Interview

女子プロ野球屈指のスラッガーへ化けた意識の転換 みなみ選手(埼玉アストライア)

2019.06.04

 女子プロ野球を代表するスラッガーとして注目されるみなみ選手(本名:高塚南海)。プロ3年目の2017年、3本塁打を放ち、最優秀新人賞を獲得。2018年には女子プロ野球リーグ初の2打席連続本塁打を記録し、2019年には通算100安打を達成。みなみ選手の持ち味は男子選手顔負けの長打力だ。フェンスを大きく超える本塁打を放つこともあるみなみ選手に打撃面で意識していることを伺った。

高校時代までは守備よりも打撃に自信があった

女子プロ野球屈指のスラッガーへ化けた意識の転換 みなみ選手(埼玉アストライア) | 高校野球ドットコム
インタビューに答えるみなみ選手

 今でこそスラッガーとして注目されるみなみ選手。これまで筆者は多くのスラッガータイプの選手を取材した時、野球を始めた時から本塁打や長打を打つことにこだわりがあったと話す選手がほとんどだが、みなみ選手は逆だった。

 「あまりヒットを打てる選手ではなかったので、守っている方が好きでした」
 その後、中学では守山少年クラブ(軟式)でプレーし、京都両洋に進んで、全国大会を経験しても、守備の方が得意という思いは変わりなかった。実際に取材日でライトを守るみなみ選手を見ると、打球の追い方、カットに入った内野手への送球、バックホームの送球も正確。守備の意識の高さも見られる。

 そしてプロ入り前のエピソードも興味深い。みなみ選手は高校時代からプロ志望だったわけではなく、高校で野球を終えるつもりだった。それでもプロを目指そうと思ったのは高校時代の監督からの熱いメッセージがあった。

 「当時の監督から『自分の指導不足でお前を伸ばしきれなかった。だからプロの指導者の元でやれば、お前はもっと伸びる選手だ』と言ってくれたんです。
 当時の自分は選手としての自信が全くなくて、プロでやれる選手だと思っていなかったんです。
 でもその言葉や、最後の夏の負けの悔しさなどいろいろな思いから、女子プロ野球選手を目指そうと思いました」

 恩師の言葉を受け、プロテストを受験したみなみ選手は2回目のテストで合格。晴れて女子プロ野球選手になったみなみ選手は2年間、育成チーム・レイアでプレー。

 転機となったのは3年目。ディオーネに移籍したみなみ選手は川口亜祐美コーチ(当時)から指導を受ける。その指導が今のみなみ選手の打撃スタイルを作り上げた。

[page_break:軸のブレが小さい打撃フォームに変更し、大ブレイク]

軸のブレが小さい打撃フォームに変更し、大ブレイク

女子プロ野球屈指のスラッガーへ化けた意識の転換 みなみ選手(埼玉アストライア) | 高校野球ドットコム
バッティング練習をするみなみ選手

 みなみ選手の打撃フォームを見ていくと、左足の上げが小さく、他の選手と比べるとアクションが小さい。また、オープンスタンスで重心が低い構えとなっている。アクションが小さい打撃フォームは川口コーチの指導によって実現したものだ。

 「これまで私は左足を大きく上げて、打つフォームでした。ただ私はタイミングの取り方が下手なので、どうすればタイミングをよくすればいいかと考えた時、今の打ち方となりました」

 確かに、みなみ選手の本塁打の映像を見ると、目線のブレが小さく、ミスショットをしにくい打撃フォームとなっている。長打力が注目されるみなみ選手だが、右中間へ強い打球を打てるのも強みである。みなみ選手は右中間に強い打球が飛ぶのは調子が良い証拠だと語る。
 「私は打つ時に腰の開きが早くなってしまう癖があるので、その癖を防ぐことを重点に置いています。右中間へ強い打球が打てる時というのは調子が良い証拠だと思います」

 自分の打撃フォームを確立したみなみ選手は2017年から順調に一流選手の階段を登っていき、2019年には通算100安打を達成した。みなみ選手は「まだ通過点」だと捉えている。狙うは誰も達成できていない記録を成し遂げることだ。そのために年々、打撃面の意識は変わってきている。

  「トップチームに入ってから打撃について真剣に考えるようになりました。高校時代はその日限りの野球といいますか、先のことは全く考えて野球はしていませんでした。この時から上達するためにトレーニング、練習のことを考えるようになりました」

 春季リーグでは打率.161に終わり、みなみ選手からすれば到底、満足できる数字ではない。6月2日から始まった夏季リーグから巻き返しを期待したい。

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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