Interview

ZETT「プロステイタスシリーズ」「革、命シリーズ」の開発に至るまで 鶴田昌博さん(ゼット株式会社)【前編】

2019.04.11

 2019年、ZETT社はプレーヤーの大切な相棒を長持ちさせるグラブ・ミットメンテナンスグッズ、「プロステイタスシリーズ」と「革、命。(かわ、いのち。)シリーズ」の2シリーズを発売した。「汚れ落とし」、「保革」「滑り止め・つや出し」「硬化」「トータルメンテナンス」など、用途を明確にしたこの2つのシリーズは、球児にとってより分かりやすく、使いやすい製品となった。

 この2シリーズの開発を担当したのは、ゼット株式会社ベースボール事業部開発部の鶴田昌博さんだ。今回はそんな鶴田さんにインタビューを行い、「プロステイタスシリーズ」と「革、命。(かわ、いのち。)シリーズ」開発に至るまでの経緯や、製品特徴を解説していただいた。
 前編では、鶴田さんのこれまでの経歴や、商品開発の仕事の醍醐味に迫っていく。

ゼットへ入社前に1年間アメリカに留学

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ゼット株式会社 鶴田昌博さん

 私がゼットに入社したのは、今から17年前の2002年です。

 実は入社前、1年間アメリカに留学をしてました。あくまで学生の形で、1年間アメリカの学校に通いましたが、そこでアメリカの野球の面白さに触れることが出来ました。

 友人と公園や広場でキャッチボールをしたこともいい思い出ですが、一番印象に残っているのは、とにかく大リーグの試合を多く見て回ったことです。

 アメリカの野球は、とにかく天然芝の開放感が日本と全然違いました。人工芝や屋根付きのドーム球場は、本来のベースボールとは違うという考えがあったようです。
 天然芝と土でやるスポーツ、これこそが野球だということをアメリカで最も感じました。そこは、私も一番好きな部分でもありましたね。

ゼットへ入社し一流選手の用具を支える

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グラブのメンテナンス用品の「プロステイタスシリーズ」(左)と「革、命シリーズ」(右)

 帰国後、ゼット入社当初は貿易部門に配属されました。当時は中国にグラブ工場がありましたので、そこでの生産管理を任されていました。

 国内だけでなく、海外でも仕事がしたいと思っての留学だったので、その経験を買われたのかもしれません。

 商品開発に関わるようになったのは、その後ですね。
 現在はグラブ、それからグラブのメンテナンス用品の開発担当をしていますが、2年前までは手袋やキャッチャー防具、バッグなどのエキップメントを担当していました。

 ゼットのキャッチャー防具は、古田敦也さん(元ヤクルト)や矢野燿大さん(現阪神監督)、里崎智也さん(元ロッテ)など、多くの一流のキャッチャーの方に長年使って頂きました。
 そういった、一流の選手たちのプレーを支えることが出来たのは、誇りに思えることですね。

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プロ野球選手のこだわりの強さに大きな驚き

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ゼット株式会社 鶴田昌博さん

 手袋やキャッチャー防具の開発担当時は、プロ野球選手の用具に対する細部へのこだわりを感じることが多々ありました。
 特に、西武ライオンズの森友哉選手のバッティング手袋開発時には、森選手のバッティングへの深いこだわりにとても驚いたので、そのエピソードを紹介したいと思います。

 バッティング手袋と言えば、ある程度「手のひら」のフィット感があれば大丈夫だろうというのがこれまでの私の考えでした。ですが、その認識だけでは森選手が求めているような手袋は、作ることが出来なかったのです。

 そこでよくよく話を聞いていけば、森選手の場合は手のひらはもちろんのこと、「手の甲(指部を含む)」までしっかりとフィットしないと力が入ってる感じがしないということが分かってきました。

 手袋は「手のひら」だけでいいと思ってたのが、手・指全体のフィット感まで意識して、野球に取り組んでいるのは凄いこだわりと慣性を持ち合わせているなと感じました。

 プロ野球選手は、ご自身の感覚をとても大切にされています。なので、開発の際も選手の感覚を理解して、汲み取っていかなければいけません。

 「プロ野球販促」の担当者としっかりと話し合い、選手が感覚的に求めていることを形にしていくことは、とても難しい仕事であり、醍醐味でもありましたね。

前半はここまで!後編では、いよいよ「プロステイタスシリーズ」と「革、命。(かわ、いのち。)シリーズ」開発に至るまでの経緯や、製品特徴やお手入れ方法を鶴田氏に解説していただきました。後編もお楽しみに!

文=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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