7月7日に開幕する第101回全国高等学校野球選手権東東京大会の組み合わせが決定した。
通常トーナメント表の四隅にシードされているチームが優勝候補となっている。春季都大会4強の関東一、都立小山台、8強の帝京が四隅に散らばることが決まっていたが、残る1枠には二松学舎大附が入った。それでは早速展望を見ていく。
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2019年 第101回 全国高等学校野球選手権大会 東東京大会
二松学舎大附、いきなり修徳と対戦か?
スラッガー・右田稜真(二松学舎大附)
右田稜真、野村 昇大郎など昨夏のメンバーが多く残り、3年連続優勝を目指す二松学舎大付は、もともと優勝候補であった。土屋大和、谷幸之助の2本柱の投手陣を中心に攻守にまとまる関東一、池本仁志、佐藤晃、吉田大晟ら昨夏の準優勝メンバーを中心に粘り強い野球をする都立小山台、平成元年(1989年)に全国制覇をした帝京が4強を成している。
この4強が四隅に散らばったわけであるが、実力伯仲、混戦模様の東東京大会だけに、序盤から好カードが多く、先が読めない展開になっている。
四隅にシードされた二松学舎大付だが、初戦、いきなり修徳との対戦になりそうだ。6年前に決勝戦で二松学舎大付を破り優勝した修徳は、最近4年間は、準々決勝で惜敗している。今年から部長だった荒井高志氏が監督に就任。結城貞斗投手を中心にまとまっている。二松学舎大付にとっては、いきなり大きなヤマ場となる。
その対決の勝者が4回戦で対戦するブロックには、都立文京と錦城学園がいる。都立文京には大型右腕の仲亀烈太、中堅手との二刀流の青木謙太を擁し、秋季都大会はベスト16であった。昨夏はシード校であった錦城学園は、園田小哲、千明駿平ら主軸が残っている。この両校の対戦も、3回戦注目のカードになりそうで、その勝者が対戦する4回戦も当然注目のカードになる。
この勝者が5回戦で対戦するブロックには、大型右腕の佐々木大陽を擁する大森学園などがいる。
二松学舎大付のブロックの勝者が準々決勝で対戦するブロックには、初シードの都立小松川がいる。このブロックには好投手の赤坂諒を擁する上野学園、33年前の優勝校である正則学園などがいる。
シード校のないブロックに強豪が集まる
好投手・黒岩真人(都立板橋)
実質的にトップシードを意味するトーナメント表の1番には、都立小山台が入った。都立小山台の初戦の相手は、東京成徳大高か東海大高輪台が予想される。中でも東海大高輪台は、秋、春と結果を残していないが、捕手の木下優成など、2年前の準優勝のメンバーが残っており、侮れない。
さらに5回戦で対戦するブロックには昨夏8強の安田学園、4年前の4強で、打棒がよみがえりつつある都立篠崎などがいる。
都立小山台のブロックの勝者が準々決勝で対戦するブロックには、シード校はいない。しかし、このブロックには岩倉、都立城東、日体大荏原と秋の8強の3校をはじめ、強豪校が集まり、激戦区になっている。
まず注目は岩倉だ。春は出場辞退でノーシードだが、右の宮里優吾、左の坂本一樹という好投手がおり、捕手・荻野魁也は強肩強打で、優勝候補といっていい戦力を有する。
岩倉が4回戦で対戦するブロックには試合巧者の日体大荏原、好捕手の福田優を中心にまとまっている東京日本ウェルネスがおり、この両校の対戦も注目である。
さらに岩倉のブロックの勝者が5回戦で対戦するブロックには、都立の強豪が集まった。好捕手の三好秀登を中心にまとまる都立城東と、好投手・黒岩真人を擁する都立板橋の対戦は、初戦屈指の好カードだ。このブロックには、横手投げの好投手・高橋涼を擁する都立高島もいる。
このブロックからどこが勝ち残るか、優勝争い全体に影響を及ぼしそうだ。
[page_break: 都立雪谷、8強への険しい道のり]
都立雪谷、8強への険しい道のり
二刀流・早川大生(共栄学園)
今大会はシード校7校のうち、都立が4校と、都立の健闘が目立っている。都立の中でも戦い方が独特なのが、ノーサインの伸び伸び野球の都立雪谷だ。しかし都立雪谷の前には、次々と強豪が立ちふさがる組み合わせになった。
初戦の対戦が有力なのが、成立学園だ。近年は実績を残していないものの、選手の質は高い。
4回戦で対戦するブロックには、横手投げの瀬崎絢を擁する日大豊山と、ベテラン・有馬信夫監督が率いる都立足立新田がいる。
さらに5回戦で対戦するブロックをみると、左の横手投げ、秋山大空渡を擁する立志舎と打撃がいい都立広尾の対戦は好カード。他にも、近年力をつけている都立小岩、日本ハムの投手だった田中幸雄監督が率いる郁文館、春の1次予選で日大豊山を破った都立青山などがいる。
準々決勝で対戦するブロックは帝京が有力であることは確かだが、投手と遊撃手などの二刀流の早川大生を擁する共栄学園、都立の強豪・都立江戸川、伝統校の堀越などがおり、油断はできない。
関東一・東亜学園5回戦で激突か?
球威の球が持ち味の荒田 奏斗(都立大島)
関東一、都立紅葉川と江戸川区勢がシードされているブロックでも、好試合が期待される組み合わせになった。
まず注目したいのが、明大中野と都立大島の対戦。都立大島には荒田奏斗という球威のある注目投手がいる。対する明大中野は菊地淳之介、伊井颯也の左腕2本柱で対抗する。
この試合の勝者と対戦する、立正大立正と駿台学園の試合は打撃戦が予想される。この4校、どういう組み合わせになっても、興味深い対戦になる。
打撃のいい都立紅葉川のブロックには、この4校の他にも、秋季都大会で日大三を破った目白研心などがいる。
関東一のブロックには、左腕の好投手・細野晴希を擁して秋4強の東亜学園がいる。東亜学園と実績のある東京実との対戦も興味深い。このブロックには他にも城西大城西、立教池袋など力のある学校が入っているが、順当なら5回戦は、関東一・東亜学園という3年前の決勝戦の再現になる。
際立ったチームはいない一方で、力のあるチームはかなり多い戦国大会。投手の交代や、コンディションの調整なども、優勝争いに大きく影響しそうだ。
文=大島 裕史
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