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「個人プレーの結集」を意識し、19年振りの甲子園を見据える 日大豊山(東東京)【前編】

2019.05.26

 文京区に位置する日大豊山高校。グラウンドは、校舎からバスで20分の板橋区中台に総合グラウンドを持つ。近年の成績を振り返ると、2015年に決勝進出し、翌年はベスト8と東東京でも指折りの強豪校として名前が挙がる。しかし、今年の日大豊山は結果がなかなか出せていない。

 福島直也監督が「背水の陣」と語るように、夏に懸ける思いは練習からひしひしと感じる。選手も必死になってノーシードから甲子園を狙う、日大豊山野球部に迫った!

「個の力」の底上げがチームの底上げ

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練習を見守る福島直也監督

 福島監督は、常に選手たちの「個の力」の強化に努めている。
 日本大学時代は、鈴木博識元監督(現・鹿島学園監督)の下で野球を学び、一学年上には長野久義(現・広島カープ)や二学年下に十亀剣(現・西武ライオンズ)らが在籍するレベルの高い中に身を置いてきた。

 そこで、鈴木監督から教わった「野球とは、移り変わる状況判断と個人プレーの結集」という言葉が、今も指導するうえでの原点だと語る。「野球は団体競技だが、個が強くないと力を合わせたって強くないんです。速い球を投げられるとかパワーがあるとかではなく、役割を分かっている9人の個が必要なんです」と選手に教えを説いている。

 毎年、個のポテンシャルの高い選手が揃う日大豊山だが、今年の春季東京都大会一次予選では都立青山戦に敗戦を喫した。2月中に行った紅白戦では投手陣の仕上がりが素晴らしかっただけに、この敗戦は予想だにしなかったという。「勝ち上がったら日大二高さんが待っているということで、先を見据えてしまいました。目の前の試合を見なかった監督の責任です」と試合を振り返った。

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野球ノートが選手と指導者を結ぶ

 その都立青山戦後、主将・金盛選手を中心に選手間で話し合いが行われた。
「自分たちも100%で練習に取り組めていなかった。やはりどこかで慢心があったのだと反省しています」と福島監督に打ち明けた。

 それ以降は、今までにない雰囲気で練習に取り組み始めたという。

 そして、新しく取り組み始めたのが、野球ノートを中心に意思疎通を図ること。今まであまり行わなかったミーティングも積極的に開くようになった。練習後に全体でミーティングをした後、学年に分かれて再度ミーティングするなど各々の意見をぶつけ合うことでチームワークをさらに深める。

[page_break:主将・金盛徳睦を中心に夏へ進む!]

主将・金盛徳睦を中心に夏へ進む!

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金盛徳睦が声でチームを盛り上げる

 その中心にいつも立つのが主将を務める金盛徳睦だ。

 金盛はレギュラー選手ではない。昨年のBチーム時から主将を務めており、周りの評価を勝ち得て主将へ就任した選手だ。

 膝に怪我を負い、秋春どちらもサードコーチャーとしてチームを鼓舞した金盛は、2季連続の都大会へ進めず歯がゆさを感じている。自身が満身創痍の中でも、練習中では率先してマシンへのボール入れやノックのボールボーイを務める姿が印象的であった。

 金盛は、一選手としての現状に悔しさを口にするが、それでも主将としてチームの手本になることを力強く誓う。
 「非常に情けない気持ちです。それでも、与えられた役割の中で自分の仕事を全うするように心掛けています」

 金森の姿こそ、「個の力」を体現化する選手なのかもしれない。

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ランナーを付けて実践練習を積む

 福島監督も、金盛の働きには感心している。

 「金盛が率先して練習の準備や手伝いをしていることで、レギュラー選手の活気や後輩達のお手本になっています」
 背中で引っ張る主将・金盛は、東東京を勝ち上がるには必要不可欠な存在だ。

 前半はここまで!後編では、今年の日大豊山が東東京を制覇するに不可欠な注目選手に迫っていきたい。

(取材・編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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