野球も勉強も全力を注ぐ佐倉球児たち!底上げを目指し、躍動の春へ!【後編】
昨秋の千葉県の21世紀枠推薦校の佐倉は進学重点校ということもあり、入学から難関私大、難関国公立大を目指している。率いる堀内幹仁監督は
「わが校は国公立大学を目指す生徒が圧倒的に多いです。私学だと早慶を目指し、毎年東大の合格者を出したい。だから勉強に力を入れます。野球部は早慶、千葉大学を目指す選手も多いです。一昨年は医学部へ進んだ生徒もいました」
では佐倉の球児たちはどんな一日を過ごしているのか。野球がすべてではなく、野球、勉強も全力で注ぐ、バイタリティ溢れた佐倉球児に迫る。
主力選手はいかにして野球と勉強を両立しているのか?
実戦練習の様子
佐倉の選手たちのスケジュールを紹介すると、朝7時半から軽い自主練習から始まる。8時25分の着席に合わせて各自が練習する。
授業はすべて7時間授業で、練習が始まるのは16時半過ぎとなる。シーズン中は2時間~2時間半できるが、オフ期間は日没前ですでに暗く、1時間~1時間半しかできない。暗い中、シートノックや連携プレーができないため、自主練習やトレーニングが中心となる。
チーム全員でボールを使ったノック、シート打撃、紅白戦など組織的な練習は土日で行うことになる。
堀内監督は「実戦感覚を養ったり、自分たちの課題を把握するために、シーズン中の土日はなるべく練習試合を入れるようにしています。練習試合で出た課題を自主練習で生かして、再び自主的に課題練習。そういうサイクルをとっています」
試合がないシーズンオフの土日の練習日は半日が基本である。学業重視の学校ということで練習時間が短いのは全国の進学校に共通することだが、エースの齋藤正貴からすれば、驚きの練習サイクルだった。
「僕はシニアでプレーしていましたが、朝が6時半集合とかなり早くて、18時ぐらいまで試合や練習と、野球漬けの生活でした。入学当初、もうこれで終わり?という感覚になりました」
エース・齋藤 正貴投手
逆に言えば、練習時間が短ければ勉強に取り組むことができる。19時過ぎに練習が終わると、選手たちは京成佐倉駅近くの塾、もしくは地元の塾に通うか、自宅に戻って最低2時間の自宅勉強に取り組む。
エースの齋藤は2年生になって塾に通う頻度が多くなった。
「2年生の初めは、月曜日は練習が無いので月曜日だけ行っていたんですが、最近は毎日行っています」
塾では21時まで勉強して、それから自由な時間を過ごし、0時までには就寝するスタイルだ。齋藤は「自分の場合、授業はしっかりと聞いて、テスト前にしっかりと問題集を解いて準備しています」と日々の勉強法を語ってくれた。大学でも野球を続けたいと希望する齋藤は私立にいくか、国公立大にいくか迷っている。斎藤自身、経済を学びたく、将来的にはその分野を生かした仕事に就きたいと志望している。人生設計がしっかりとした選手である。
またマスコミ志望の和田宗矩は「自分の場合は家に早く帰らないといけない都合があって、1時間から1時間半ぐらい塾で勉強してから家に帰って、諸々終わった後できたら1時間ぐらい。毎日2時間ぐらいは確保できていると思います」と、しっかりと両立している。また主力打者の古屋智紀は塾には通わず2時間の自主勉強して過ごしている。このようにして佐倉の選手たちは勉強を両立する。和田は言う。
「難関の大学を合格するには、自主的にやらないと残っていけないですから」
毎日2時間の自主勉強に取り組み続ける佐倉の選手たちが強豪・千葉経大附を破った事実は称賛に値するものだ。
全員が底上げを果たし、県内上位の戦績を!
春に結果を残し、夏に繋げる!
春の一次予選の組み合わせも決まり、佐倉はシード確保を目標にして、課題の打撃力向上に取り組んでいる。堀内監督は「例年以上に振り込みを行ってきました。ただ目に見えて効果が出るわけではないので、例年通り、守備を大事にする野球は取り組んでいきたい」とグラウンドが全面に使える土日では紅白戦、全体ノックをしてチームを仕上げている。
和田主将が目指すのは、昨秋戦った習志野のように穴がない守備・走塁だ。
「正直高すぎる目標ですが、それを目指さないと秋以上は超えることはできないです」
堀内監督は「今年のチームは夏の戦いを経験している選手が多いですし、その経験をしっかりと生かして戦ってもらえば」と期待する。和田は「今の2年生は冬から伸びていって先輩を脅かしてレギュラーの座を奪いました。でも3年生も目の色を変えて取り組んで、昨夏は習志野に競り合いを演じましたので、今年も1年生が底上げすることを期待しています」と1年生の成長を願っている。
取材日では投手が投げるシート打撃が行われ、堀内監督は「齋藤以外の3人の投手が良くなった」と手応えを感じている。
17年前の2002年では千葉大会ベスト4まで駆け上がった佐倉。夏躍進のきっかけを作るためにこの春は勝負の大会となる。
(文・河嶋 宗一)