都立紅葉川vs攻玉社
都立紅葉川、初回の猛攻で秋のリベンジを果たす
都立紅葉川先発・砂川勇起
春季都大会の1次予選の参加は、196校の178チーム。これだけ参加していれば、秋と同じチームと対戦することは、そうないはずだが、攻玉社と都立紅葉川は、秋の1次予選の初戦でも対戦している。この時は、3対2の接戦で攻玉社が勝っている。それでも、紅葉川のベテラン・田河清司監督は、「特にリベンジとかは考えないで試合をしました」と語る。都立の強豪・紅葉川と、昨夏は関東一に善戦した攻玉社。秋も接戦だっただけに、この試合も好ゲームが期待された。
両チームに懸念されたのは、試合慣れしていない、硬さ。紅葉川の先発、背番号10の砂川勇起は、1回表、先頭打者をいきなり死球で走者を出す。ここで冷静さを失うと、試合の流れは変わったかもしれない。しかし後続を内野ゴロと奪三振2で切り抜けた。
その裏マウンドに上がったのは、攻玉社の先発、背番号9の光澤昂作。光澤はモーションの際に、足が完全に止まっていた。これが反則投球とされ、今度はクイックモーションに変えたが、投球のリズムが狂った。1番の櫻井航希が四球で出ると、3番・齋藤大陽がセンターオーバーの三塁打で櫻井を返して1点先制。これをきっかけに紅葉川の猛打が爆発。齋藤が1回に三塁打を2本放つなど、打者17人、安打7本、四死球6の猛攻で何と12点を挙げた。
紅葉川は2回裏にも込山の二塁打など、打者14人、安打7本、四死球4で9点。3回裏には打者10人で安打6本、四死球1で7点を挙げるなど、3イニング連続の打者一巡の猛攻で、突き放した。
4回裏は遊撃手である主将の寺田颯一郎がマウンドに立ち、無失点に抑え、攻玉社は意地をみせた。
それでも紅葉川は、5回表には、秋の対戦で敗戦投手になっているエースの田中颯が、安打2本を打たれたものの無失点に抑え、28対0の5回コールドという思わぬ展開で、紅葉川が大勝した。
紅葉川の選手は、体が締まっており、冬にしっかりトレーニングしてきた成果がうかがえた。また三塁打2本に二塁打と活躍した3番の齋藤は、秋は出ていなかったという。冬のトレーニングの成果と、秋は出ていなかった選手がうまくかみ合っての圧勝だった。
一方秋とは違い大敗した攻玉社の遠藤慎也監督は、「準備不足」と言ったうえで、秋との違いについて聞くと、「何が違ったか分かりません。ともかく全体的にレベルアップしないといけません」と語った。
同じカードでも、試合の流れをつかめるかどうかで、全く違った試合になるのも、野球の怖さである。
(取材=大島 裕史)