西東京を制すのは東海大菅生か日大三か?それとも新鋭が現るか?戦力を徹底分析!
7月6日に開幕する第101回全国高等学校野球選手権西東京大会。6月15日に抽選が行われ、組み合わせが決定した。東海大菅生や日大三、国士舘など強豪がひしめく西東京。それでは早速展望を見ていこう。
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2019年 第101回 全国高等学校野球選手権大会 西東京大会
国士舘の初戦は都立日野か早大学院か
関東大会で好投の山田裕也(国士舘)
シード校にとって、初戦は独特の難しさがある。相手は1、2試合戦っているのに対し、3回戦から登場するシード校は初戦の緊張感があるからだ。そして今回、最も厳しいカードになったのは国士舘だ。
都立日野・都立青梅総合の勝者が早大学院と対戦し、その勝者との対戦になった。都立日野は都立でただ1人東京代表に選ばれ、年末のキューバ遠征に参加した山崎主真をはじめ、選手個々の能力は高い。
早大学院も薗部将大など好打者を有する打撃のチームだ。春季都大会では帝京と互角の試合をしている。都立日野と対戦すれば、打撃戦が予想される。
国士舘は関東大会で山田裕也が好投したのは好材料。際立った選手はいないものの、内野手の黒川麟太朗を中心に攻守に安定感がある。しかし、都立日野であれ、早大学院であれ、簡単な相手ではない。
さらに勝者が準々決勝まで勝ち上がると、春季都大会で3本塁打を放った稲木柊哉などの打棒で久々にシード校になった法政大高、攻守にまとまる創価、カットボールなどのキレがいい細田怜希を擁する世田谷学園などがいるブロックの勝者と対戦することになる。
昨夏準Vの日大鶴ケ丘は都立東大和と対戦
左腕のエース・中村晃太朗(東海大菅生)
対戦相手が決まった初戦屈指の好カードは、昨夏の準優勝・日大鶴ヶ丘と元祖・都立の星である都立東大和の対戦だ。日大鶴ヶ丘は、清野佑馬が投手と二塁手の二刀流で攻守の中心になる。夏に向けて、チーム力を上げていくのもうまい。対する都立東大和は、エース・小寺敦斗がカギを握る。
このブロックには日大二と昭和一学園がおり、順当なら3回戦で対戦することになる。日大二はエースの田中啓斗がこの春成長。シード校になる原動力になった。昭和一学園のエース・館慎太郎は2年生ながら球威があり、投げ合いが予想される。
日大二はシード校とはいえ、準々決勝に勝ち上がるのは容易ではないが、準々決勝に進出すれば優勝候補の筆頭である東海大菅生との対戦が予想される。東海大菅生と日大二は2015年から17年まで3年連続で対戦している。いずれも東海大菅生が勝ったものの、かなりの接戦であった。
エースの中村晃太朗、強肩強打の捕手・小山翔暉をはじめタレント揃いの東海大菅生が圧倒的に優位であることは間違いないが、同じブロックは明大中野八王子、佼成学園などもおり、決して油断はできない。
[page_break: 早稲田実・国学院久我山のゾーンは混戦か?]早稲田実・国学院久我山のゾーンは混戦か?
安定感があるエース・室津泰介(都立片倉)
春季都大会では東海大菅生、国士舘、日大三、早稲田実、国学院久我山の5校が8強に進出し、夏の大会でも優勝争いの中心にいる。このうち2チームは、順当なら準々決勝で対戦することになるが、それが、早稲田実と国学院久我山になった。しかしこの両校が準々決勝で対戦するかどうかは予断を許さない。
早稲田実は都立小平西と国際基督教大学高の勝者との対戦が有力だ。国際経験豊かな生徒が多い国際基督教大学高は、近年力をつけている。対する都立小平西は、秋は日大鶴ヶ丘を、春は東海大高輪台を破っている。右の林田憲哉、左の野﨑師と投手陣が充実している。
勝てば4回戦は、拓大一と聖パウロ学園の勝者との対戦が有力だ。拓大一の安西航輝は好投手。聖パウロ学園は秋、春とも都大会には進出できなかったが、力のあるチームだ。
この勝者が5回戦で対戦するのは、都立片倉か、都立東村山西か。シード校の都立片倉は、エースの室津泰介が安定。柳本康希を中心とした打線も力があり、春は国士舘に接戦を繰り広げた。
東村山西にはトルネードに近いフォームで投げる内野大輝がいる。どちらが勝ち進んでも、早稲田実には手ごわい相手になる。
東京を代表する長距離打者である宮崎恭輔、スプリットなど縦の変化球が有効な高下耀介擁する国学院久我山は、初戦、駒大高と都立八王子北の勝者との対戦が有力だ。駒大高は各打者がフルスイングで挑み、勢いに乗ると怖い。都立八王子北は夏に強い。
初戦に勝利したとしても、5回戦では八王子との対戦が有力だ。八王子はノーシードながら横手投げの武内寛人、左腕からテンポよく投げる北澤壮汰らの好投手がおり、1年の夏から公式戦に出ている高橋優介は、野球センスが攻守に優れる。他にも都立総合工科、明大明治、都立国立、日本学園などの実績のあるチームがおり、早稲田実と国学院久我山に挟まれたゾーンは混戦が予想される。
日大三・桜美林の町田対決か?
身長191センチの大型右腕・廣澤 優(日大三)
最速150キロの井上広輝、身長191センチで最速148キロの廣澤優と、全国屈指の投手を擁する日大三の初戦の相手は桐朋か。4回戦は、明学東村山・八王子実践の試合の勝者が有力で、両チームとも打撃がいい。
5回戦で対戦するブロックには、昨夏日大三を苦しめた都立杉並、粗削りながら、恵まれた体格から繰り出す重いボールに将来性を感じる渡邊充を擁する工学院大付などがいる。
昨年の秋に監督に復帰した片桐幸宏率いる桜美林は、主戦格の斎藤敦也を中心にまとまりがある。準々決勝で日大三との町田対決が有力だが、都立昭和、都立府中工などの都立勢も侮れない。
全体的にみて東海大菅生が優勝争いの先頭にいることは確かだ。国士舘は3回戦を切り抜ければ展望が開けてくる。日大三は試合をしながら、打線の調子を上げてきたいところだ。早稲田実と国学院久我山のブロックには八王子もいて混戦模様だ。序盤から好カードが多く、レベルが高い、激しい戦いが予想される。
文=大島 裕史
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