甲子園の経験者が多く残る日大三と二松学舎大附が軸!秋季東京都大会の展望を占う
帝京・都立雪谷、創価・佼成学園で16強を争う
伊藤 大征(早稲田実)
6日から来年のセンバツ出場を目指して秋季都大会が行われる。秋季大会はシード校制度がないため、毎年のように激戦区が生じるが、今回は、帝京の入ったブロックが超激戦区になった。
夏の東東京大会準決勝で都立小山台に敗れた帝京は、この秋の1次予選の代表決定戦でも都立の強豪・都立昭和に辛うじてサヨナラ勝ちする大苦戦であった。そして今大会の1回戦は、都立の強豪・雪谷。1年生を中心に夏の経験者が残る帝京が、どのような戦いをするかは、大会の流れを占う意味でも注目される。
この試合の勝者は、2回戦で創価・佼成学園戦の勝者と対戦する。こちらも好カード。この春の2回戦では、創価が9回裏に逆転サヨナラ逆転勝ちをしている因縁のカードだ。
3回戦(ベスト16)に進出すれば、春季大会のシード校になるが、この4校でのベスト16を巡る戦いは、激戦が予想される。
さらに3回戦に進出すれば、早稲田実との対戦が有力だ。野村大樹らが抜けたとはいえ、伊藤大征―長谷川航太のバッテリーらが残る早稲田実は、優勝争いに加わる力が十分にあるだけに、8強への道は非常に険しい。
[page_break: 夏に続き桜美林・都立八王子北が対戦]夏に続き桜美林・都立八王子北が対戦
荻野 魁也(岩倉)
創価・佼成学園戦以外にも、近年激戦を繰り広げたチームが再度対戦する、因縁のカードが目立つ。
立正大立正と錦城学園は、昨秋の3回戦で対戦。この時は錦城学園の猛追をかわして、立正大立正が勝利している。ともに1次予選で圧勝して勝ち上がった今回はどうなるか?
都立八王子北と桜美林は、昨年、この夏と西東京大会の4回戦で対戦し、ともに都立八王子北が接戦を物にしている。桜美林としては、同じ相手に3連敗は避けたいところだ。
初戦に勝てば実現する修徳と東亜学園のカードは、昨夏の東東京大会の準々決勝と同カード。修徳が6点リードで迎えた9回表に、東亜学園が9点を入れて大逆転している。今回、修徳には1年生ながら評価の高い多々見敢太投手がおり、東亜学園も夏の経験者が多く残るだけに、対戦すれば、好試合が期待される。
同じく初戦に勝てば実現する八王子と岩倉の試合も、昨秋の2回戦と同カード。この時は岩倉が9回に逆転サヨナラ勝ちしている。岩倉には好捕手の荻野魁也、八王子には攻守の中心となる高橋優介ら、この試合を経験した選手もおり、熱い戦いが予想される。
他にも、日大一と安田学園の試合は、学校が両国国技館に近いご近所対決。足立学園と都立足立新田の足立区対決も地域の意地がぶつかり合う。
[page_break: 優勝候補の二松学舎大附・東海大菅生が3回戦で激突か?]優勝候補の二松学舎大附・東海大菅生が3回戦で激突か?
井上 広輝(日大三)
大会全体を見れば、夏の甲子園を経験した選手が多く残る日大三と二松学舎大附が一歩リード。強力打線の東海大菅生も2強に引けを取らない。
順当なら3回戦で二松学舎大附と東海大菅生が対戦する。二松学舎大附は海老原凪―山田将義のバッテリーをはじめ、投打の戦力が充実。長身の新4番打者・秋広優人の長打力も注目だ。
一方東海大菅生は、小山翔暉、杉崎成、成瀬脩人と続くクリーナップの破壊力は東京ではトップクラス。左腕のエース・中村晃太朗も安定している。3回戦で当てるのは惜しい好カードだ。
プロ注目の速球投手・廣澤優、井上広輝を擁する日大三は、比較的恵まれたブロックに入ったが、2回戦で対戦が予想される日本ウェルネスの左腕・五十嵐裕希は、はまると攻略にてこずるタイプの投手だ。3回戦で対戦が予想される修徳にしても東亜学園にしても、力的には日大三が上回っているものの、油断はできない。
日大三と準決勝で対戦するのは、3回戦での対戦が予想される関東一と国士舘の勝者か?ともにメンバーが大幅に入れ替わっており、関東一は球威のある谷幸之助や、1年生ながら世田谷西シニア時代から全国の舞台で活躍している重政拓夢らの成長がカギとなる。国士舘はベテラン・永田昌弘監督の手腕が注目される。
1次予選で日大鶴ヶ丘を破った都立小平、例年、打っても守りは粗かったが、今回は投手戦に勝ち本大会に進出した国際基督教大高などの戦いも注目される。
都大会は1カ月の長丁場。この夏はかつてない猛暑、そして秋になると台風と、練習をするには厳しい状況が続いているが、これからどう戦力を整えていくかが重要であり、思わぬ伏兵が勝ち進む可能性も十分にある。
(文=大島 裕史)