Interview

「休んだら終わり」からのモデルチェンジ 田中俊太選手(読売ジャイアンツ)【後編】

2019.01.13

 プロ野球2年目を迎える読売ジャイアンツの田中俊太選手。ルーキーイヤーとなった昨年は99試合に出場し、シーズン終盤からはスタメン出場も増えた。クライマックスシリーズにも出場を果たし、大きな経験を積んだ一年間となった。

 今回、高校野球ドットコムでは、そんな田中俊太選手に独占インタビューを敢行。田中選手は東海大学の出身で、「セルフコンディショニング」でお馴染みの西村典子トレーナーとは選手とトレーナーという間柄でもあったことから、今回はプロ野球選手の「セルフコンディショニング」やアマチュア時代からの変化について、たっぷりと語っていただきました。
 後編では、田中選手のアマチュア時代を振り返り、怪我の防止方法についても迫っていきます。

怪我の多かった高校時代「何となくやるから怪我をする」

「休んだら終わり」からのモデルチェンジ 田中俊太選手(読売ジャイアンツ)【後編】 | 高校野球ドットコム
田中俊太選手(読売ジャイアンツ)

―― シーズン中は、怪我だけはしないように意識していたとのことでしたが、高校生は2年3か月しかないのに、ケガをしてしまったら時間がもったいないですね。

田中俊太選手(以下、田中) でも僕は高校の時はけっこうケガしてました。何となくやってるから怪我しちゃうんですよ。こうなりたいという明確なものは持っていなかったですし、特に知識も無かったです。ただやってるだけだったんです。

 痛くなったら「痛くなったから冷やし始める」、自分で「あれ、ちょっとおかしいな」と感じることもなかったですし、そんなこと考える暇も無かったです。
 「あ、痛い!どうしよう」と、そうなった時点でもう遅いですよね。そうなる前が大事じゃないかと。

―― 高校生にとっては、プロ野球選手が1年間ケガせずに出来たというのは、すごく響くと思います。年間143試合、それにCSもあって高校生よりもずっとハードです。「何も考えずに、痛くなってから対処では遅いですよ」というのは、高校生にはしっかりと言いたいですね。

田中 ある程度痛くてもできる場合もありますから、その見極めが難しいですね。

―― 高校生の時は、あまりそういうことを考えなかったということですが、どこらへんで気づきましたか。

田中 休んでいいというのがわかったのは、僕は社会人になってからでした。
 高校では「休んだらもう終わり」と思ってやっていたので、我慢してやっていました。それが染みついて、大学でも「休んじゃいけないのかな、我慢しなきゃいけないのかな」と思って結局ケガしてしまって。

―― 痛くてもやっていたわけですね。

田中 そうです。休んでから「ああ、もう無理だな」と。ある程度のところでストップして短い期間で治せればすぐ復帰できるんですが、動けないで休んでしまったらそれ以上かかるので。

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[page_break:ダメだろうと思う事もとりあえず試してみる]

ダメだろうと思う事もとりあえず試してみる

「休んだら終わり」からのモデルチェンジ 田中俊太選手(読売ジャイアンツ)【後編】 | 高校野球ドットコム
田中俊太選手(読売ジャイアンツ)

―― 休んでいいとわかったのは、社会人になってからとのことでしたが、きっかけになったことはありますか?

田中 日立製作所は「そんな無理すんなよ」という雰囲気がありました。社会人に入って1年目はまだ多少無理するところがありましたが、自分で無理そうだなと思ったら休むようになりました。なのでやりやすかったですね。

―― そういうふうに言える環境がいいですよね。トレーナーがいない学校の選手に向けて、アドバイスを送るならどんな言葉を掛けたいですか?

田中 やっぱり抜くところも必要だし、時にはやらなきゃいけない時もあるよということですね。

―― 自分の身体のことを自分で良く知るということは大事だと思います。今後、自分の身体をどのようにしていこうと考えていますか?

田中 トレーニングは上半身、下半身、インナーの3つが大事だと思います。高校・大学まではなんとか若さでできるところもありますが、全然インナーやらないでバンバン投げられていても、結局ケガをしたら(インナーが)足りなかったんだっていうことになりますから。
 なので、僕はちょっとでも継続してやりたいと思っています。シーズン中のきついところでも、なんとか頑張ってやったら結果として現れてくると思うし、今シーズンやってみてある程度、「これをやったらいいな」とか「これをやったらダメだな」とか体感した部分もありました。

―― 自分の中で、色々試したということですね。

田中 そうですね、色々やった方が見えてくることもあります。「それ、ダメでしょう」みたいなこともちょっとやってみて、自分で感じてから「やっぱりダメか」とか「意外といいな」とかもあるし。トレーニングも技術も必要なので、自分で制限をしないようにやっていきたいです。
 万全の身体にもっていくための準備として、トレーニングは必要だし、技術練習も必要だし。だから、いかに万全な状態に持っていけるトレーニングができるかが大事だと思います。

―― やっぱり身体のベースが大事なんですね。

田中 はい。休み明けとか身体が楽ですし、バッティングの感じも違います。でもそれがだんだん、一週間やっていくうちに疲れて感覚も違ってきます。どんなに調子が良くても身体は疲れてきますから、それをいかに保つかが大事ですね。

―― なるほど!貴重なお話ありがとうございました。2年目の来シーズンも頑張って下さい!

田中 こちらこそありがとうございました!

取材=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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