Interview

「大谷2世」の言葉はまだ使わない 無限の可能性を秘めた山崎隆之介(東京城南ボーイズ)

2019.06.19

 2018年8月、U-15日本代表に選出された金井慎之介投手の取材に訪れた際、東京城南ボーイズの大枝茂明監督は興奮気味に一人の1年生を名前を挙げた。
 「今年、ジャイアンツジュニア出身の山崎隆之介という選手が入ったんですよ。すでに身長は180センチくらいあって身体能力抜群です。大谷翔平選手みたいになれますよ」

 その山崎選手は今、身長は187センチまで成長して3年生たちに混ざって春の全国大会にも出場を果たした。今回は、そんな山崎選手のこれまでの歩みや野球観などから、その将来性に迫っていく。

小学校を卒業する時には身長は180センチ近くまで成長

「大谷2世」の言葉はまだ使わない 無限の可能性を秘めた山崎隆之介(東京城南ボーイズ) | 高校野球ドットコム
山崎隆之介(東京城南ボーイズ)

 ジャイアンツジュニア出身の山崎は、小学校時代から目立つ存在であった。小学校6年時にはすでに170センチに達しており、投手としても球速は120キロを記録。小学校を卒業する時には身長は180センチ近くまで成長し、都内でも名の知れた存在であった。

 「小学校の頃はずっとピッチャーだったので、やっぱりピッチャーとして自信を持っていました。ジャイアンツジュニアには、ジャイアンツの方の推薦で選んでいただき、すごく豪華なチームで野球ができてとても嬉しかったです」

 また山崎選手はジャイアンツジュニアでの経験を振り返ると、楽しかった一方で「自分も負けられない」といった闘争心も芽生えたと振り返る。選手たちは皆、技術や力を持っているだけでなく高い意識も持ち合わせており、そういった環境の中でプレーできたことは非常に有意義なものとなった。

 「みんなすごい力を持った選手たちが集まっていたので、自分はまだまだだな、もっと頑張らないといけないなと思いました。特にバッティングなんかは、みんな本当に意識が高いなと思いました」

「大谷2世」の言葉はまだ使わない 無限の可能性を秘めた山崎隆之介(東京城南ボーイズ) | 高校野球ドットコム
キャッチボールをする山崎隆之介(東京城南ボーイズ)

 ジャイアンツジュニアでも活躍を見せた山崎選手は、中学に進学する際には都内の強豪・東京城南ボーイズへの入団を決めた。数あるチームの中から東京城南ボーイズを選んだ理由について、山崎選手は次のように語った。

 「家は板橋の方なのですが、どのチームに入団するかすごく迷っていました。入団する時期も周りより遅れていて、どうしようかなと思っていた時に東京城南ボーイズを見学に行ってとても雰囲気がいいなと思いました。
 みんな楽しそうに野球をやっていて、チームのレベルもとても高いです。ここなら成長できるなと思って入団を決めました」

 山崎選手は、この決断が結果としてとても良かったと振り返る。山崎選手がそのように感じることができたのは、東京城南ボーイズの独特の育成方法があったためだ。

[page_break:ゆっくり楽しく野球に取り組めたチーム方針]

ゆっくり楽しく野球に取り組めたチーム方針

「大谷2世」の言葉はまだ使わない 無限の可能性を秘めた山崎隆之介(東京城南ボーイズ) | 高校野球ドットコム
一塁守備につく山崎隆之介(東京城南ボーイズ)

 東京城南ボーイズの大枝監督は、山崎選手が入団したときのことを振り返り、次のように語る。

 「すごい選手が入ってきたなと思いました。すぐに上級生に混ざっても遜色なくプレーできると思いましたが、ウチは1年生の間はサッカーなどをさせながらゆっくり休ませる方針があります。山崎も例外ではなく、いつもサブグランドでサッカーを楽しんでいましたし、投手として一切ピッチングはさせませんでした」

 山崎選手は、この東京城南ボーイズの指導方法が自身に非常に合っていたと振り返る。ゆっくりと楽しく中学野球がスタートしたことで、ストレスも無く楽な気持ちで野球に取り組め、なおかつ身体的にもリフレッシュできたのだ。

 「自分もサッカーからのスタートでした。小学校の頃はずっと投げていたので、そこでゆっくりでき、またしっかり頑張ろうと本格的に野球に取り組めるようになりました。怪我も成長痛もここまで一切ありません」

 ゆっくりとした環境の中でリフレッシュできた山崎選手は、この春から遂に大器の片鱗を見せ始めた。
 3月に行われた第49回春季全国大会では、ヒットこそ放つことは出来なかったが、ライトポール際へあわやホームランかという大飛球を放ち、観衆の度肝を抜く。
 またこの春からは投手としても本格的に復帰し、少しずつ強度を上げながらのピッチングも始めた。

「大谷2世」の言葉はまだ使わない 無限の可能性を秘めた山崎隆之介(東京城南ボーイズ) | 高校野球ドットコム
この春からは投手の練習も再開した山崎隆之介(東京城南ボーイズ)

 まさに満を持しての始動に、周囲の期待も高まるばかりであるが、意外にも山崎選手本人は冷静な目で自身を俯瞰して将来を見据えている。

 「将来的には大谷翔平選手のような、投手としても打者としてもプロの世界で1番になれる選手になりたいと思っています。なので中学野球も高校野球も、あくまで通過点と考えています。もちろん全国大会や甲子園にも行きたいですが、やはり最終的な目標が一番大事なので」

 また大枝監督も、山崎選手と全く同様の考え方を示す。
 「僕がイメージしているのは、まさに大谷翔平選手です。投げても打っても良い選手なので、大谷選手のようになって欲しいなと思いますね。そのためには今は本当に無理をさせず、ゆっくり育てていきたいと思います」

 「大谷2世」
 あえてその言葉はまだ使わない。
 だが、いつかその「キャッチコピー」を心のままに使える日が来ることを楽しみに待ちたい。

文=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!