Column

緻密さと豪快さを求めて!ニュー岩倉で春に挑む!(東京)【後編】

2019.01.27

 前編では秋ベスト8の岩倉が着手した意識改革で手に入れた「爆発力」。その武器を使って勝ち進んだ八王子戦までを振り返ってもらった。後編では準々決勝の東海大菅生戦で見えた課題。そしてその課題への取り組み方と春への意気込みを伺った。

爆発力で勝ち取ったベスト8!チームの意識を変えて挑んだ岩倉(東京)【前編】

東海大菅生戦で見つけた新たな課題

緻密さと豪快さを求めて!ニュー岩倉で春に挑む!(東京)【後編】 | 高校野球ドットコム
坂本一樹(左)と宮里優吾(右)

 昨秋都大会で8強まで勝ち上がる最大の要因となったのは、6試合をわずか9失点に抑えた投手陣だ。なかでもエース・宮里優吾の存在感はずば抜けていた。
 「宮里は制球力があってリズムを壊すことなく投げられるピッチャー。良いところから落ちるようになっていたフォークが秋季大会でも冴えていました」(豊田浩之監督)。

 その宮里と共に、東京都高野連の選抜チーム代表としてキューバ遠征に参加した坂本 一樹(2年)も好投した。「坂本は脇腹を痛めていて故障明けだったのと、あまりにも宮里が良すぎたので、もっと投げさせたかったというのが正直なところです。11月のセレクションでは東京都の選抜チームに選ばれるなど、この2ヶ月ほどで急にスポットライトを浴びているところなのですが、質の良いボールが投げられる投手なので、これからしっかりと実力を根付かせていきたいです」(豊田監督)。

緻密さと豪快さを求めて!ニュー岩倉で春に挑む!(東京)【後編】 | 高校野球ドットコム
選手に声をかける豊田浩之監督

 こうして迎えた準々決勝では東海大菅生と対戦。好投手・中村 晃太朗(2年)に対し、「得点が入りやすい[stadium]神宮第二球場[/stadium]での試合だったので、点を取らなければ勝てないゲーム。立ち上がりでラッキーパンチが出れば……」と考えていた豊田監督の思惑通り、初回に内野安打で出た走者を置いて打席に立ったのは主砲の荻野魁也。しかし、ライトポール上の際どい位置へ飛んだ大飛球はファウルで得点ならず。

 それでも6回裏にムードメーカーの永田 拳聖(2年)が四球で出塁。バントをせずにヒッティングに出た宮里は一塁ゴロに倒れたものの、その間に永田が得点圏へ進むと岡根秀がタイムリーを放って先制点を挙げた。ただ、なおもランナー二塁のチャンスは生かせず、1点のみに抑えられると直後の7回表に追いつかれ、8回表には勝ち越しを許してしまい1対3で敗れた。

 「あの展開で勝つとしたら1対0しかなかった」と悔やむ豊田監督は、さらに「すべての力が足りませんでしたが、中継プレーで間に合わないホームへ送球する間に進塁されてしまうなど、東海大菅生の選手と比べると判断力が大きく欠けていると感じました」と振り返った。

[page_break:緻密さと豪快さを兼ねそろえた新しい岩倉の誕生へ]

緻密さと豪快さを兼ねそろえた新しい岩倉の誕生へ

緻密さと豪快さを求めて!ニュー岩倉で春に挑む!(東京)【後編】 | 高校野球ドットコム
声とジェスチャーでアウトカウントを確認する選手たち

 そこで、現在は走者を付け、ノッカーがどこに打つか分からないシートノックで実戦に近い守備練習を行い、判断力を高めている岩倉。また、この冬については「シートバッティングや紅白戦などで実際の試合に近い練習で選手に頭を使わせたい」と豊田監督は目論んでおり、「これまではベンチのサインを確実に実行すれば良かったのですが、これからは選手がその場で最善を探し、ベストにはならなくてもベターなプレーを選択していく。新チームが結成してから期待していたことでしたが、やはり2ヶ月では機能しなかったので、各選手が自分の意志を持ってグラウンドで戦うことをテーマにしていきたい」と課題を挙げた。

 また、投手陣については「基本に対して妥協せず、ストレートでも変化球でもいいのでストライクゾーンで勝負できるボールを身に付けてもらいたい」と要望。打線については「来春には1試合で6点以上取れるようになってもらいたいので、そのためには得点するための確率を上げていかなければいけないと考えています。だから、この秋は『振っていけ』だけでしたが、春以降はバントや打球の方向を意識する必要も出てくるはず。ですから攻撃面でも『判断力』を磨きつつ、『強く、遠くへ飛ばす』という意識も継続して取り組んでいきたいです」

 これまでのやり方と現在のやり方をミックスした攻撃を目指すことになる岩倉。来春、緻密さと豪快さを兼ね備えた「ニュー岩倉」の誕生が待ち遠しい。

(文・大平明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.12

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12

【春季京都大会】センバツベンチ外の西村がサヨナラ打!新戦力の台頭目立つ京都外大西が4強進出

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?