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総合力の東海大菅生が優勝最有力候補?ベスト8の顔ぶれと対戦カードのポイント!

2018.10.26

 プロ注目の井上広輝廣澤優という速球投手を擁し、優勝候補であった日大三が1回戦で敗退し、二松学舎大附東海大菅生に、帝京早稲田実に、関東一国士舘に3回戦で敗れ、優勝争いの常連が早くも姿を消した。それでも準々決勝には、甲子園出場経験のある学校が残った。優勝、さらにはセンバツ出場がみえてくる、準々決勝を展望する。

27日の試合のポイントはここだ!

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国士舘と都立城東

打線好調の国士舘に、都立城東の左腕2本柱が挑む
都立城東VS国士舘
(27日 第1試合)

 夏までは、左腕3本柱を軸に、守りのチームの印象が強かった国士舘であるが、新チームは打線が好調。冨田洋佑黒澤孟朗森中翼と続くクリーンアップは、外野の間を鋭く破る打球で得点に絡む。8番の鎌田州真も出塁率が高い。ベテラン・永田昌弘監督が鍛えた、一瞬のスキを突く走塁も健在だ。
 投手陣は、白須仁久石橋大心山崎晟弥らによる継投になる。

 一方都立で唯一8強に残った都立城東は、3回戦は延長戦を制したもののミスが多く、同じような試合をしていては、一方的な試合になる恐れもある。まずは気持ちを入れ替え、思い切ったプレーをしてほしい。
 ともに投手と外野手を兼ねる兼松千春原川雄仁の両左腕を、頻繁に入れ替えながらの投手起用で、国士舘打線をどこまでかわすことができるかがカギとなる。実戦経験が豊富な三好秀登のリードも、重要になる。
 打っても、1番・兼松、2番・原川が出塁して、4番・三好で還す形が基本。1回戦では満塁からスクイズを敢行するなど、同校OBでもある内田稔監督の采配も注目だ。また相手の走塁に惑わされる、落ち着いたプレーで接戦に持ち込みたいところだ。

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東亜学園と国学院久我山

打撃好調の東亜学園と国学院久我山 投手交代がカギ
東亜学園VS国学院久我山
(27日 第2試合)

 東亜学園は例年、夏に向けてしっかりチームを作り上げてくる印象が強いが、この秋は夏の経験者が多く残り、秋からチーム力が高い。
 1年生の1番打者・阿部敬太は、3試合とも複数安打を打ち、50メートルは6秒2と足も速い。阿部が出塁することで、岩本翼高木啓多らの上位打線の得点力が上がる。
 この大会は今一つ結果を残せていないが、細野晴希齊藤北斗東新太郎といった投手陣は、球威があり、経験も豊富だ。こうした投手をどう起用するか。継投のタイミングも含め、武田朝彦監督の用兵術が注目される。

 国学院久我山は、1回戦は打線がやや湿り気味であったが、尾崎直輝監督が、「このチームは打ちます」と言っていた通り、2回戦はスライダーに威力のある都立小平西の左腕・野崎師を、3回戦ではカットボールなどが効果的な世田谷学園細田怜希を打ち崩した。西川新神山福生の1、2番が好調で、4番の宮崎恭輔には長打力がある。
 投手陣は、長身の右腕・高下耀介と、左腕の問矢大雅のリレーになる。

 両チームとも打撃が好調なだけに、投手リレーでどうかわすかが焦点になる。

[page_break東海大菅生、早稲田実が登場する28日の見どころは?]

東海大菅生、早稲田実が登場する28日の見どころは?

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岩倉と東海大菅生

本命・東海大菅生に、宮里―荻野の岩倉バッテリーがどう立ち向かうか
岩倉VS東海大菅生
(28日 第1試合)

 小山翔暉杉崎成成瀬脩人のクリーンアップを中心とした強力打線に、機動力を絡ませ相手を圧倒してきた東海大菅生であるが、優勝候補同士の対戦となった3回戦の二松学舎大附戦は、相手左腕の海老原凪の好投に苦戦。するとエースの左腕・中村晃太朗が好投し、バックも再三の好守で応えて競り勝つなど、どのような展開になっても対応できる強さがある。

 岩倉にすれば、まず投手陣の出来がカギとなる。左腕の櫛田彪雅坂本一樹などもいるが、何と言っても右腕のエース・宮里優吾の投球に注目だ。ストレートに威力があり、フォークなど、変化球も効果的だ。
 1年生の夏から公式戦に出場している捕手の荻野魁也の打撃は、今大会では今一つ精彩を欠いている。荻野が得点に絡む活躍をすれば、リードにも好影響があるはずだ。

 二松学舎大附を破り優勝候補筆頭になった東海大菅生の優位は動かないが、岩倉バッテリーの健闘次第で、波乱を起こす可能性はある。

早稲田実の伊藤を日体大荏原の相原監督がどうかき回すか
日体大荏原VS早稲田実
(28日 第2試合)

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早稲田実業と日体大荏原

 夏の第1回の東京大会の決勝戦のカードでもある伝統校対決。

 早稲田実には去年までの清宮幸太郎(現日本ハム)、夏までの野村大樹といった絶対的な長距離打者はいないものの、エース・伊藤大征の存在が心強い。
 抜群の球威があり、3回戦の帝京戦で奪三振12であったのをはじめ、2試合連続で二桁奪三振を記録している。

 実戦経験が豊富な1番の茅野真太郎、4番の生沼弥真人に長打が出ていなかったが、3回戦の帝京戦では、茅野に本塁打、生沼に二塁打が出たのは好材料だ。

 日体大荏原は、都立雪谷を甲子園に導いた相原健志が監督に就任して2年半になり、相原野球が浸透しつつある。
 1番・赤塚渉太、3番・高野和馬は打撃も好調で、塁に出ると、積極的に足を絡ませる。早稲田実の伊藤からは、簡単に得点を奪えないだけに、いかに揺さぶれるかがカギになる。

 投手陣は、3回戦の都立文京戦は杉本佳偉、星野圭吾の継投で、苦しみながらも逃げ切ったが、エース・杉本の踏ん張りに期待したいところだ。

 東海大菅生が投打走守の全ての面でレベルが高く、優勝に一番近い。好投手・伊藤を擁する早稲田実が追う展開だ。しかし日大三の初戦敗退は、高校野球は何が起こるか分からないことを再認識させた。

 秋季大会は、準決勝・決勝以外は、1週間ごとに試合が行われる。平日の練習で問題点を修正したり、気持ちを切り替えたり、何らかのきっかけをつかんだりすることで、チーム力は大きく変わるだけに、どのチームにもチャンスはある。センバツを目指し、中身の濃い好勝負を期待したい。

(文=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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