進化を止めない注目左腕・宮城 大弥(興南)【前編】~チームを引っ張る立場になり見えた、やるべきことをやれば勝てる~
中学時代から、U-15日本代表メンバーとして日の丸を背負い活躍していた宮城大弥(みやぎ ひろや)。名門・興南に入学すると、1年生春からベンチ入りを果たし、夏の大会では[stadium]甲子園[/stadium]のマウンドに上っている。まさに同世代を引っ張っていく選手の1人である。そんな宮城が今さらなる飛躍を遂げようとしている。宮城の心の変化と成長の過程に迫る。
3年生が引退してから変わった「取り組む姿勢」

宮城 大弥投手
「自分がいなくても先輩がいると考えたり、自分がエースでないと考えた時もありました。自分の代になってから、考え方の変化が出るようになりました」
と宮城が話してくれた。では、どんな考え方に変わったのだろうか?
「試合に負けて悔しいからやるんじゃなくて、勝つためにしっかりとやるべきことをやれば勝てると思うので、それを少しづつ自分の代になって考え始めました」
宮城は、“日々の取り組む姿勢” が変わったのである。そんな、宮城の変化を我喜屋優(がきや・まさる)監督も感じ取っている。
「1年までは、ちょっと『先輩がいるから』みたいなね。だけど『前を向いても後ろを向いても、頼りになるのは俺しかいない』という自覚は出てきていると思う。取り組む姿勢、真摯に取り組んでいる姿があるし、またチームを俺が引っ張っていくんだという自覚がある」
宮城は今、自分で考え出している。自覚ができ「取り組む姿勢」が変われば、見える世界も変わってくる。宮城が言う「勝つためにやるべきこと」を自分で考えられ、気付けるようになると、洞察力もついてくる。
その洞察力は、練習だけでなく試合での宮城の大きな武器になるに違いない。
さて、宮城の現在地に戻ろう。「取り組む姿勢」の変化でどのような違いが出てきているのだろうか?宮城は言う。
「結構、自信も着くようになって、プレーものびのび出来るようになりました。」
我喜屋監督も、「それ(取り組む姿勢の変化)にともなって、球のキレとかも良くなってきている」と話してくれた。取り組む姿勢の変化は、着実に宮城の成長スピードを加速させている。
[page_break:甲子園の経験こそ力になる]甲子園の経験こそ力になる

1年生の時の宮城 大弥投手(2017年 秋季県大会 準決勝 沖縄水産戦)
1年生から[stadium]甲子園[/stadium]の土を踏んだ宮城。その[stadium]甲子園[/stadium]を早いうちに経験出来たメリットを我喜屋監督が話してくれた。
「高校野球は経験がものをいう。負けたとしても、全国の力を見て育ってきている訳ですから。選手も負けから学ぶとすれば、やっぱり[stadium]甲子園[/stadium]では間一髪アウト・セーフの緊張感があるとか。事前に準備をしないとけない、事前に考えないといけない、ということの大切さを学んだと思うんですよ。」
宮城も[stadium]甲子園[/stadium]で、良い経験が出来ていることを認めている。
「ふつう、あんな大勢の人(観客)はこないとおもうので、一年生の時に、あの緊張感の中で投げられた経験は、県大会でも活かせています」
確かに緊張感のある舞台での貴重な経験を出来たのだろう、ただし本当にその経験をフルに活かせるのは、今からだ。「取り組む姿勢」が変わった宮城は、今までとは比べ物にならないスピードで知識・経験が増えていくだろう。
そして1年生、2年生での[stadium]甲子園[/stadium]の経験を振り返り、新しい気付きが増えていくに違いない。そうした時に初めて、[stadium]甲子園[/stadium]での経験がものすごい財産になっていることに気がつくはずだ。
それができた時、宮城は手のつけられない投手になっているに違いない。[stadium]甲子園[/stadium]の経験を100%活かせる投手へ、宮城は歩みを進めている。
前編はここまで。後編では宮城投手が現在、どんな課題を持って練習に取り組んでいるのか。そして高校野球最後の1年に掛ける想いを語ってもらいました。後編もお楽しみに!
文=田中 実