キューバで見つけた逸材たち【前編】 偉大な父の血筋を引き継いだ長身速球派右腕・ノルヘ・ベラ
キューバの選手は海外球界からの評価も高い。MLBではセスペデス、チャップマン、NPBではデスパイネ、ビシエドと多くの選手が活躍している。今回、東京代表と対戦したキューバ代表は昨年11月末にパンアメリカン選手権に出場した選手たちだ。まさに金の卵という選手が多かった。そんな逸材たちを紹介したい。
注目投手・ベラジュニアとブランデル・ゲバラ
注目右腕・ベラジュニアとブランデル・ゲバラ
まず紹介したいのがノルヘ・ベラ・カルロス(Vera Albara Norge Calos)だ。父のノルヘ・ベラ・ルイスは2009年のWBC代表など数多くの国際大会やキューバ国内リーグで大活躍した大投手。190センチの長身から速球を投げ込む速球投手だった父の血筋を引き継いだカルロスは、190センチの長身を生かした角度ある投球フォームが持ち味。速球はコンスタントに140キロ~148キロを計測。球場によっては150キロをマークしていてもおかしくない投手だ。
速球以外でも打者の手元で垂直に落ちるのではなく、斜めに落ちる120キロ後半のスライダーが魅力的。小松涼馬(帝京)は「見たことがない軌道で驚きました」とコメントし、多くの打者が「速いです!あの投手、何キロ出ていたんですか?」と筆者に次々と聞いてきた。
ただこの投手、揺さぶられると脆さが見えてしまう。セットポジションになると途端にフォームが乱れてしまい、リリースポイントが乱れる。東京代表の選手たちはそれを感じたのか、バントの構えをして、揺さぶっていく。それをするとイライラする様子がスタンドから見ても感じ取れる。連続四球で走者をため、甘く入ったストレートを痛打される。能力の割に失点が多い投手だった。
才能としてはNPBでやれるものは十分にある。しかし現時点では育成枠ぐらいの力量。それが100万ドル以上を稼げる投手になるには、走者を出してからのセルフコントロール、技術力向上などがカギとなる。ぜひトップチームで再戦することを願いたい。
同じ投手ではブランデル・ゲバラ(Brander Guevara Valdes)が印象に残った。185センチ106キロととても高校生とは思えない体系。強い上半身を生かしたピッチングフォームから投げ込むストレートは常時140キロ~145キロと威力がある。
ゲバラは2003年2月4日生まれと、つまり日本でいえば高校1年生なのだ。なかなかのポテンシャルを持った逸材だといえるだろう。ただゲバラは第1戦のリリーフこそ無失点に抑えたものの、第4戦、第5戦で続けて2失点と悔しいマウンドになった。世界で活躍できる投手になるために総合力アップを期待したい。
(文=河嶋 宗一)