試合レポート

郡山vs大阪商業大高

2019.05.26

郡山が打撃戦を制する!大商大高の上田は復調を印象づける快投!

郡山vs大阪商業大高 | 高校野球ドットコム
ホームランを放った郡山の井上竜輝

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 天理をコールドゲームで下し、奈良準優勝の奈良郡山と初の春季大阪大会優勝の大商大高の一戦。大商大高の先発は148キロ右腕の上田大河ではなく、背番号10の辰巳昂次郎(3年)となった。

 そんな奈良郡山打線は、辰巳を攻略。1回表、一死三塁から3番土井翔太(2年)が中前適時打を放ち、1点を先制。さらに2回表、二死二、三塁から第1打席に安打を放っている2番青木 啓冴が右中間を破る適時三塁打で2点を追加する。

 青木は、レベルスイングからボールを捉える左の好打者。2番打者としてはレベルが高い選手だ。

 さらに3番土井は、変化球を引き付けて左中間を破る適時二塁打、4番安野 航が痛烈な中前適時打で5点目を入れる。安野も打球が鋭く、捕手としてもイニング間の送球が1.91秒のスローイングを見せる好捕手だ。

 大商大高は2回裏、5番上田 真照(2年)がインコースを振り抜き、二塁打を放ち、6番油川 克弥(3年)、7番松田 直生(3年)、8番佐久間 大翔(3年)の三者連続の適時打で3点を返す。

 さらに4回裏、1番山本 晴登の犠牲フライで1点差に迫ったが、5回表、奈良郡山は6番梅田 雅士の適時打、7番井上竜輝(2年)がライトへ3ラン本塁打を放つ。井上は、182センチ77キロの大型外野手で、腕っぷしが強く、外回りなスイング軌道で硬さを感じるが、それでもパワーは素晴らしい打者だ。また、腕が長いので、普通の打者ならば空振りしてしまうコースでもついていけるのが魅力だ。高校通算6本塁打目。さらに量産に期待がかかる。

 さらに6回表には、3番土井が4安打目となるソロ本塁打。これで高校通算13本塁打目。

 土井はスクエアスタンスであらかじめ、左足を引いた独特の構えから、タイミングを測っていく。間合いの取り方がうまく、変化球、インコースにも対応ができる。本人によると、投手の始動に合わせて、シンクロさせている。あらかじめ左足を引いているのは、タイミングをしっかり取るためだ。

 これまで捕手だった土井は今春からショートへコンバート。ショートの守備を見ると、基本忠実に 守るタイプ。深い位置から、まずまず強い送球ができている。「懸命にショートの練習をしました」と語る土井。その努力の跡は、この試合の守備からも伺える。楽しみな野手だ。


 大商大高は6回途中から、外野手の新町 友樹(2年)が登板。新町は、シートノックでは、ライトから高校生としてはAクラスのスローイングを見せていた選手だった。最速136キロのストレートと120キロ中盤の縦横のスライダーのキレもよく、楽しみな野手だった。

 そして7回途中から上田が登板。上田は大阪大会決勝戦に右手に打球が直撃し、打撲。その間、ランニングとアイシングに努め、キャッチボールを始めたのが3日前。金曜日、土曜日は計60球の投げ込みを行って調整を行った。

 投げることに不安があった上田だが、そう感じさせない投球。先頭打者を133キロのカット系のスライダーで空振り三振に打ち取ると、その後も、常時140キロから143キロのストレート、カウントを取るための130キロ前半のカット系のスライダー、空振りを奪うための120キロ後半のスライダー、130キロ前後のチェンジアップ、100キロ台のカーブを投げ分ける。キレのあるスライダーが注目される上田だが、チェンジアップもストレートに見えて減速する。

 左肩を高く上げて、一気に振り下ろす独特の投球フォームで、180センチ81キロとがっしり体型。力投型に見えるが、なかなか器用な投手なのだ。

 大商大高は、7回裏、松田の適時二塁打で2点を返し、9回裏、4番 宮部 七星(3年・右投げ左打ち・175センチ75キロ)がライトへ本塁打を放つ。宮部は楽しみなパワーヒッター。スクエアスクエアで歩幅を広くとって、救い上げるスイングは豪快。ライトからの強肩は、大学生クラス。強肩強打の外野手としてぜひ注目してほしい。

 しかし反撃はここまで。奈良郡山が準決勝へ進出した。奈良郡山は、天理をコールドゲームで下した攻撃力を存分に発揮した。大商大高は敗れはしたものの、上田だけではなく、逸材野手揃い。それはシートノックから動きの良さ、肩の強さを実感させてくれた。

 10対7という打撃戦になったが、どちらもタレント揃いの好ゲームだった。

(文・=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.16

【大阪】17日に抽選会!打倒・大阪桐蔭なるか、大阪学院大高や興國などはもちろん、ノーシードの履正社の対戦相手も注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.16

【東北】17日に準決勝!近年強さが目立つ青森勢か、盛岡大附の復活Vなるか<地区大会>

2024.06.16

青学大が中田、藤原のタイムリーで逆転に成功!1点をリードして後半戦へ!【全日本大学選手権決勝】

2024.06.16

大阪工業大の新入生に八戸学院光星の二塁手、敦賀気比、東海大星翔の正捕手など甲子園組や近畿の逸材が入部!

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得