初めてのシーズンが終了!清宮ら高卒組の1年目はどうだった?
3月下旬に開幕したプロ野球ペナントレースが終了した。すなわち、清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム1位)ら昨年のドラフトでプロ入りを果たした選手は、初めてのシーズンを終えたことになる。清宮をはじめとして、安田尚憲(履正社→ロッテ1位)、村上宗隆(九州学院→ヤクルト1位)らスラッガー候補はどのような1年目を過ごしたのだろうか。2017年ドラフトでプロ入りした高卒の選手を振り返ってみたい。
やはり清宮は別格だった
1年目は7本塁打を放った清宮幸太郎(日本ハム)
高校生としては史上最多タイとなる7球団競合となった清宮は同じ高卒組のなかでも別格だった。5月上旬に一軍昇格を果たすと、7試合連続安打をマークする活躍ぶり。そのなかで初本塁打も記録した。しかし、清宮といえど「一軍の壁」はやはり厚く、その後は成績を上げることができない。5月中旬には打率2割を切5月下旬に二軍へ降格となったのである。
しかし、二軍では「ものが違う」と言わんばかりに本塁打を量産すると、前半戦終盤に2度目、そして8月3度目の昇格を果たしている。とくに3度目の昇格となった8月以降で6本塁打をマークし、1年目は打率2割ジャスト、7本塁打で終えた。憧れでもあり、早稲田実業の大先輩でもある王貞治氏と本塁打数は同数。高卒1年目としては上々の数字を残したと言っていい。
[page_break清宮だけじゃない!ドラフト1位の安田、村上も一軍で1発!]清宮だけじゃない!ドラフト1位の安田、村上も一軍で1発!
フェニックスリーグでは本塁打を量産中の安田尚憲(ロッテ)
高卒1年目で本塁打を放ったのは清宮だけではない。同じくドラフト1位でプロ入りを果たした村上、安田も終盤戦で初本塁打を記録している。
なかでも村上は一軍昇格から即スタメンで起用され、その初打席で本塁打を記録するスター性を見せた。その後、快音は響かなかったが、フェニックスリーグでは本塁打を量産中。また、アジア・ウインターリーグへの派遣も決まっており、さらなる成長に期待がかかる。
高校時代から清宮と比較され続けてきた安田も2度目の昇格後に本塁打を記録した。しかし、新人王資格を残すため60打席ちょうどで今シーズンは終了。来シーズンは井口資仁監督ら首脳陣の「親心」にこたえたいところ。
ドラフト1位で入団を果たした中村奨成(広陵→広島1位)、吉住晴斗(鶴岡東→ソフトバンク1位)はともに一軍昇格できなかった。ポテンシャルは高いはずだけに来シーズン以降の飛躍に期待したい。
ドラフト6位からの一軍デビューを果たした西巻と西浦
下位指名から一軍で結果を残した西巻賢二(楽天)
ドラフト下位指名から一軍で結果を残した選手もいる。西巻賢二(仙台育英→楽天6位)がそうだ。今シーズンは2度の一軍昇格で25試合に出場。打率.247と清宮や安田、村上よりも高打率を残している。また、西巻は守備位置が二遊間ということもあり、守備の負担は外野や一、三塁と比べるとやはり大きい。そのなかで結果を残したのは自信となったはずだ。とはいうものの、守備面でも課題も多くレギュラーとしては物足りない。日本代表メンバーとして戦っているU-23W杯でステップアップしたいところ。
西浦颯大(明徳義塾→オリックス6位)も下位指名から一軍デビューの座を掴んだ。二軍では打率.200と苦しんだが、一軍では2打席目で初安打を記録。走攻守揃った逸材だけにこれからの成長を期待したい。
西巻、西浦はドラフト時の評価こそ、清宮らドラフト1位組に及ばなかった。しかし、プロに入ってしまえばスタートは横一線。早い段階で二軍で結果を残し、一軍定着、そしてレギュラーを奪いとりたい。
中日は3投手が一軍デビュー
一軍デビューを果たした清水達也(中日)
その他にも一軍デビューを果たした選手はいる。2017年夏の甲子園優勝投手である清水達也(花咲徳栄→中日4位)もそのひとりだ。6月下旬に一軍登録されると初登板で1回無失点1奪三振と好投する。2戦目には1回2失点とプロの洗礼を浴び、二軍降格となった。
また、山本拓実(市西宮→中日6位)、石川翔(青藍泰斗→中日2位)のふたりも清水に続き一軍デビューを果たした。とくに山本は2回無失点、3奪三振とインパクトを残しており、来シーズン以降に大きな期待を持たせてくれた。
北浦竜次(白鴎大足利→日本ハム5位)もシーズン終盤に一軍初登板。1回を無失点に抑えている。
彼らは驚くべきような成績を残し確固たる地位を築いたわけではない。しかし、1年目から一軍のマウンドに登ったことは大きな財産となるはずだ。この経験を来シーズン以降に生かしたい。
一軍デビューを果たせなかった選手達
一般的に高卒1年目の選手は身体をつくることに大半の時間が費やされ、一軍未昇格はもちろん、二軍での実戦出場も少なくなることは珍しくない。
そのなかで今シーズン一軍昇格とはならなかったものの、二軍で規定打席に到達した難波侑平(創志学園→日本ハム4位)。3勝9敗と大きく負け越しながら、18試合(うち、先発17試合)に登板した阪口皓亮(北海→DeNA3位)らは期待度が高いはず。両選手ともまだまだ二軍で圧倒的な成績を残したわけではないが、「試合に出場する」という一歩目を踏み出していることは大きい。早期の一軍デビューもありえそうだ。
一方で故障に泣いた選手もいる。本田仁海(星槎国際湘南→オリックス4位)がそうだ。9月に疲労骨折の手術をおこなった本田は、高卒1年目ながら戦力外通告を受けた。育成再契約の見込みとはいえ、プロ入り1年目で戦力外となるのは本人にとっても苦しい思い出となったはず。故障を直し、1日でも早く支配下登録に返り咲きたいところだ。
だが、一軍での出番が訪れなかった選手たちもけっして悲観することはない。過去を振り返ってみても山田哲人(ヤクルト)、丸佳浩(広島)、菊池雄星(西武)といった球界を代表する選手たちも、1年目は未出場だった。秋季練習、フェニックスリーグやウインターリーグといった実戦の場で自分を磨き、来シーズンの飛躍に期待したい。
<一軍未出場の高卒1年目>
山口翔(熊本工→広島2位)
永井敦士(二松学舎大付属→広島4位)
遠藤淳志(霞ヶ浦→広島5位)
金久保優斗(東海大市原望洋→ヤクルト5位)
湯浅大(健大高崎→巨人8位)
阪口皓亮(北海→DeNA3位)
櫻井周斗(日大三→DeNA5位)
高松渡(滝川二→中日3位)
伊藤康祐(中京大中京→中日5位)
牧丈一郎(啓新→阪神6位)
西川愛也(花咲徳栄→西武2位)
平良海馬(八重山商工→西武4位)
綱島龍生(糸魚川白嶺→西武6位)
増田珠(横浜→ソフトバンク3位)
田浦文丸(秀岳館→ソフトバンク5位)
田中瑛斗(柳ヶ浦→日本ハム3位)
難波侑平(創志学園→日本ハム4位)
本田仁海(星槎国際湘南→オリックス4位)
廣澤伸哉(大分商→オリックス7位)
(文=勝田聡)
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