Interview

潜在能力を発揮させるため 自信と落ち着きある投手に! 野﨑師(都立小平西)

2018.12.06

 前編では野﨑師都立小平西)の野球人生の始まりから、高校に入ってから積み上げてきた経験値を語ってもらった。後編の今回は日大鶴ヶ丘戦を中心に振り返りながら、春への意気込みを伺った。

日鶴撃破の立役者・野﨑師(都立小平西) 強豪校と渡り合えるまでになった進化の過程

マウンドでの落ち着きが明暗を分ける

潜在能力を発揮させるため 自信と落ち着きある投手に! 野﨑師(都立小平西) | 高校野球ドットコム
野﨑 師と関谷修司バッテリー

 「相手は格上ですので、向かっていく気持ちでした。」

 9月8日、[stadium]府中工業高校グラウンド[/stadium]で日大鶴ヶ丘と戦った都立小平西。この試合を前に野﨑師は闘志を燃やしいていた。

 この試合のために調子もキッチリ合わせ、武器であるスライダーを中心にカウントを取る、もしくは三振を奪うようにリリースポイントを変えて投げ込んだ。

 しかし、日大鶴ヶ丘に先制点を許してしまう。いきなり追いかける展開となり、野﨑自身も緊張からプレッシャーを感じていた。公式戦ならではの独特の空気を、マウンドで感じていたのかもしれないが、その中で野﨑はあることを考えていた。それこそが冒頭で取り上げたこのコメント、
「緊張しているからこそ、力まずに打たせて取ろうと頑張りました。」
ということだ。ではどうしてこう考えられたのか。これが、多くの強敵との戦いで野﨑が学んだことだったからだ。

 「強豪校相手だと、少しでも甘いと打たれます。だからといって全部三振を狙うと力が入るのでボール球が増えたり、甘めになったりするので、低めを使って球数減らして抑えて試合を作ることを意識しました」

 この冷静な思考が野﨑を救った。
 初回の失点以降、許したのは7回の1点のみ。完投とはいかなかったがチームは6対2で勝利。強豪校を破って、ブロック予選の決勝へ。決勝では都立王子総合を8対0で破って見事都大会出場を果たすこととなった。

 勢いそのままに都大会の初戦海城戦は2失点で完投勝利。2回戦へ駒を進めると、次なる相手は同じ西東京で強打を誇る國學院久我山。こういった打力があるチームとの対戦だからこそ、野﨑の投球が大事になってくるはずだった。

 しかしこの日の野﨑は、「一言でいうと、力が出せなかった」と悔しさを口にする。いきなり打ち取った当たりが内野安打になり先頭バッターを出塁させると、送りバントと味方のエラーなどでリズムが崩れる。そこに四球も絡んで初回6失点。そのままズルズル試合が進んでしまい、2回持たずして野﨑は降板。チームも14対6で敗戦を喫した。

[page_break:眠っている潜在能力を爆発させるのはこれから]

眠っている潜在能力を爆発させるのはこれから

潜在能力を発揮させるため 自信と落ち着きある投手に! 野﨑師(都立小平西) | 高校野球ドットコム
高校2年生の秋・國學院久我山戦での野﨑 師

 「緊張もあって。ストレートが浮きました。そこで冷静に自分を見られれば違ったかもしれないです。けど体全部が固くなって、入れに行ったところを打たれました。」
 日大鶴ヶ丘戦ではできていた、緊張しつつも落ち着いて投げるピッチングができなかった。本人の中でも、強豪相手にいかに冷静に投げこむかが課題であることは自覚している。

 自信を持って投げること。そして動じないこと。これが野﨑の意識の中でどれだけ持てるのか。これが来春までの課題となった。
 それだけではなく、フィジカル面でもまだまだ不安な部分がある野﨑は、その辺りもしっかりとこの冬場にトレーニングを積んでいきたいと抱負を語った。

 そして最後には、「ストレートはマックス140キロ、変化球の切れを上げていければと思います。」と意気込みを残してくれた。

 野﨑に関して石田監督は、「入学した時から良い選手だと思っていましたし、2年生の春の時にノーヒットノーランを2回やっている。調子が良ければそれぐらいできるという証拠です。」

潜在能力を発揮させるため 自信と落ち着きある投手に! 野﨑師(都立小平西) | 高校野球ドットコム
野﨑 師

 そしてコーチの道祖土富士夫氏は野﨑のことをこう語る。「筋力があるとか、何かが凄いではないですが体の使い方が凄く上手く、言われたことを自分ですぐに実行できる調整力ある選手ですね」

 さらに、「負けた試合は自信がないから、心のコントロールができず乱れて自滅しているが、練習試合で東京の上位校とやっても抑えることはできている」と、野﨑の今のメンタルの課題を挙げた。

 しかし、試合中に自分のフォームを修正できる力、そして秘めた実力は都内の強豪に通じている。実際に野﨑のボールを受ける関谷は、「球速以上の球威があるので、ストレートを意識しているとスライダーが打ちにくくなっていると思います。」と野﨑のボールの魅力を語った。

 憧れの投手として松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)を挙げる野﨑。松井のように、ストレートで押していき、スライダーで三振を奪うスタイルを目指す。来春どれだけの活躍を見せるのか、野﨑が自らの左腕で道を切り開いていく。

文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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