏み出し足の歩幅を広げて、勢いよく左足を踏んで、フィニッシュに入ったとき、右足も大きく蹴りあげていく。その時のストレートは150キロ中盤を計測。まるでうなりを上げるという表現が正しいだろう。

 ストレートの平均球速は147.33キロ。そして9イニングの最速は以下の通り。
【1回】153キロ
【2回】150キロ
【3回】148キロ
【4回】153キロ
【5回】146キロ
【6回】154キロ
【7回】154キロ
【8回】150キロ
【9回】151キロ
ただ、ストレートだけでは15三振を奪うこともできない。変化球も素晴らしかった。15三振中、9奪三振は変化球で奪ったもの。135キロ前後のフォークはハイレベルで、次々と空振りを奪った。さらに130キロ前半のスライダー、120キロ後半の縦スライダーといずれも打者の手元で変化する精度の高さがある。

 この日は129球で、計測できたストレートは62球。よく半数は変化球だった。剛速球投手としては変化球の精度が高いのが佐々木の強み。それができるのは捕手・及川恵介の存在が欠かせない。佐々木の剛速球を巧みなフレーミング技術で受け止めるだけではなく、フォークもしっかりと止めて前にボールを落とすことができる。後ろにそらすことは全くない。だから佐々木は自信をもって腕を振ることができる。

 及川は「去年はもっと逸らしていたんですけど、今年になってから後ろに逸らさないようになったことで、以前よりも変化球を投げる割合が増えたと思います」と胸を張る。1年かけて「これだ!といえるぐらい自分の形を作り上げてきました」とフレーミング技術とストッピングを鍛え、特にキャッチング技術は木下大洋の父・清吾さんから学んだ。その技術の高さに「信頼しています」とエースも全幅の信頼を置く。

 バッテリーと協力し合って今大会、29回を投げて、51奪三振、わずか2失点と驚異的なピッチングを成り立たせている。

 決勝戦は花巻東との対戦が決まった。佐々木は「ここまで来たら勝つしかないですし、決勝負けたら初戦敗退と同じですから、絶対に勝って甲子園に行きます」と必勝を誓った。国保監督も「登板するかは明日の朝の状態を見て決めます」と起用法について語った。

 一時、4点差をつけられながらも、終盤に大逆転した花巻東の攻撃について、大船渡ナインは誰もが警戒している。それでも前向きに選手が戦えているのは佐々木朗希の存在だ。

  

 最善の準備とメンテナンスをして決勝戦に立ち向かうだけだ。とにかく無事に夏を乗り切ることを祈りたい。

文=河嶋 宗一

【 試合展開はこちら 】

【逸材レポート】佐々木朗希「速球と変化球の割合は5:5。変化球も超一流な剛腕」 | 高校野球ドットコム関連記事はこちらから
【逸材レポート】佐々木朗希(大船渡)平均球速が初戦から5キロアップ!ノーヒットノーランのピッチングを徹底分析!
最速155キロ!底が見えぬ佐々木朗希が圧巻投球でノーノー達成!
【BIG5特集】佐々木朗希(大船渡)令和元年の至宝!この夏、全国と世界へ羽ばたけ
2019年のドラフトの目玉・佐々木朗希(大船渡)投手へ 今年お願いしたいこと
花巻東、盛岡大附の2大勢力がリードか?佐々木朗希擁する大船渡にも注目!【岩手大会展望】
【逸材レポート】佐々木朗希の初戦ピッチングを球種別に徹底分析!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ優勝の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?