四国アイランドリーグplus・急上昇の男!「竹内 裕太」
2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えてしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。
第14回では現在佳境を迎えている四国アイランドリーグplusで急上昇中の男を独占コメントも交えて、お伝えします。
「後期絶好調」徳島インディゴソックス右腕・竹内 裕太
キャッチボールをする竹内 裕太投手
四国が世界に誇る独立リーグ「四国アイランドリーグplus」。その14シーズン目もいよいよ佳境を迎えようとしています。9月22日からのチャンピオンシップでは前期優勝の香川オリーブガイナーズと後期大逆転優勝を果たした愛媛マンダリンパイレーツが対戦。また、宮崎フェニックスリーグでは四国アイランドリーグplus選抜の選手たちがNPB2軍などと対戦し、自らのアピールを続けることになります。
それと同時にやはり気になるのは10月25日に行われる「2018年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。何人の四国アイランドリーグplus所属選手がNPBへの扉を開けるかです。
昨年、横芝敬愛(千葉)高卒1年目にして埼玉西武ライオンズからドラフト3位指名を受けた徳島インディゴソックス(当時)伊藤 翔は早くも今季2勝。チームの10年ぶりパ・リーグ制覇へ向け大きな貢献度を示しているだけに、次なる即戦力候補生に注目が集まるところですが……。この「四国発」ではドラフト指名が本命視されている選手ではなく、後期絶好調でドラフト指名へ急激に近づいている右腕を紹介しようと思います。
徳島インディゴソックスの鶴見大卒1年目・竹内 裕太(1996年3月14日生・右投左打・173センチ83キロ)がその人。前期成績は9試合に登板し1勝6敗・44回3分の2を投げて、40奪三振・与四死球27・防御率4.95と平凡な成績でしたが、現在の通算成績は16試合に登板し6勝7敗・97回3分の1を投げて84奪三振・与四死球44・防御率3.42。すなわち後期だけで言えば7試合に登板し5勝1敗・52回を投げて44奪三振・与四死球17・防御率は2.25と徳島インディゴソックスの後期逆襲へ大車輪の活躍を見せています。
好調の理由は「原点回帰」と「筋力強化」
マウンドで思い切り腕を振る竹内 裕太投手
チームの優勝がかかった9月18日・[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]。竹内裕太投手の投球は特に素晴らしいののでした。打線の援護が得られず勝利こそ逃しましたが、愛媛マンダリンパイレーツ打線を9回120球・7安打2四球5奪三振で完封。自己最速に2キロと迫る最速149キロのストレート、130キロ台のフォーク、130キロ前後のスライダーに時折交えるカーブ、チェンジアップすべてが腕をしっかり振ったもの。前記序盤以来、登板機会がなかなか取材試合と合わなかった筆者の目から見ても驚きでした。
では、変貌の理由はどこに?試合後、本人と現役時代は埼玉西武ライオンズで魂の投球を展開した石井 貴監督に話を聴くと、浮かび上がってきたのは2つのキーワードです。
1つは「原点回帰」。前期は「今までのフォームで調子が出ず。本当はやってはいけないフォーム変更をして、そのうち試合ごとに変えるようになってしまった」竹内投手ですが、約2ヶ月の中断期間中に鶴見大時代のフォームに戻すことを決断。「体重移動をスムーズにする」石井監督からの基本ドリルも功を奏し、後期は「投げるたびに学んでいる」と指揮官も絶賛の内容につながっています。
2つ目のキーワードは「筋力強化」。体重だけでも入団時の75キロから8キロ増。ベンチプレスは60キロから80キロ、スクワットも100キロから140キロにパワーアップ。「(インディゴコンディショニングハウスから派遣されているトレーナーの)打木(明治)さんに付いてもらって、ずっと全身を鍛えてきた」成果が、ボールのキレを呼んでいると言っても過言ではないでしょう。
「まずは自分が投げて勝って、独立リーグ2連覇。そしてNPBに入ることが目標」と実家は千葉県の曹洞宗森林寺(しんしょうじ)の竹内は坊っちゃんスタジアムでの試合後に残したコメントはあくまで殊勝。ただ、この好調を宮崎フェニックスリーグ等で維持していければ、昨年後期の活躍で中日ドラゴンズ育成1位指名を勝ち取った大藏 彰人のような大逆転ドラフト指名のみならず、指名本命視されている選手たちを超えての今季四国アイランドリーグplusドラフト最高位指名も決して夢ではありません。
(文・寺下 友徳)