Interview

強気な投球で圧倒する!感謝の思いを示すために甲子園は譲れない 落合秀市(和歌山東)【後編】

2019.07.03

 最速148キロのストレートを武器にドラフト候補として名前が挙がっている和歌山東落合秀市(3年)。今でこそプロ注目の投手だったが、中学時代は控えで無名の存在。高校でも野球を続けるつもりはなかったという。そんな選手がどのようにしてここまで登りつめたのか。

 前編では野球を始めたきっかけから、高校2年生の夏までの歩みを振り返った。そして後編では自分たちの代から現在に至るまでを振り返ってもらい、最後の夏への意気込みに迫った。

強気な投球で圧倒する!感謝の思いを示すために甲子園は譲れない 落合秀市(和歌山東)【後編】 | 高校野球ドットコム~関連記事はこちらから~
2019年  第101回 全国高等学校野球選手権 和歌山大会
智辯和歌山、市立和歌山の2強を追いかける有力校にも要注目!【和歌山大会展望】
控え投手からプロ注目投手へ!落合秀市(和歌山東)の野球道を変えた大きな試合【前編】

体の成長がピッチングの成長につながった

強気な投球で圧倒する!感謝の思いを示すために甲子園は譲れない 落合秀市(和歌山東)【後編】 | 高校野球ドットコム
練習中の落合秀市(和歌山東)

 新チームでは満を持してエースになった。新人戦では好投を続けて準優勝に貢献。上位4校に与えられる二次戦の出場資格を得ることができた。

 二次戦の初戦では後にセンバツでベスト8まで勝ち進む市立和歌山と対戦。強豪相手に素晴らしい投球を披露したが、延長11回にサヨナラ打を打たれて1対2で敗戦。センバツへの道はここで断たれた。敗れはしたが、落合は自身の投球に手ごたえを感じていたという。

 「市立和歌山とやった時はストレートとスライダーしか投げてないんですよ。他の変化球が全然ダメだったんです。それであれだけ抑えられたので、ちゃんと投げたら勝てるのかなというのはありました」

 落合はストレートとスライダー以外にカーブ、カットボール、ツーシーム、スプリットを操る。不調で多彩な球種を活かすことができない中で結果を残したことで新たな投球の引き出しを増やすことができた。

 冬場のトレーニングを経て春になると落合の知名度が急上昇する。球速は147キロまで伸び、プロのスカウトが見つめる中でも力を発揮した。この頃から落合は本格的にプロを意識するようになったという。

 「これまでもたまにスカウトの方が見に来てくれたりしていたんですけど、無理やろうなという気持ちでした。でも最近は凄いことになっているので可能性を感じますね」

 注目度が高まることでプロ入りへの自信を深めた落合。6月の練習試合ではさらに148キロにまで球速を伸ばしている。高校に入学してから10キロ伸ばしたことになるが、その要因を「体重が増えたこととフォームが安定したこと」と落合は話す。入学当初は80㎏だった体重は現在90㎏。公立校にしては体格の良い選手が多い和歌山東だが、落合自身も身体が大きくなるにつれて球速も伸びてきたという。

[page_break:感謝の気持ちを伝えるためにも甲子園に行くしかない]

感謝の気持ちを伝えるためにも甲子園に行くしかない

強気な投球で圧倒する!感謝の思いを示すために甲子園は譲れない 落合秀市(和歌山東)【後編】 | 高校野球ドットコム
笑顔を見せる落合秀市(和歌山東)

 春は3回戦でセンバツ8強の智辯和歌山と対戦。全国屈指の強力打線に対して落合がどんなピッチングを披露するのかに注目が集まったが、この試合ではベンチに入ることなく、スタンドから戦況を見守った。チームは2対6で敗戦。智辯和歌山市立和歌山とのガチンコ勝負は夏に持ち越されることになった。

 和歌山東が甲子園初出場を成し遂げるためには落合の好投が不可欠だ。今年の和歌山大会はセンバツ8強の智辯和歌山市立和歌山が大きな壁として立ちはだかる。この2校に対して理想のピッチングを話してくれた。

 「インコースをガンガン攻めていきたいです。たまに変化球で交わしたりして省エネのピッチングをしながらも三振を狙う時は三振を狙っていきたいです」

 さらに球速については「夏までに150キロを投げられるようになりたい」と意気込む。落合が速球で相手を抑え込むようになれば球場の空気も大きく変わるだろう。観客の視線が集中するマウンドでどのような投球を見せてくれるだろうか。

 入学当初は野球を続けるかどうかもわからなかった落合だが、いよいよ最後の夏を迎えようとしている。思うようにいかない時期もあったが、「ちょっとは人間力もついたかなと思います」と着実に成長してプロ注目の投手までになった。ここまで成長できたのは和歌山東に入学したからだと落合は自覚している。

 「ここに来て良かったと思います。周りにも恵まれているし、指導者さんも自分に合っているので。周りの人からもそう言われますね。あっという間です。気づいたらここまで来ました」

 周囲への感謝の気持ちを示すためにも最後の夏に結果を残して初の甲子園出場に導くつもりだ。「いいピッチングが出来なくても試合に勝てたらいいと思います。甲子園に行けるように頑張りたいです」と意気込む落合。ラストサマーはどんな活躍を見せてくれるだろうか。

文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!