Interview

1試合23奪三振を記録した怪腕・千葉英太(トヨタ自動車東日本)の現在地

2019.03.28

 昨年、初の都市対抗出場を果たしたトヨタ自動車東日本(金ヶ崎町)。2年連続の都市対抗出場へ。スポニチ大会は重要な一戦となる。大事な初戦の先発マウンドに登ったのは高卒2年目の千葉英太だ。千厩(せんまや)高時代は、1試合23奪三振も記録した怪腕は昨年、ケガでほとんど投げられなかった悔しさを糧にして、2年目に臨んでいる。

1年目のケガを乗り越えて

1試合23奪三振を記録した怪腕・千葉英太(トヨタ自動車東日本)の現在地 | 高校野球ドットコム
千葉 英太(トヨタ自動車東日本)

 4回途中で6失点でマウンドを降りたが、潜在能力の高さは十分に示した。
 常時140キロ~145キロ(最速146キロ)のストレートは回転数が高く、低めに伸び、さらに高めの釣り球でも勝負ができる。
 そして120キロ前後のスライダーはひざ元に鋭く落ちる。高卒2年目にして、大舞台の初戦のマウンドに託されるポテンシャルの高さは伝わってきた。

 だが、去年の千葉は全くプレーができなかった。5月に右ひじを断裂。昨年、公式戦・オープン戦含めて登板できたのはわずか1試合だった。

 プレーできない期間は千葉にとって学びの時間だった。
 「自分は高卒から社会人に入りましたが、本当に野球の半分も知らないと思うぐらい知識がありませんでした。ケガしている間、野球を見る時間が増えましたが、その時間は知識を増やす貴重な機会でした」

 治療をしながら、右腕の力に頼りすぎていたフォームを修正し、肘の状態が治ってから投げ込みの数を増やしてきた。そして今年のオープン戦でアピールに成功し、初戦のマウンドを任された。

[page_break:チームの勝利に貢献したい]

チームの勝利に貢献したい

1試合23奪三振を記録した怪腕・千葉英太(トヨタ自動車東日本)の現在地 | 高校野球ドットコム
笑顔を見せる千葉英太(トヨタ自動車東日本)

 「やはり大きな大会で先発を任されたのは責任感を感じつつも、楽しさもありました」と意気込んだ千葉は岩手県一関市出身で、3月11日にマウンドに登ることに特別な思いも感じていた。
 「その時の記憶は鮮明にあります。震災当時、小学校が壊れてしまい、登校ができず、水もなく、電気も止まり、大変な思いもしました。だから登板日がその日と被るのは何か縁があります」

 相手は社会人野球トップクラスのNTT東日本。「挑戦者のつもりで、できるだけ相手の名前を気にしないよう投げていきました」と心がけたつもりだったが、いきなり初回、5番保坂 淳介(2年目・中央大)に3ランを浴びる。

 「打たれたのは高めでも、真ん中でもなく、低めのストレートです。これを本塁打にするんだ」と驚きを隠せなかった。

 徐々にNTT東日本の打線が牙をむき、4回途中まで投げて6失点で降板。悔しい結果に終わり、「調子自体は良くて、ストレートの走りもよかったのですが、コーナーに攻め切れないところが課題となりました」と振り返った。

 だが、1年目はケガで何もできなかったことを考えれば、大きな前進である。それだからこそ今年にかける思いは強い。
 「去年はチームに何も貢献ができていないので、自分のピッチングするというよりも、まずチームの勝利に貢献できるピッチングをしていきたいと思います」

 ここから高い社会人野球の壁を感じることがあるだろう。その壁を突き破るために努力することを喜びと変え、2年連続の都市対抗出場へ欠かせないピースとなるのか。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.28

春の福岡地区を制した沖学園(福岡)、勝利のカギは異例の「決勝直前沖縄合宿」だった

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】川内商工が2試合連続逆転サヨナラ勝ち!雨のため2試合が継続試合

2024.05.28

【北海道】北海が逆転勝利、27連勝で4季連続V達成<春季全道大会>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】錦江湾が1点差勝利!出水工の追い上げ、あと1点及ばず

2024.05.28

【大分】佐伯鶴城は4戦3勝、杵築は4戦で1勝<強化試合>

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.26

【春季関東大会】常総学院・中村虎汰郎が二刀流の活躍で決勝進出に貢献!9回にはサヨナラに繋がるヒット!投手としてはセンバツ後に再転向で連日の好リリーフ!

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商